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自転車の価格が下がるわけがない理由 – ブロンプトンCEOによる英国でのスピーチから考える

英ブロンプトン社CEOのウィル・バトラー=アダムス氏が「現在はパーツではなく原材料不足が問題だ」とFinancial Timesのイベントで語ったそうです。原材料不足についてはだいぶ前から話題になっていますが、あらためて事情を観察してみましょう。

出典 Brompton CEO warns of raw materials shortages hitting bike industry | road.cc

いまはパーツよりも原材料不足が問題

  • ウィル・バトラー=アダムス氏は「原材料の確保」が「部品不足」よりも産業にとって大きい問題になっている、と語った
  • 過去18ヶ月間でサプライチェーンはどんどん縮小し、現在の問題は単純にアルミやスチールといった原材料が手に入らない、というものだ
  • この問題の解決には(新たに)18ヶ月かかると同氏は考えている
  • サプライヤーは会社側に前払いを要求し、サドルの納期が2年になったり、パーツが輸送経路で立ち往生するといった問題が発生した
  • キャッシュが突然なくなってしまい、続いて物の価格が天井を超えてしまった
  • コロナウイルスの蔓延でブロンプトンの世界的な売上は20%増加したが、輸送費の大幅な増加にも繋がった
  • UKの場合、ブレグジットの影響がこの問題に拍車をかけた。大型トラックのドライバーが不足したため、主要な港で大規模な積み残しが発生したからだ
  • ブロンプトンはこの問題を回避するため、COVID-19以前は4.5万ポンドだった航空輸送費を170万ポンドに増額した
  • 同社は昨年末既に、UKのEU離脱からの移行期間の直前に、物流遅延や港での問題について警告していた。またブレグジットによる物流断を想定して在庫してきたパーツも、パンデミックの影響で既に使いつくしてしまったとも語っていた
  • また同社は現在、台湾ベースのサプライヤーへの依存を減らすことを考えている。中国の習近平主席が「完全な中国統一」を誓っているため、両国での摩擦が増加しているためだ

原材料不足についてはあちこちで小耳には挟むのですが、ブロンプトンCEOが公の経済フォーラムでこうした内容を語ったと考えると、より切迫した問題のように感じてしまいます。中台問題への言及も不吉です。

完成車の価格が下る理由がない

原因が異なる複数の問題が語られていてやや複雑な状況ですが、これらから導き出せる結論が1つあるとすれば「自転車の価格は下がらない」ということでしょう。

サプライヤーへの前払いで減る手元キャッシュ。原材料高騰で今後の仕入れコストも上昇。ブレグジットの影響で東欧からのドライバーが減り、大量陸上輸送が停滞しがちなため航空便を増やす。台湾以外の場所での新たなサプライヤー網の構築。これではブロンプトンに限らず、完成車の価格が下るわけがありません(英国はブレグジット関連でさらに特殊な条件)。

さらに日本から見ると、最近の円安傾向も問題を大きくしそうです。下の記事で紹介したBrompton P Line(超軽量フラッグシップ)の英国価格は2224ポンド(本日レートで33.7万円)、国内暫定価格は¥396,000(税込)という話があるのですが、為替変動の影響を考慮に入れた場合これは結構頑張っている価格のような気もします(もっと上がってもおかしくない気が)。

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折りたたみ小径車の名車ブロンプトンに超軽量のフラッグシップ「P Line」が追加されました。以前から噂は出ていたのですが、英国サイト・日本代理店のサイトで正式に発表されています。 ブロンプトンは筆者もかつて「S6L」と呼ばれて...

先行き明るいニュースではありませんが、日本国内では今のところコロナウイルス蔓延は謎めいた「谷」の状況。比較的自由にサイクリングを楽しめるこの時期、万全の対策をした上で乗れるだけ乗っておき、世の憂きを忘れましょう。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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