シングルスピードバイク関連の話題になります。リアディレイラーをテンショナーとして使ってみたので、作業時に気付いたことや感想などをお伝えしたいと思います。
そもそも写真の自転車はシングルスピードに対応しているオールロード・グラベルバイクで、チェーン引きの機能が入っているモデルです(スライドエンド。ギアードにもできる変わった自転車です)。そのためこの自転車をシングルスピードで運用する場合、テンショナーは本来必要ありません。
シングルスピードのフロントトリプル化で活用
だがしかし。リアがシングルスピードでも、フロントがトリプルチェーンリングだったら…!? 歯数差を吸収するためにテンショナーがどうしても必要になります。このバイクでは1x(ワンバイ)ならぬ3x(スリーバイ)を試しているのです(リアにコグが2枚入っているのですが、話が複雑になるので一度見なかったことにして下さい)。
まずは手持ちのテンショナー(AKI WORLD製品)を試してみたのですが、トリプルチェーンリングではさすがにうまく機能しませんでした(色々試したけれどダメでした。ダブルならギリで行けそうではありました。話が長くなるので今回詳細は割愛)。そこで今たまたま使っていないUltegra RXのRDをテンショナーとして使うことにしたのです。
プーリーの位置決め
シフトワイヤーはバレルアジャスターに直入れして留めます(これを最初に考えた人の頭の柔軟さよ!)。
プーリーの位置決めは、コグの位置がかなり外側寄りであればディレイラーのリミットスクリューを動かす(=Highを内側に寄せる)だけでやれそうではありましたが、私は現在のコグの位置をとりあえず変更したくなかったので、ディレイラーのボディを「このヘンかな?」というところまで手で押し下げて、その位置でシフトワイヤーを締め直しました(それほど難しくはなかった)。
完成
フロントチェーンリングをインナーにした時のテンションのかかり具合はこんな感じです。テンショナーの役割を果たすものがないとチェーンがダルダルになりすぎてしまい、走れません。
アウターチェーンリングにした時のテンションのかかり具合はこちら。これでもチェーンは最短の設定です(これよりワンリンク少ないともう入らなかった)。海外掲示板などを見るとアッパープーリーは外してしまう方もいるようですね。
ついでにリアも変速できるか
ちなみにリアにはシングルスピード用のコグが2枚入っています。これはギア比を変更したくなった時に手動で掛け替えるのですが、最近こんな情報を目にしていたのでバレルアジャスターでリアも変速できないかどうか、試してみることにしました。
結論としては「やれないことはなかった」のですが、シマノのモダン・メカニカル・リアディレイラーのバレルアジャスターは個人的にはとても回しづらく、この目的であればビンテージの中古RDを使ったほうが快適かもしれないと思いました。またワイヤーテンションだけでチェーンを常にうまく隣に移動させるにはファインチューンが必要な感じでした。
今回の作業でいちばん面倒、というか手間取ったのはチェーンの長さ。様々な設定を試していたせいもあるのですが、最終的にクイックリンクやミッシングリンクを3個も使ってしまい、フランケンチェーンになってしまいました。この状態で問題なく乗れているのですが「これは大丈夫なのか」とやや不安ではあります。
さて、こうしてテンショナーとして活躍することになった休眠中のリアディレイラー。その仕事ぶりは完璧で、市販されているテンショナーに対して何か劣っているところがあるとしたら重量くらいではなかろうか、と思えました。テンションの掛かり方はどんなテンショナーよりも良いのではないでしょうか。市販のテンショナーでうまく行かないという方は中古RDを安価に入手して試してみてはどうでしょう。
シフトワイヤーは10cmくらいしか使わないので「も、もったいねぇ!」という感じはしました。シフトワイヤーを交換する時は、古いものをこうした改造の時のために保存しておくのも良いかもしれないですね。