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カメラで録画中であることを示すことでサイクリストはより安全になれるのか? クルマ社会・欧米での意見は…

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日本でも自動車対自動車、あるいは自動車対オートバイの「あおり運転」に関するニュースが度々報じられるようになっていますが、欧米(特に米国・英国)では「サイクリスト」に対するあおり・嫌がらせが日本人の私達には想像できないほど多いと言われ、ロードサイクリストが故意にクルマにはねられた、というニュースも年に1〜2度は見聞きします。

cars

そんな中、海外掲示板で「GoProなどで自分がライドを録画中であることを示したら、ドライバーの攻撃性を抑制できるだろうか?」という主旨のおもしろいスレッドが立っていたのでご紹介します。

ヘルメットにGoProをマウントしている人に聞きたいのですが、GoProのおかげで攻撃的な人やドライバーの攻撃的な振る舞いが抑制されるかもしれないと感じることはありますか?

私はこれが目的でGoProとヘルメットマウントを入手しようかと考えているのですが、実際に役立ったと考えている人がいるかどうか気になっています。

出典 Do GoPros help deter idiots in cars? – Reddit

抑止にはならないが事後には役立つ

GoPro Hero10

これに対して次のようなコメントが寄せられています。

  • もともとあなたに注意を払っていない人には録画装置もレーダーも抑止力にはならない
  • 本当に攻撃的な連中はスピードを出しすぎているか、テクスティング(=SMS等のメッセージング)に夢中になっているから気付かない
  • 抑止力としては、ノーかな… 事故の証拠としてはいいと思う。ロードレイジ(=運転を起因とする暴力行為)であれば何も止められないと思う、しかしライド中の心の余裕によって助けられる日もあるだろう。買えるなら、ないよりあったほうがいい
  • GoProのヘルメットマウントについてはわからないが、私は前後にカメラを付けている。しかし安全でないドライバーとの遭遇率は下がらなかった
  • 抑止? たぶん無理。でもカメラがあった時に起きた最悪な状況では100%相手が処罰されたし、保険は完全に私に有利なものとなった
  • そういうドライバーはサイクリストが道路を使っていいとは思っていないし、どれだけカメラがあってもそれが変わることはない
  • 私の経験ではノーだ。それに証拠を集めても、事故の後では警察は動いてくれない。少なくとも私の土地ではそうだ
  • Garminの新しいRCT715はカメラ内蔵だから、それを買おうと思っているよ。高価だが事故にあった時に便利そうだ
  • 僕はそういう人々を抑止するため、何年かGoProを身に着けている。効果はあると思う、でも個人差はあるだろう
  • クルマから人が出てきて喧嘩をふっかけてくるのを止める効果はあるんじゃないか。それに事故の後、法廷で役に立つ。ドライバーが無謀だったり注意を怠っていた証拠がないせいで、負けてしまうこともあるんだ
  • 相手が速度を落として横付けしてきて、窓を開けて怒鳴ってきたことがあったけれど、カメラを指差すと大抵はすぐ黙ったよ
  • ロサンゼルス市には自転車への嫌がらせを禁じる法律がある。もし有責なら最低$1000の民事賠償だ。動画は良い証拠になるだろう。だからいつかカメラが役立つ日も来るかもしれない
Garmin Varia RCT715は「買い」かどうか? 海外サイクリストの意見
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動画は何らかの事故・事件があった「後」の証拠としては大変役に立つ、という意見は多いですが、攻撃的なドライバーに対する心理的な抑止力にはならない・そもそもスマホでメッセージをテクスティングしているようなドライバーに対しては意味がないだろう、という声も多いです。

ちなみに私もGoProをハンドルバーやチェストにマウントして自転車に乗ることはよくあるのですが、交差点などでは相手の表情やクルマの動作から「カメラに気付いてちょっと慎重になっているのでは」と感じることはあります。が、それは単に私の思い込みかもしれません(皆さんはどうでしょうか)。

監視社会への懸念も

最後に、ちょっと考えさせられる議論を見かけたのでご紹介(抄訳)。

たぶんサイクリストと自転車部品ベンダーが長いゲームを続けなくてはいけないのかもしれない。すべてのドライバーに、すべての自転車が何もかも記録していると思わせる手段が必要ではないだろうか。

カメラが存在することをはっきりと示すような、シンプルで安価な方法はないだろうか。青・黄・赤といったわかりやすい色で録画状態を表示し、これが普及したら、実際には録画していなくもいいから「あなたは録画されています」という意味のライトパターンを表示するようなデジタル・リフレクターとか

これに対して次のような異議が寄せられています。

君が説明しているのは「パノプティコン」のことだ。私は個人的には、カメラを付けている人とは一緒に乗らないけれども、考えはわかる。(しかし)監視社会に貢献しようというのは、また別の話だ

この「パノプティコン」とは、イギリスの哲学者ジェレミ・ベンサムが考案した「全展望監視システム・円形状監獄」のことを指すと思われます。

ベンサムは「犯罪者を恒常的な監視下におけば、彼らに生産的労働習慣を身につけさせられる」と主張していた。

収容者たちにはお互いの姿や看守が見えなかった一方で、看守はその位置からすべての収容者を監視することができた。

獄房に収監された囚人がいつ看守に監視されているか、いないのか分からないままに、すべての方向から監視されているという監獄建築。(Wikipedia)より

Panopticon

パノプティコン型刑務所の例 photo: Friman CC BY-SA 3.0

自転車側は誰もが録画しているかもしれないぞ、と示すことで、ドライバーも大人しくなるのではないかという提案ですが、それは「パノプティコン」が象徴するような監視社会であり、好ましいものではないだろう、という話ですね。これはこれで頷ける話ですね。

クルマの世界ではドライブレコーダーが標準装備になっていますが、それでもあおり運転被害は発生し続けているので、カメラの存在は「大きい抑止力」にはならないのかもしれません。しかし動画で証拠が残せていると考えると、状況にも落ち着いて対応できるでしょうし、事故の補償でも役立つのは間違いなさそうですね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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