もう満員電車はイヤだ。そろそろコロナウイルス感染の心配が少ない自転車で通勤したい。通学したい。
- でも、どんな自転車を最初に買えばいいんだろう?
- せっかくならホムセンで売ってる1万円以下のママチャリじゃない、スポーツタイプの「いい自転車」で通勤通学をはじめてみたいんだけど…
- ロードバイクが人気らしい。でも本当にロードバイクでいいんだろうか?
そんなふうに悩んだ結果このページに到着したあなたのために、この記事を書いてみることにしました。
筆者には10年以上の自転車通勤・通学の経験があります。何度か転職しているので、会社までの距離も3kmだったり、5kmだったり、23kmだったりと様々です(ただし毎日必ずジテツウというわけではありません)。
自転車も、クロスバイク・MTB・ロードバイク・ミニベロ等々、様々なスポーツバイクでの通勤を試しました。
そんな私の経験を踏まえて、
はじめての自転車通勤におすすめしたいアンダー10万円の「いい自転車」
をご紹介したいと思います。
自転車通勤のメリット
その前に軽く「自転車通勤のメリット」について、あらためて触れておきましょう。すぐに思いつくだけでも次のような数々のメリットがあります。
- 混雑した電車内でウイルスや細菌に感染するリスクを減らすことができる
- 自然なダイエット効果を得られる
- 安全運転のためにはより多くの注意力を求められるので脳が活性化する
- 脚を回すことで血行が良くなり日光を浴びることでビタミンDが増え骨が丈夫になりセロトニンが増えハッピーになる等々健康に良い
勿論、デメリットもないわけではありません。
交通事故に合う確率は電車通勤よりも高くなるでしょう。途中でパンクしたら、遅刻することもあるかもしれません。また、肌に有害な紫外線にさらされる時間も増えます。
しかしそれらは、ある程度まで自分でコントロールできるデメリットです。
自転車通勤は、はじめなければ損です。興味を持っている方は、すぐにはじめましょう。
いきなり毎日かならず自転車通勤する、でなくとも良いのです。できそうな時だけ、週に2度、3度だけ自転車で職場や学校に通うだけでも、多くのメリットを感じられるでしょう。
主なスポーツバイクの種類とそれぞれの特徴
では本題です。自転車通勤をはじめるにあたり、ある程度「いい自転車」が欲しい場合、どんなジャンル(タイプ)の自転車を選べばいいのでしょうか。
まず、そのジャンルごとのメリットとデメリットを順番に見て行った上で、最後に私がおすすめしたいジャンルの自転車を紹介したいと思います。
それでは見ていきましょう。
ロードバイク
自転車通勤、という言葉でまず「ロードバイク」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
ロードバイクに共通する特徴としては、
- ドロップハンドルである
- 多段変速である
- タイヤが細め
- 車体が軽量である
などが挙げられます。
ロードバイクは「速く走る・遠くまで走る」ために最適化されている自転車です。
ドロップハンドルが使われているのは、ハンドルの下側を持って空気抵抗を減らして速く走れたり、ハンドルのいろんな部分を持って姿勢を変えることによって、身体の負担を少なくしながら長距離を走れるからです。
変速機が充実しているのも、きめ細かく負荷を調整することで、なるべく少ない体力で長距離を速く走り続けるためです。
そんなロードバイクは、自転車通勤に向いているでしょうか?
ロードバイクがあらゆる自転車の中で最も自転車通勤に向いているとは、言えません。
むしろオーバースペックな場合が多いです。たとえば片道5kmや10km程度の距離であれば、ドロップハンドルでなくとも全く困りません。また、坂道がなければ20段変速や22段変速も、なくても平気です。
クロスバイク
ではクロスバイクと呼ばれる自転車はどうでしょう。この自転車の特徴は、
- フラットバーハンドルである
- 多段変速である
- ロードバイクよりはやや太めのタイヤが使われている
- ブレーキが「Vブレーキ」と呼ばれるタイプが使われている
ことです。
さてこのクロスバイクは、自転車通勤に向いているでしょうか?
どちらかというと向いている、と言って良いと思います。ロードバイクと同じ、700Cと呼ばれるサイズの大きいホイールが使われていますし、それでいてタイヤがやや太めのものが使われていることが多いので、もし車道と歩道を頻繁に行き来する必要がある場合は有利です。
フラットバーも自転車通勤には必要十分なハンドルで、スポーツバイク初心者にとっては使いやすいでしょう。ブレーキも、ドロップハンドルの自転車よりもかけやすいです。
ちなみに「Vブレーキ」の場合、調整やパンクした時にホイールを外す作業が、ロードバイクよりも少しだけ面倒です。まぁ、でもこれは大した違いではないので気にしなくとも良いです。
マウンテンバイク(MTB)
次にマウンテンバイクはどうでしょうか。これも一概には言えないのですが、基本的な特徴を抽出すると、
- ノブのある極太のタイヤが使われている
- 多段変速である
- フロントまたはリア、あるいは両方にサスペンションが備わっている
のがマウンテンバイク。
マウンテンバイクは、自転車通勤には向いているでしょうか?
基本的には向いていない、と言えます。山道や林道、トレイルを経由して職場や学校に行く場合は向いているかもしれませんが、アスファルトの道を走るのであれば、ノブの突き出た太いタイヤは重いだけで、あまり軽快ではありません。
また、市街地ではサスペンションも不要です。あればあったでなかなか楽しいので、「MTBが好きだからMTBで通勤する」のは大いにアリですが、「MTBは自転車通勤に向いている」とは言い難いです。
グラベルロード
最近「グラベルロード」と呼ばれるタイプの自転車が人気です。
簡単に言うと、これは「ロードバイクを砂利道のような悪路でも走れるように進化させたもの」と言えます。
ロードバイクのように速く、あるいは長距離を走る性能を保ったまま、MTBのような太いタイヤも使えるようになっていることが多いので、舗装路も山道もバランスよく走れて便利です。
グラベルロードは自転車通勤には向いているでしょうか?
自転車通勤といってもどんな道を走るかは人によって千差万別なので一概には言えないのですが、ルートの大部分が舗装路である場合は、特にグラベルロードを選ぶ理由はないでしょう。
ミニベロ(小径車)
ミニベロはどうでしょうか。小径車、とも呼ばれます。
ミニベロの特徴は、
- 車輪が小さい
- 車体がコンパクトである
- 小さいので、人が多い歩道などでも取り回しが良い
- 漕ぎ出しが軽い
- 徒歩に近い安心感がある
などが挙げられます。
大きいデメリットとしては、車輪が小さいので段差に弱いことです(※小径でも20インチ以上のホイールなら比較的気になりません)。
慣れないうちは、縁石を乗り越えようとする場合、車輪がひっかかって転んでしまうこともあるでしょう。
さて、ミニベロは自転車通勤には向いているでしょうか?
距離によると思います。例えば片道3km程度なら大いに「アリ」かもしれません。また、人が多い場所を走らなければならない場合にも向いているでしょう。
しかし車輪が小さいぶん、ある程度高速で走り続けようとすると、速度を維持するのに体力を使います。さらに路面からの衝撃も手に強く伝わります。そのため距離が長い方の場合は、疲れやすくなるかもしれません。
シングルスピード(トラックバイク・ピストバイク)
シングルスピードバイク、と呼ばれる自転車です。トラックバイク、またはピストバイクと呼ばれることもあります。
シングルスピードバイクをいちばん簡単に説明するなら、
ロードバイクから変速機を取り去ったようなもの
と言えます。
変速機がないため、坂道でギアを軽くしたり、超高速で走り続けたい時にギアを重くするといったことは、できません。
なお後輪は「固定ギア」のタイプと「フリーギア」のタイプ、または両方のギアを備えたものがありますが、自転車通勤をはじめたい、という方には「フリーギア」のタイプをおすすめします(固定ギアは慣れないと大変危険です)。
さて、シングルスピードバイクは自転車通勤に向いているでしょうか?
アンダー10万円で買える、自転車通勤に向いている「いい自転車」として、私はこのシングルスピードを自転車通勤におすすめします。理由は後ほど、詳しく解説します。
ルック車について
自転車のジャンル、タイプというわけではないですが「ルック車」と呼ばれる自転車についても軽く触れておきます。
「ルック車」はスポーツタイプのように見える、スポーツバイク・ルックの自転車、から来ている呼び名です。
ぱっと見た感じ、いかにもスポーツバイクのように見えるものの、車体に高級外車(クルマ)のブランド名が書いてある場合が多いです。
ルック車には、きちんとした性能の良い自転車も存在はします。
たとえば下の小径車などは「ルック車」とは言えない感じです。
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しかし「ルック車」の中にはスポーツバイクとして必要十分な強度を持っていないものも多数あります。見た目はマウンテンバイクなのに「悪路走行禁止」というステッカーが貼ってあったら、それは「ルック車」ということになります。
個人的には「いい自転車が欲しい」と思ったら、ルック車は避けたほうが良いと思います。自転車メーカーとして知名度のある、有名なブランドの品を選びましょう。
電動アシスト付きのスポーツバイクは?
最後に電動アシスト付きのスポーツバイクについても触れておきます。
電動アシストの付いたロードバイク、クロスバイク、ミニベロ、MTB… 様々なタイプの自転車が販売されています。
自転車通勤で使う場合、もし片道の距離が15kmや20km以上もあって、途中に長い坂道がある、といった場合は、検討する価値があると思います。
しかしそうでない場合、毎回の充電作業が面倒になります。車体も重く、取り回しがしやすいとは言えません。
また、通勤で乗る程度の距離の場合、ダイエット効果はゼロとは言いませんが、かなり落ちます(でも脚を動かすわけですから血行は良くなりますし、健康自体には良いです)。
値段も、10万円では性能の良いスポーツタイプの電動アシストバイクはとても買えません。
というわけで、個人的にはあまりおすすめしません。片道30km、40kmという距離なら勿論、視野に入れて良いでしょう。でも、いいものは10万円では買えません。
自転車通勤・通学に私がイチオシするタイプはこれ
これまで見てきた様々な自転車のタイプの中で、予算が10万円以内と考えた場合、自転車通勤・通学に私がイチオシするタイプの自転車は何か。
それはシングルスピードです。ロードバイクから変速機を取り去ったタイプの自転車です。下はネットでも店舗でも入手しやすいシングルスピードバイクの代表格、FUJIのFeatherと呼ばれるモデルです。実勢価格は7〜8万円ほどです。
「フラットバー」のシングルスピードなら、さらに自転車通勤に向いていると思います。そういうモデルもあり、下はやはりFUJIのStrollというモデルです。これは実勢価格が5〜6万円です。
私がシングルスピードを通勤・通学に推す理由
職場や学校までの走行ルートに、ものすごくキツい坂道がない。あるいは、長い長い坂道がない。砂利道区間もない。大部分が舗装路であり、車道と歩道の両方を走ることがある。走行距離は5〜25km程度の範囲である。
そんな場合、私は上で見たような「フラットバーのシングルスピード」を推します。その理由は
- ロードバイクのように車輪が大きく、走破性が良いから(段差などを比較的ラクに超えられる)
- フラットバーならコントロールもしやすく、咄嗟のブレーキもかけやすいから
- 坂道が少ないなら変速機は必要不可欠ではないから
- 変速機がないぶん、メカトラブルも減るから
- 駆動系のメンテナンス・クリーニング作業も他の自転車より少なくて済むから
- メカが少ないぶん、値段が安くなるから
- 安いモデルでも高級ロードバイクなみに車体が軽量なことがあるから
- 将来的にロードバイクやミニベロやMTBを買い増しすることになっても、シングルスピードバイクの楽しさは他の自転車では味わえないものなので、陳腐化しないから
といったものです。
ただ、先にも書いたように、自転車初心者の方は、ドロップハンドルのシングルスピードバイクの場合はフラットバー・ハンドルへの交換をおすすめします。
ドロップハンドルでも悪くはないのですが、慣れていないとハンドリングやコントロールが難しく感じられる場合があるでしょう。ブレーキをかける動作も、ワンテンポ遅れてしまう場合があるかもしれません。
唯一デメリットというか、短所的なことを書いておくと、他のタイプの自転車とは違い、パンク修理のためにホイールを外す場合、15mmの六角レンチが必要になる車体が多いことです(写真下の工具)。作業自体は全く難しくはありませんが、「クイックリリース」と呼ばれるタイプよりもホイールを外す手間は増えます。
小さい15mmレンチを携帯する必要はありますが、まぁそれくらいは携帯しましょう。
ロードバイク同様の走破性のあるホイールを持ち、ブレーキも調整しやすく、走行中にチェーンが絡まったりするリスクもなく、フロントディレイラーと呼ばれる変速機がないので右足の裾が汚れることもほとんどなく、自転車本来の軽快な走りを楽しめるシングルスピードバイク。
でも途中で少し坂道があるんだよなぁ、と思ったあなた。少々の坂道でしたら、変速機に頼らずに登っていったほうが、脚力が付きます。健康増進効果、ダイエット効果の面を考えても良い効果があります。
また、シングルスピードバイクのバイクにはギアは1つしか付いていませんが、そのギアでいつもの坂道を登るのがきつい場合、少し歯数の大きいギア(=コグ、スプロケットなどと呼ばれます)に後から交換することもできます。
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どんなタイプの自転車が通勤や通学に向いているか。そこに唯一の正解は、ありません。
たとえば碓氷峠や箱根を越えて通勤しなければならないような人にとって、シングルスピードバイクは正解ではないでしょう。
しかし例えば東京都下から23区内に向けて電車で通勤しているような方には、私はシングルスピードバイクを「10万円以下で買えるいい自転車」の最有力候補として推したいと思います。
メーカーとしては、FUJIがいちばん入手しやすく、値段も安くて品質も良いですが、Cinelliなども有名ですね。
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そして10万円の予算でシングルスピードバイクを買って、2〜3万円のお釣りが出た場合は、それを使って必要最低限の備品を買います。最初に必要なのは
- カギ
- 前後ライト
- ヘルメット
- 予備のチューブ1本とパンクパッチ
- 携帯用空気入れ
- 15mmレンチ
です。ベルは、日本で自転車を買うと通販でも店頭でも必ず無料で付いてくるので、最初はそれを使うと良いでしょう。シングルスピードなら、ペダルも安いフラットペダルがまず付いてきます。
自転車通勤をはじめるコツ、続けるコツとしては、最初からあれこれ揃えようとは思わないこと。自転車専用リュック、専用シューズ、サイクルコンピューター等々は、絶対に必要はものではありません。そういうものは、何度か乗りながら考えて行けば良いでしょう。
ただ紫外線だけは最初から気をつけたほうが良いです。5kmや10kmならグローブはいらないと思うかもしれませんが、手は結構日焼けします。顔は勿論です。
グローブやフェイスカバー、安いサングラスなど何かと必要になってくるので、10万円の予算のうちやはり2〜3万円は残しておいたほうが良いでしょう。
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