自転車旅行はエピック(epic, 壮大なもの)である必要はありません、というおもしろいタイトルの投稿を海外掲示板で見かけました。小さい旅だっていいんですよ、という主張です。
もう一人のお父さんと、両方の娘たちと24時間以下の自転車ツーリングに行ってきました。C and O canal(訳注:Chesapeake and Ohio Canal, 米国ワシントンD.C.〜メリーランドにかけてある国立歴史公園)を往復で16マイル(≒25.7km)しただけですが、思い出、独立心、もっとやりたいという気持ちを作れたら良かったかなと思います。MM 55(※MM=マイルマーカー)を出発し、MM 62の近くでキャンプしました。他の多くのグループの人達とキャンプサイトを共有したのですが、みなお互いを尊重しあって親切でした。
出典 It doesn’t have to be epic to be bike touring.
参考 Chesapeake & Ohio Canal National Historical Park (U.S. National Park Service)
言及されているChesapeake and Ohio Canalは、インスタ投稿によると全長184.5マイル(≒297km)。年間を通じてハイカーやサイクリストに開放されており、馬に乗れるところもたくさんあるのだそうです。
コメント欄からいくつか抜粋。
- 俺にはエピック(壮大)に見えるぞ(21いいね)
- 1000%エピックですよ(8いいね)
- 彼等には(=子供たちにとっては)エピックだったと思う(19いいね)
- これはかなりエピックだと言いたい(7いいね)
- 人生で優勝中ですね(You’re winning at life)(3いいね)
- 一泊旅行は大好き。長い旅行に行けないときは、星の下で過ごす時間のために自転車で出かけていくと素晴らしいメンタルのリセットになります(2いいね)
- エピックな思い出になります(1いいね)
さて「エピック」という言葉については、私も同じようなことを考えたことがあります(下の2年前の記事の後半で触れています)。
Epicという言葉は、もともとは「叙事詩」というような意味ですが、近年の英語では「壮大なスケールのすごいもの」を示すカジュアルな表現として使われることが多いと思います。エピックなライド、という表現だと、二度と見られないような絶景の中を、精根尽き果てるまで走り抜く、みたいなイメージを持ったりします。
全然悪い言葉ではないと思いますが(便利でカッコいい表現なので私もよく使います)、なぜ「エピックである必要はない」という発想が生まれるのかを考えると、その背景にあるのは例えば「インスタ映え」のようなものにみんな疲れている、ということがあるのだろうと思います。
「エピック」なものは多くのSNSのアルゴリズムでも優遇されるので、ついそういう内容の投稿が多くなるせいもあるでしょう。The longest… The hardest… The most xxx you’ve ever seen… 等々、「最も◯◯な◯◯」みたいなYouTube動画も「当たる」のでみんなそれをやってしまう。そして気がつくと、そういうものでなければ価値がない、という考えに誰もが簡単に陥ってしまう。
スパイスの効いた料理は美味しいし、私も大好きですが、どうしてもよりスパイシーに、もっと辛く、美味いものをもっともっとたくさん… という方向に行ってしまいがちです(それはそれで楽しいけど)。
そうじゃなくても楽しめますよ、というのがスレ主さんの主張なのだろうと思います。タイトルだけで100%共感しました。日本語だと「こういうのでいいんだよ」というネットミーム的な表現がありますが、それと関係する話題かもしれませんね。