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チューブレスタイヤのビードがリムから外れない場合の17の手法

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チューブレス(レディ)タイヤをホイールから外そうとしているのですが、タイヤサイドを親指の腹でぐっと押してもビードがなかなか外れずに苦戦しています。どんなに頑張ってもリムのフックから剥がれてくれないのです。私ははじめて経験します。この場合の対処法について調べてみました。

原因は何?

リムから外れないチューブレスタイヤ

調べたところこんなふうにビードが外れなくなる理由は

  • シーラントが完全に乾いてしまってビードとリムのシーリングがバッチリ完成しまくっているから
  • ホイールとタイヤの相性がもともと悪いから(=キツキツの組み合わせだから)
  • リムのフックやハンプの形状にビードが特に外れにくい構造のホイールがあるから
  • 上記のいくつかの組み合わせ

などがあるようです。今回私が苦戦しているのは650Bリムにはめた650B x 47タイヤです。ロードバイク的な視点では極太のタイヤになりますが、もっと細い普通の(25cとか28cの)ロードチューブレスでもビードがどうしても外れない、という事例もあるようです。

ただ、どちらかというとMTBタイヤで多い事例のようです。予防策としてはビードにタルカムパウダー(ベビーパウダー)を振っておくと良い、という意見がありました。チューブドクリンチャーで使われるパナレーサーのタイヤパウダーを持っている方はそれを応用すると良さそうです(効果があるかどうかは別として)。

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市販の汎用シッカロールに入っているコーンスターチなどは逆に固着を発生させるという情報も見かけたのでご注意下さい

17の手法

原因がわかったとして、こうなってしまったタイヤを外すにはどんな手法があるのでしょうか。Google検索で国内外の情報を調べてみました。ほとんどが海外情報になりましたが、発見した主だったものを下にリストしてみました(なお英語での検索時は”break the bead”や”unseat the bead”という表現を使うとヒットしやすいようでした)。

  1. バルブ側からタイヤを外す
  2. タイヤを横に押すのではなく斜め上に押し上げる
  3. 指ではなく掌を使ってタイヤサイドを押す
  4. 掌を使って押す場合でもホイールを地面に対して垂直にセットした上で体重を利用して押し下げる
  5. ローターやカセットを保護した上で(あるいはそれらを外してから)ホイールを地面に水平に置き、タイヤとリムの繋ぎ目近くを足で踏み付ける
  6. タイヤのビード付近を踏んだ状態で反対側のリムを持ち上げる
  7. 2×4の角材をタイヤの上に置き、それを踏んだ上でリムの反対側を持ち上げる
  8. 空気は完全に抜かずに踏んでみる
  9. 外そうとするビード付近を温水に漬けておく
  10. タイヤを日光にしばらく晒しておく
  11. 外そうとする部分をドライヤーで熱する
  12. ビードとリムのあいだに石鹸水を入れてみる
  13. バルブコアを外して石鹸水を入れてしばらく経ってから作業する
  14. 作業台に万力をセットし、タイヤのビード近くでクランプする。リムは挟まないよう気をつける。その上でホイールを左右にグリグリ動かす
  15. クランプ式のメンテナンススタンドのクランプにタイヤ挟む。その上でホイールを左右にグリグリ動かす
  16. リムとビードのあいだにほんの少しでも隙間ができたら滑らかな金属ベラ(マイナスドライバーからエッジを取ったようなもの)を差し込む
  17. カッターやナイフでタイヤを切断する

かなり多くのサイトや掲示板を眺めましたが、「空気を少し残した状態でタイヤを踏む」と「万力にタイヤを挟んでホイールをグイッと曲げる」で成功した人は結構多い印象を受けました。

実際に万力を使ってカーボンリムからチューブレスタイヤを外す様子を紹介している動画を見つけたので下に貼っておきます(1:24〜)。

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いろいろ試してみた結果

さて、チューブレスタイヤのビードがどうしてもリムのフックから外せなかった私。最初はチューブド・クリンチャータイヤを外す時のように親指の腹で押したり、タイヤを丸めこむように掴んで掌で押したりしていました。28cのロードチューブレスならこれで外れないことは今までありませんでした。

そこで上で列挙したような作業でできるものを試していったわけですが、結果的にはまだタイヤを外せていません。

タイヤを斜め上に押し上げるのが有効、という意見は多いのですがこれもダメでした。ただ、これは論理的なアドバイスだと思います。下の写真を見るとその理由がわかります。斜め上に押したほうがビードハンプを乗り越えてくれそうです。

チューブレスリム

作業イメージとしては「フックから外すために下向きに、ハンプを超えさせるために斜め上に引っ張る」感じで力をかけるのが良さそうです。外すのが上手な人はたぶんこの2つの動作をものすごく上手にやれているのではないでしょうか。

さて、タイヤを踏んでも踏んで持ち上げてもダメ。ドライヤーで温めるのも試しました。石鹸水については、ビードとリムの間にほんの一部でも隙間ができない限り浸透しないので意味がないらしいので試していません(バルブコアから中に入れるのも同様)。

空気を少し入れた状態でタイヤを踏むというのもやりましたが、これもダメ。直立式のワークスタンドのクランプを万力に見立ててタイヤを挟んで左右にグリグリというのもやりましたが、これも効果なし。ドライバーを使うというのは自分はやりたくないのでパス。そもそもマイナスドライバーを突っ込めるような隙間さえ作れません。

切るしかないケースもあるらしい

海外の事例を見ていると、どうも「テクニック」では解決できないケースもあるようでした。ショップに依頼したところ「2人の店員が3時間かけてようやく外せた」という事例もあり、完成車メーカーに相談したところタイヤの代替品を送るからタイヤを切断して外してくれと言われた、というケースも。

一方で「外せないのは技術がないからだ、どんなタイヤでも外せないものはない」という意見もあり、そうした方は「チューブド・クリンチャーを外すのと同じ手順で外せる(ただし体重をテコにすること)」と主張します(これはその人の体重とも関係あるんじゃないでしょうか。50kgの人と80kgの人だと結果は違うでしょう)。

作業台にセットした万力なら絶対に外せる、という意見もありましたが、一方で万力も試したけどやっぱりダメだった、という体験談も複数見かけました。やはり「何をどうやってもビードを外せなくなったケース」は存在するようです。

最後の手段は、カッターなどでタイヤを切断してしまうことです。これは勿論、タイヤが使えなくなるのでまだまだ使えるタイヤであればもったいないことにはなります。そのため、ビードがどうしても外れないタイヤであれば「途中で違うタイヤを楽しむ」ことは諦め、寿命まで使い切ってしまったほうが良さそうです。

私が今回タイヤを外そうとしている理由は、エアが一晩でかなり抜けてしまうようになったので、タイヤサイドをガバッと開いてシーラントをドバッと入れてみよう、それでもエア漏れが改善しないなら新品のタイヤに交換しよう、と思っているからです(ちょうど使いたいタイヤもあります)。まだまだ使えるタイヤなのですが、どうも切断するしかないような気がしています。

ちなみにこういうトラブルはクルマのタイヤでもよくあることらしく、こんな豪快な解決方法(15:07〜)をYouTubeで見つけました(笑)。

久々にザ・アメリカを見た、という感じですが、自転車のホイールの場合、特にカーボンリムの場合はこういう方法は使えないですね。

路上でパンクしたらどうする?

ここで一つ気付いたことがあります。このタイヤの外れないホイールで走りに出かけている時、パンク時にチューブド化するために210gもの重さがある予備チューブを携帯していたわけです。

もちろん結果論ではあるのですが、それは無駄だったということになります。

というのも、家であらゆる手段を尽くしても外れないこのタイヤをロードサイドで外せるわけがありません。シーラントやチューブレス用のパンクキットで回復できないようなパンク(大きい穴やサイドカットなど)だったら、ライドはそこで終わりです。歩いたりタクシーや電車で帰ってくるしかありません。

というわけで、もし「ビードがリムから外れない」原因が「ホイールとタイヤの相性」によるものであれば、やはり「外しやすい製品の組み合わせ」を知っておくのも重要かと思われます。

しかしこれはそんなにしょっちゅう実験できるわけでもないですし、タイヤはやはり性能やスペックで選びたいということもあるので、外せない時はもう運が悪かったということで諦めるしかないのかな、とも思います。かなり悩ましい問題です。

ほぼ2人に1人はチューブレスタイヤを外せなくなった経験あり

さて、こんなふうに「チューブレスタイヤのビードがリムから外れない」というケースはよくあることなのでしょうか。それともレアなケースなのでしょうか。CBN Twitterでアンケートを実施してみました。

結果は57%の方々が未経験と回答。43%の方々が経験あり、ということに。完全に半々とまでは行きませんが、限りなく「2人に1人は経験あり」に近い結果となりました。

ということは、まだこれを経験していない方もいずれ経験することになる可能性は高いです。そんな時はこのページで紹介している17の技法を試してみてはどうでしょうか。タイヤ切断まで行かずに解決できたらラッキーですね。

Twitterではこんな体験談も。やはり切らざるをえなかったという方も多いのでしょうか。

私は最近、他にもSchwalbe G-One All RoundをFulcrum Racing 3 DBから外しましたが、こちらは右手の親指の腹だけであっけなくカポン!と外れました。

Schwalbe G-One All Round and Fulcrum Racing 3 DB

いつもこんな感じでうまく行っている人には「ビードがリムから外れない? そんなことってあるの? あんた何言ってんの?」という感じだと思います。

なお一部ではMavic USTタイヤを同社のUSTホイールから外すのが難しいという話もあるようですが、私が使っているCosmic Elite USTとYKSION PRO USTの組み合わせは簡単に、親指一本で外せます。

今回苦戦しているのはWTBのタイヤとHUNTのホイールなのですが、まさかこれほどまでに外せない組み合わせがあるとは想像もしていませんでした。チューブレスの世界は一筋縄では行きませんね!

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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