昨日、海外の自転車掲示板を眺めていたら「インナーチューブのバルブナットはないといけないのか、あれは何のためにあるのか」が話題になっているスレッドがあり、有益な情報が含まれていたので紹介しようと思ったのですが、いま見るとそのスレッドが消えていました。若干炎上気味だったのでスレ主さんがスレッドを削除したのかもしれません。
インターネットでは最終的に「学び」を得られれば良いのですから、自分の意見を押し付けてきたり相手を平伏させたいだけの人は無視しておけばいいのに、もったいないなぁ、と思います。近年のインターネットはやや窮屈なものになりつつあります。
さてどんなことが書かれていたかというと、ある方が「パンクした自転車をショップに持っていったら、バルブナットを締めすぎたからパンクしたんじゃないか、バルブナットは百害あって一利なしだからあんなもん外したほうがいい、と言われた。実際どうなんですか?」という内容でした。
利点はある
バルブキャップについても同じことが言えると思うのですが、バルブナットも製品に付属してくるからには当然、何らかの意味があるわけです。ではどんな意味があるかというと…
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まずインナーチューブ付属のバルブナットについて言えば(チューブレスバルブは別の話になるので後述します)、「空気が入っていない時にある程度まで締めておくとバルブがグラグラしないので空気を入れやすくなる」ということは言えます。
しかしこの「ある程度まで」というのが大事で、バルブナットをギュウギュウと根本まで力いっぱい締める必要は全くないわけですね。
というか、それをやるとバルブの土台のラバーに負担がかかってしまい、そこが破損してパンクに繋がるリスクが増えるということはあるでしょう。
空気を入れる時に、適度な加減でナットを締めておくのは良いことなのだ、だからこれは必要なものなんだ、という意見がその掲示板にはありました。
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害になる時もある、という意見も
同時に、バルブナットがむしろ害になる場合についても議論されていました。それは「パンクを引き起こしかねないほどチューブが低圧になっている時に、バルブナットによってバルブの根本がリムに固定・密着させられていると、チューブがタイヤ内で動いた時にそこに大きい摩擦が発生してそこからパンクすることがある」という意見がありました。
このため空気を入れ終わったらバルブナットを外してしまう、という人も一定数いるようでした。
どちらも考え方としてはおかしくないと私は思いましたが、皆さんはどう思われますか。ちなみに私も、ナットはギリギリまで締めたりはしませんが、空気を入れた後もそのまま入れっぱなしです。
下の画像は超軽量チューブ、Tubolitoです。このチューブは金属製のバルブナットのかわりにゴムのOリングが付属していました。これも空気を入れる時にグラグラしないように、さらにバルブの根本に傷が付かないようにするためのものでしょう。
ちなみに私は最初に買ったTubolitoの2本のうち1本が初回の空気入れの時にバルブの根本から空気漏れしてしまったので、まだ実走で使ったことがありません。同じように初期不良品に当たってしまった人は当時相当数いたように記憶していますが、最近のTubolitoの品質はどうなんでしょう、改善されたのでしょうか?
チューブレスホイールのバルブは別の話
さてここまではチューブド・クリンチャーにおけるバルブナットの話でしたが、チューブレスホイールのバルブナットは全く別の話になります。
チューブレスの場合、バルブはホイールの付属品です。また、これはリムの内側から挿入したバルブのラバー部分をよりリムに密着させるためにあるもので、必需品です。これはややしっかり目に締める必要があります。
しかしチューブの場合と同じで、締めすぎるとチューブレスバルブの土台が潰れてしまったり、チューブレステープを使用している場合はその部分が痛むこともあるでしょうし、リム穴へのダメージもあるでしょう。だからこれも締め過ぎは禁物、というところは同じです。
しかしチューブレスのバルブナットはずっとそこにないといけないものであって、緩んでもいけないところがチューブのナットとの違いですね。
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自分で観察・考察して自分なりの運用法を身に付ける
インナーチューブのバルブナットの扱いについてまとめると、
- 空気を入れる時はあったほうが良い、しかし締めすぎてはいけないし、そうする必要もない
- チューブによってはナット(的なもの)を使わずに空気を入れるとバルブの根本が破損してしまうようなデリケートすぎる製品もある(例:Tubolito)
- 実走中、空気圧がかなり低くなっている場合、チューブがタイヤ内で大きく動いた時にバルブがナットで固定されていると逆にバルブの根本が破損することもある
という感じでしょうか。
バルブ穴にバリなどがないか、面が鋭利になっていないかどうか等、他の要素もあるとは思いますが、「有名な自転車屋がダメって言ってたから絶対ダメなんだ」という感じの受け売りの知識ではなく、自分で観察・考察した上で自分なりの運用法を身に付けたほうが良いと思います。