Pacific Carry Me。一般サイクリストを笑顔で沼に突き落とす、プリティでキュアキュアな「やばいやつ」。

私は鳴嶋ゆうm…すみません、すみません!! ギアがあっても脚力が足りてない駄文書き、nadokazuです。

Pacific Carry Me。CBN Blog読者の皆様方には、あらためてご説明する必要はないでしょう。極小径折り畳み自転車の、定番中の定番とも言うべき1台です。

Pacific Carry Me

そんなPacific Carry Meなのですが、折り畳み自転車マンガの「おりたたぶ」では、たびたび「変態さん(ルビで「やばいやつ」)がエクストリームなサイクリングをする自転車」として登場しています。

Carry Me、こんなに可愛い自転車なのに、なぜそんな仕打ちを受けてしまうのでしょう?

この謎を解明するべく横浜・山下町の「GREEN CYCLE STATION(@GCS_HP)」さんで、ブロンプトンのメンテ待ち時間に試乗させていただきました。

なるほど、確かにキャリーミーは実に素晴らしい自転車です。ブロンプトンさえ所有していなければ、外泊証明書だと思っていた売買契約書にあっさりサインしていたであろうことは想像に難くありません。

なんですが、私はこんな結論を出さずにはいられませんでした。

キャリミはとびっきりキュートで、愛らしく、魅力的。しかし同時に、持ち主を「変態さん」に変えてしまう自転車でもある(キャリミ乗りの皆様、すみません!!)。

というわけで、本稿では普段にも増して意味も中身も無い暴論をグダグダと並べ立てますので、ぜひブラウザの閉じるボタンを以下略。

▼「Carry Meは変態さん」なんて、書いてありませんよ?

Pacific Carry Me

極小径、きちゃったかぁ…

キャリーミーの大きな特徴として、真っ先に挙げられるのはきわめて優秀な可搬性。

「8インチの極小径タイヤ」そして「シートポストとハンドルポストを縦方向に折り畳んで、四角い棒状のメインフレームと平行に配置する」という、独自性の非常に高い構造。この両者が相まって、驚くべきコンパクトさが実現されています。

▼この縦長の物体が自転車…だと!?

Pacific Carry Me

▼いったいどこをどうしたら自転車に…なったぁあああ!!

Pacific Carry Me

なにしろ折り畳んだときのフットプリントは、公式サイトによると、「A4サイズぐらい」。電車で座ったときに足に挟んでおけば、目の前のつり革に他の乗客が無理なく立ててしまうでしょう。

▼上から見た格納状態のCarry Me。サドルの面積+αぐらいしかフットプリントがない。

Pacific Carry Me

そのうえ重量は8.9〜9.1kg(公式サイトのブログによる)という軽さ。10.8〜12.2kgのブロンプトンよりも、ゆうに1kg以上軽量です。

10kgを超えるブロンプトンは持ち上げるときに相当の気合いを必要としますが、キャリミなら片手持ちだって全然不可能じゃない。たかが2kg前後ではありますが、運搬時に必要な気合いの差にはウォールマリアより高く、越えられない壁があります。

Pacific Carry Me

この「コンパクトさ」と「軽さ」は、輪行移動時の絶大な武器。やろうと思えば、それこそ網棚にだって乗せられる。ブロンプトンも畳むと激コンパクトですが、さすがにこのレベルには達していません。

キャリーミーの輪行しやすさは、数ある自転車の中でもまさに無敵級*ビリーバー。超絶誰よりイチバンだもん!と、この世界中の全員がNoだって言ったって、私は私を信じてあげられます。

ちびっとしか走れんやろ

なんですが、そのコンパクトさのぶんだけ、走行性能は犠牲になりまくりです。

「ゆうみは跨がった瞬間理解してしまった」レベルで剛性感は感じられませんし、登坂も苦手。いや、「苦手」どころで済むような話ではありません。

元町から港の見える丘公園に登る、谷戸坂(距離:0.27km/平均勾配:9%/標高差:25m ※Stravaのセグメント情報による)を登坂してみましたが、そのキツさは地獄級*ビリーバー。

Pacific Carry Me

なんとか脚付きなしでクリアはできたものの、脚と腕はおろか背筋に腹筋などなどの筋肉という筋肉を総動員。全身に猛烈なダメージを受けるハメになって、瞬く間にズタボロの生ける粗大ゴミと化しました。サヨナラ!(爆散)

▼港の見える丘公園から見えた、建造中のRX-78。

港の見える丘公園から見えた、建造中のRX-78

そして極小径ホイールのおかげで、安定性も普通の自転車に遠く及びません。アスファルトの路面と側溝のわずかな継ぎ目すら、乗り越えるのが恐怖です。車道を走っていると、「自分は本当にここを走っていていいのか…いいのか…?」という強迫感に苛まれ続けました。

Pacific Carry Me

普通に考えたら「これから自転車を始めます!」という人に車種選定を相談されて「キャリーミーを検討してます」とか言われちゃったら、奈緒ちゃんじゃなくても全力で止めにかかりますよね?

だがしかし!

そんなキャリーミーが大好きになってしまう感情も、公道で走ってみて実によくわかりました。

辛いけど楽しいよ!!

キャリミ、スポーツ自転車としての走りは本当に鈍くさくて、へっぽこです(キャリミ乗りの皆様、すみません!)。

だが…それがいい!すごくいい!!

小さすぎるタイヤ、剛性感の薄いフレーム、変速機構なしの駆動系と、走るには不利な条件がこれでもかと揃いまくっています。それなのに、キャリミはくじけません。「自分の持てる力の限り、頑張って走るんだ!」という健気さで、乗り手に応えます。「走る楽しさ」は、走行性能にだけ依存するものではないのだと、強く思い知らされました。

Pacific Carry Me

本当にスピードを出せないですし、ハンドリングはスーパークイック。ちょっとした坂でも瀕死のダメージを受ける(経験者談)うえ、不用意に段差に突っ込むと死を覚悟できます。冒頭から述べ続けているように、走行性能は普通だとすら言えません。

なんですが、こうした「極小径車特有の運転感覚」にがっつり注意だけしておけば、あとは極端には緊張せずに走れてしまう、というのも疑いようのないところ。

Pacific Carry Me

普通の自転車より緊張感は間違いなく高めですが、乗っていてイヤになるレベルとかでは全然ありません。むしろその辺をちょっと走るだけでも、かなりのワクワク感がある。「速く走る自転車」とは、方向性が大きく違っているものの「楽しく走れる自転車」であることに疑いの余地はありません(異論は認めます)。

可愛い!!しかし変態(やばいやつ)!

変形のための可動部がたくさんあったり、メインフレームが角張っていたり、画数が多かったりとメカメカしい見栄えになる要素が満載。なのですが、展開してみて受ける印象は威圧感ゼロで、たいへんラブリー。豊富なカラーバリエーションも用意されていて、見た目的にも非常に魅力的な仕上がりです。

Pacific Carry Me

そして、走行性能が思いっきり低くても、そこそこレベルなら走れてしまう。「GREEN CYCLE STATION」の店長さんは、キャリミのことを「愛されキャラ」と評しておられましたが、これは言い得て妙すぎです。

そんな感じの自転車なので、

「史跡巡りをするのに、電車やバスでの移動した先でのちょっとした足」

に使おうと思ってキャリーミーを手に入れたとしても、

「ふだんロードバイクで行っている場所に、この自転車でも行ってみちゃおうかな…」という感情が、当たり前のようにわき上がります。

たとえば、

「ヤビツ峠、登れちゃうんじゃね?」

という発想にも、サクッと到達できてしまうでしょう。

これが、キャリミの怖いところ。

ロードバイクなら「普通のサイクリング」の範疇にとどまるヤビツ峠ライド(地獄を見ないとは言ってない)。ブロンプトンやママチャリでも、災害級の辛さを味わいますが、無理無茶無謀レベルではありません。

それが、キャリミだとどうでしょう? 「普通のサイクリングの感覚で、よく行っていた場所に行く」。ただそれだけで「普段のサイクリング」が、瞬時に「エクストリーム領域に片脚突っ込んだサイクリング」と化します。

Pacific Carry Me

この「普通」と「エクストリーム」の境目を超える敷居の、驚くべき低さ。

これこそが、キャリーミーが持つ「極限に近いレベルで小さく畳めて、そこそこ走れる」という魅力の裏側に隠れた「変態さんを生み出す力」にほかなりません。異論は認めます。

そして、エクストリームに片脚を突っ込んでしまったサイクリストは、いつしか荷物を満載して雪の中を冬キャンプに出かけたり、長距離(500kmとか)を走ったりしてしまう変t…変わった人に変貌を遂げる、というわけです。

キャリミ…おそろしい子!

変態さん確定です!

キャリミは一般的な自転車の文法からは、大きく外れたモデルです。それだけに「日常の足」として、ママチャリの延長線で選ばれるようなことは少ないでしょう。

そうなるとキャリミのオーナーになる方々の多くは、「趣味で自転車に乗っている人」つまり「キャリミの走行性能でも、普通に走れてしまうだけの走力を有する人」とほぼイコールになります(超雑)。そして自転車趣味の人が新しい自転車を買ったら、新車でどこまで走れるか、ちょっと試してみたくなっちゃいますよね。

Pacific Carry Me

こうして「自転車趣味の人の普通のサイクリング」がキャリミで行われることによって、容易に「エクストリームに片脚突っ込んだサイクリスト」が爆誕してしまう。

そう、あなたがどんな「普通のサイクリスト」であろうとも、キャリーミーに乗ったら瞬く間に「エクストリームなサイクリスト」の仲間入り。それを回避するすべは、どこにもありません。

やっぱり、キャリミを買ってしまったが最後、変態さん確定!…なのでは?

ちなみに、そんなキャリーミーですが、メーカー在庫は無くなりまくり。船便が到着次第、予約分からはけまくっていくので店頭在庫も潤沢とは言えない状況のようです(取材当時)。

▼グリーンサイクルステーションさんの試乗車に記されたサイン(どなたのサインなのでしょう…?)。

Pacific Carry Me

そんなわけで、キャリミ検討中の方、もう迷っているヒマはありませんよ?

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