自転車キャンプ・ツーリングをしていると、調理台や食事置き場として小さいテーブルが欲しくなることがあります。今日は「自転車での携行が苦にならないサイズと重さ」の人気製品を2つご紹介します。
その前に… 下は筆者の初代アウトドアテーブル、鹿番長ことキャプテンスタッグの「アルミロールテーブル」です。非常に安定した良いものであり、これはこれでオススメなのですが(値段も2000円前後と安い)、重量が700gありしかも体積が大きいため、近距離のデイキャンプでは便利に使えるのものの、宿泊が入ると装備から外さざるをえません。
この記事で紹介する「Cascade Wild 超軽量折りたたみテーブル」と「iClimb アウトドアテーブル Mini」は、もっと小さく軽量でミニマルな製品です。Amazonレビューを見るとどちらもユーザー数が多く、評価もある程度良いため、筆者も実際に購入して使ってみました。
Cascade Wild 超軽量折りたたみテーブル
まずは「Cascade Wild 超軽量折りたたみテーブル」から。これは実測重量67g(公称平均65g) と超軽量で、折りたたみ時のサイズは横30cm・縦9cm・厚み2cm。価格は筆者購入時、¥2,420でした。素材は強化ダンボールのような質感で、手に取ると正直「えっこれでこの値段は高すぎるんじゃないの」という印象を持ちました。
しかし機能性に優れたアイデア商品であるなら「高い」などとは申しません。何かすごい特徴がないかどうか、細部を確かめていきましょう。
まず2cmという厚みは合格。ボタンでパチパチと留めるタイプ。軽さとコンパクトさは圧倒的に優れており、これでちゃんと使えるならありがたい。ジャージの背中ポケットに入れても気にならないくらいの軽さ。寸法的にはシートパックや一部のフレームバッグにも入るでしょう。
展開すると箱になり、数カ所をベルクロで張り合わせる仕組みです。何も難しいところはありません。
しかし組み上がるとジワジワとイヤな予感がしてきました。これは… テーブルというより、屋根に近い傾斜では…
予感は的中し、軽いものは全く安定しないことがわかりました。チップスターは勿論ダメ。350mlのお湯が入ったカップヌードルでもダメ。クッカーも安定的に使うのは難しく、コーヒーをドリップするのもこのままでは無理。折り目にクセを付けることである程度までフラットにはできるのですが、完全に平らにはならず、またこれを繰り返していると壊れると思います。
しかし1kg以上のものを載せると安定してきます(なお耐荷重は4.5kg)。左に乗っているのは1Lの水で、ようやくテーブルが凹んできたのがわかります。右側のチップスターのほうはまだ下が膨らんでいます。片側に常に1L以上の何かを載せておけるのなら、なんとか使えそうではあります。運用上で高度なスキルと段取りが要求される製品です。
発想を変えて、いっそのことひっくり返してバスケットのように使ったほうが便利な気もしてきました。調理台として使う場合もむしろこのほうが風防にもなって良かったりして… 食べ物も置けます。この使い方が実は正解なのでは…
良いところしては両サイドに反射素材が貼ってあり、夜の宿泊地で発見しやすい利点があります。しかしそういう付加機能よりも、肝心の天板がもっと平たくならないものか…
このCascade Wildのテーブルは、100均ショップで非常に良く似たものが売られているという話も聞きます(たしかセリア)。細部の完成度が同じかどうかは不明ですが、そもそも細部の完成度が高いとは決して言い難いため、どちらを買っても大きい違いはないかもしれません。
素材が「プラスチック」とあったので、筆者はもっとソリッドな製品を想像していたのですが、実物の質感・剛性感はプラスチックというより段ボールに近いもので、自作してもかなり近い品質のものを作れるのではないかと思います。しかし、後述するように一概に酷評すべき製品でもないとは思います。
iClimb アウトドアテーブル Mini
次は「iClimb アウトドアテーブル Mini」をご紹介。こちらはアルミ製で、実測重量は285g。公称重量は280g(+/-10g)。付属のポーチ込みだと実測334g。上で見たCascade Wild 5個分の重さですが、これでも十分に軽いほうだと思います。ポーチ収納時の寸法は縦27cm、横15cm、厚み2.5cmといったところ。Cascade Wildよりも縦は短いです。
お値段は筆者購入時¥2,290で、なんとこちらのほうがCascade Wildよりも安い。内容はアルミの板2枚と、脚が2組。ポーチの中には仕切りがあるので板と足は別々に収納できます。
組み立てには、若干の慣れと少々の力が必要です。まず2枚の板をひっくり返して合わせ、両サイドに脚の先端を差し込みます。テントの四隅の穴にポールを通すとテンションがかかる、あの感じに似ています。
その後は脚をグイッと内側に寄せて、スロットに差し込んで固定します。合わせた板を胸に押し当てて作業するなど、結構力が必要で、仕組みを覚えて慣れる必要はあるものの、バカ力までは不要。手数は発生しますが、個人的にはストレスとまでは感じません。また、板の角はバリもないので作業時に怪我をすることはないです。
ある程度の力をかけて組み立てるだけあって、剛性感が高くテーブルの水平も完璧です。この状態でのサイズは25cmx25cmの正方形。公称耐荷重も15kgと十分以上。モノが転がっていかないよう縁が盛り上がっているのも良し。傾斜があっても箸などが落ちないのでありがたいですね。
どちらがモノを置きやすいかは一目瞭然ですね。あなたならどちらを選ぶでしょうか…
ところでiClimb アウトドアテーブルには、筆者が使っているMiniの他に、Sサイズ・Lサイズもあります。自転車キャンプならこのMiniがちょうど良いサイズかなと思います。
期待値によって変わる製品の評価
製品の評価は、ユーザーがそれに何を期待しているのかという「期待値」によって大きく変わります。最初に紹介したCascade Wildは「とにかく安定した土台が欲しい」というユーザーなら星1つの低評価を付すことになるでしょう。しかし「安定度は自分で高めるから極限まで軽量にしてほしい」というウルトラライト志向の熟達者は星4つを付けるかもしれません。
実際に使ってみて、私自身も自転車旅行の一軍装備としてはiClimbを選ぶことにしましたが、いずれCascade Wildが活躍する機会もありそうな気はしています。267gの差があるので、荷物全体の軽量化に迫られた時はやはり採用の見込みが出てきます。展開や収納もより簡単で、重いものを載せるのであれば十分に使えます。
とはいえ、重量・価格・使いやすさのバランスが取れているのはiClimbのアウトドアテーブルのほうですね。
ところでEvernew(エバニュー)というブランドから、公称重量233gのアルミテーブルが出ています。今回紹介したiClimb Miniより50g強軽量です。
寸法は29.5×18.6×高さ9.3cmで、天板は折り畳めないもののパニアバッグには簡単に入るでしょう。組み立てが不要なところも良い。しかし価格は¥5,707と、今回紹介したものの倍になります。登山用品店で実物を触りましたが、品質は良いように見えました。ご参考まで。