ステム製品レビュー

CXWXCのアジャスタブルステム(XT-AS822)は全体的には良いものなのに重大な欠点がひとつあってとても惜しい

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CXWXCのアジャスタブルステム(型番XT-AS822)のレビュー記事です。ライズ角を変更できるステムで、長さは90/110/130/145mmの4種から選べます(筆者が購入したのは110mmで、この場合の型番は「XT-AS822-110」となります)。オーバーサイズハンドル用。

基本的には非常に良い製品だと思うのですが、人によっては看過できないであろう大きい欠点がひとつあり、何とも「惜しい」製品であると感じます。

初期は非常に満足度が高かったのだが…

まずはなぜこのステムを選んだか、というところから。グラベル・オールロード系バイクの1台に、Weerasというブランドから出ているSurly Corner Bar形状ハンドルを導入したのですが、これが不思議なハンドルで、一般的なドロップハンドルに比べると驚くほど高いステム位置が求められることがわかりました。

しかし「正解」は様々な高さを試してみないとわからない。立派なステムを何種類も「お試し」すると、2万円くらいの出費になりかねない。そこでCXWXCのこの可変タイプステムを試すことになったのです。製品を受け取った時から使用開始直後までは、かなり満足していました。個人的にはカッコ良く思えるデザインで、各部の精度も出ていて不安なところがありません。

角度の目盛りは85まで切られていますが、実際に設定可能なのは+/-70度。ここで当たり前すぎる重要情報ですが、筆者は「110mmくらいのリーチを確保したい。それでいてかなりアップライトにしたい」と考えて110mmサイズを選んだのですが、ステム位置が高くなればなるほどリーチが縮むため、それも考慮した上で少し長めのものを買ったほうが良い場合もあるように思いました(私の場合は結果的には110mmで満足できたのでラッキーでした)。

付属のボルトの品質も悪くない印象で、Amazonレビューを読むと角度を変更するパーツがうまく噛み合わないというトラブルを経験している方も複数いるようですが、私の場合はそういう問題は発生しませんでした(丁寧に作業しているからなのか、当たり個体を掴んだからなのかはわかりません)。

3,000円以下という値段を考えると、かなり立派な製品だ、と思いました。少なくとも下の記事で紹介したAzarxisのステムとは別カテゴリーの製品です。

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パキッ!という残念な音が

しかし継続的に使用するうちに、大きい欠点が露呈することになりました。それは「異音」です。走行中に「パキッ」という異音が聞こえるようになったのです。特に上り坂で顕著で、ハンドルにトルクがかかると、恐らく角度調整部から軋み音が出るのだろうと思います。立ち漕ぎをすると再現もできます。

初回インストール後、たぶん100kmほど使った後だと思いますが、ボルトが全体的に緩んでいる感じはあったのでそこで増し締め。それ以降は数百km走ってもボルト各部の緩み自体はありません。しかし登坂中の「パキッ、パキッ」という異音は相変わらずです。音の発生源は、やはり角度を変更するギアのようなパーツあたりではないかという印象です。

バンプの多いオフロードの下りを40〜50km/hで下り続ける、という感じのライドを何度もやっていて、「異音は出るがステム自体が崩壊することはたぶんないだろう」と感じてはいますが、自分以外の他人に「これは安全な製品ですから安心して使ってください」とおすすめすることは、できません。また、そもそも「パキッ」という異音なんか絶対にイヤだ、という人も少なくないと思います。

そのうちこのステムで可能になったポジションを再現できる普通のステムを手に入れたほうがいいなぁ、と思いつつ、ドンピシャなスペックのステムがなかなか見つからずに日々が過ぎていき、結局これを使い続けています。私としてはデザインも好みで、重さもグラベルバイクであれば気にならない程度のものですし、なんとももったいないな、という気がします。

この「軋み音」はAmazonレビューでも散見されることから、個体ではなく設計上の問題だろうと思います。私のようなハードな使い方を考えると、適正に組み付けられている場合、街乗りミニベロなどであれば音が出ても壊れることはないような気はしますが、体重や乗り方によって変わると思うので、導入を考えている方は慎重に判断されたほうが良いでしょう。

このタイプのステムはAmazonで「アジャスタブル」「角度調整」「可変式」といったキーワードを加えることで他社製品も数多くヒットします。構造的にある程度の軋み音は避けられない製品なのかもしれませんが、比較検討してみてはどうでしょうか。基本的にはポジション出しを目的として使い、ある程度の期間使い続ける必要が出たらボルトのチェックは頻繁に行ったほうが良いでしょう。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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