海外ではサイクリストがグループライド中やライド後、コーヒーショップに立ち寄ることが当たり前のようになっています。近年では日本でもライド中にコーヒーを楽しむサイクリストが増えてきている印象があり、ヒルクライムで有名な峠には週末に出張カフェが現れたりもしていますね。
それにしても、なぜコーヒーなのか。サイクリストはなんでこんなにコーヒーが好きなんだろうね(なんでみんなコーヒーに熱心なの?)という議論が海外掲示板で行われています。そこで寄せられた意見を眺めていると、概ね5つの理由に分類できそうに思えます。
出典 What’s the deal with the coffee obsession amongst cyclists?
契約・法律だから
まずは「決まりだから」説。
- ライドの終わりをエスプレッソで締めくくらないとコンポを取り上げられるという契約をカンパニョーロに結ばされたからだよ
- ビアンキオーナーとして、俺は休憩のたびにカプチーノを飲まねばならないという国際法に縛られている
イタリアンバイクに乗っている人にとって、コーヒーは選択肢の1つではなく「法」である…
軽量化できるから
朝に済ませられるから!軽量化できるから!という声もあります。つまりライド中・ライド後だけでなくライド前にも飲みます。これは確かにその通りですね。
- 大をすると軽くなる、軽いほうが良い
- ビッグライドの前にトイレを済ませておきたいだろう。コーヒーが排泄を助けてくれる
- ウェアを着る前に「No.2」を済ませておきたいからさ
しかしコーヒーの「精神的なシャッキリ効果」は朝イチで得てしまうとその後は効果が低減するとも言われていたり、利尿効果もあるのでそれも注意したいところ。
社会的活動だから
コーヒーはソーシャライジングのために重要である、という意見も多く見られます。人間はコミュニケーションを好む動物であり、自転車の盗難などを心配することなく仲間と短時間でサクッと会話を楽しめる時間がいい、ということのようです。
- 多くの人にとってサイクリングはソーシャル活動であり、ライド後の友達とのコーヒーは楽しいというのがあると思う
- 部族主義的なものだと思う。どの趣味でもある。多くの人は単に集団に付いていき、人気のある活動を行うことで集団に適応し、好かれるから
- 人は休憩やリラックスして会話できる目的地やランドマークが必要だから。屋内にも屋外にも席があってバイクを監視できたり天候から身を守れる。多くの人は高級なエスプレッソマシンを持っていないし、提供される焼き菓子も好きだ
- 短時間だし、汗臭いウェアでレストランに迷惑をかけることなく楽しめる
日本に住んでいて少し残念なところは、道路交通法の関係で歩道沿いにテラス席を設けられるカフェがあまり多くないところ。テラス席はサイクリストにはありがたいですよね。
人間だから
コーヒーが好きなのは人間だから、という極論も見られます。サイクリスト云々ではない。お前何言ってんだ、そもそも人間はコーヒーが好きだろ? という、ある意味納得の極論です。
- コーヒーは(単に)死ぬほど美味いからだ
- コーヒー豆で濾過されていない水を飲むのは困難だ
- 俺たちは自転車にも乗るただの人間だから
- ランナーもランの後のコーヒーを好む。活動はコーヒーのための言い訳にすぎない
- サイクリング特有の現象ではない。土曜の午前に3〜4時間外で過ごしたら、活動が何であれ最後はコーヒーショップで終わる
パフォーマンスが増強されるから
コーヒーが運動能力を高めてくれるという意見も勿論見られます。
- カフェインは2004年までドーピングリストに載っていたパフォーマンス増強物質だからな
- コーヒーはFTPを5Wプラスしてくれる
- コーヒーは肝臓からグルコースを放出しやすくしてくれる
- 血流や呼吸を改善してくれるし頭も少しスッキリするから
コーヒーはお好き?
読者の皆様もコーヒーはお好きでしょうか。私自身は、思い返せば20代の頃、普通にコーヒーは飲んでいたものの、大好きだったとか、ものすごく美味しいと感じてはいなかったと思います。カフェインの覚醒効果は感じていましたが、フレイバーが等に好きというわけでもありませんでした。
しかし30歳を過ぎてから次第に味覚・嗅覚が変化していき、苦いもの・香りが独特なものを好むようになり、今ではコーヒー大好き人間。毎日豆を挽いて数杯飲みます。ライド中に外で淹れたりもします。今は苦手だという方も、いつか夢中になるかもしれません。人間の細胞は7年ですべて新しいものに更新されるので、味覚が変わっても不思議ではありません。
最近はコーヒー以外に紅茶にもハマっています。コーヒーにも様々な種類がありますが、紅茶にも様々な茶葉やフレイバーがあって楽しめます。ちなみにカフェインだけに着目すると、紅茶はコーヒーよりもカフェイン含有量はずっと少なく、逆に日本茶の「玉露」にはコーヒーより多くカフェインを含むものもあります。
しかしコーヒーが持っている「香り」が与えてくれる多幸感はやはり別格で、個人的には紅茶や日本茶を凌ぐものを感じてしまいます。
栄養的な観点では、コーヒー・紅茶はカフェイン以外にポリフェノールを豊富に含みます。コーヒーに含まれるクロロゲン酸も、チャに含まれるカテキンも、同様に抗酸化作用があります。簡単に言うと、細胞レベルでのストレスを軽減し、損傷を修復する効果が期待できます(しかし夕方以降に飲むと睡眠の質が落ちるので気を付けましょう)。