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赤い自転車とウェアは結果的にあなたを速くするのかもしれない

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TIMEがInstagramでグロスレッドxホワイトロゴのScylonを紹介しているのですが、そこにこんなキャプションが添えられています。

少し知られている事実ですが、赤いバイクはあなたを速くする(あるいは速い気分にさせる)ことが科学的に証明されています

ええっそうなの!? というわけで少し調べてみました。自転車のカラーと速さの相関関係について科学的に調査した学術論文は、最終的には見当たらなかったのですが、海外掲示板では「赤い自転車が速いのは何故か」というトピックが数多く存在しています。この件について関心を持っている人は少なくないことがわかります。

物理的に速いわけではない

赤が速いかどうかについて、Bikeforumsという海外掲示板で見かけた意見から目立ったものをピックアックしてみます。赤い車体に限らず、赤という色そのものについての意見が多いです。

出典 What makes a red bike faster……(Bikeforums)

  • 赤いシューズはターボチャージャーのような働きをする
  • 赤いバーテープとケーブルでさらに速くなる
  • 赤色はテストステロンレベルを上昇させるという記事をどこかで読んだ記憶がある
  • 赤は怒り・攻撃の色であり、不安が高まっている状態の色でもあるのかな? 情熱の色でもある
  • 同調圧力だよ。赤い自転車に乗っていて遅い姿を見られたくないからだ
  • 赤は繁殖本能を刺激する。赤は血の色であり、犠牲と名誉の色だ
  • 赤は目立つから警察は赤いクルマを停めたがる

科学的な研究結果というより、経験論的な感想が多いですが、体感的には私も納得できる意見が多いです。皆さんはどう思われるでしょうか。いずれにしても赤色が自転車のスピードを「物理的に」増したりすることはないようですが、心理学・社会学的研究の対象にはなりそうなテーマですよね(量子論への言及も見られましたが速度に影響するほどではないものと思われます)。

Bikeradarのフォーラムも観察してみましょう。

出典 Do Red bikes go faster? (Bikeradar)

  • イギリスのサッカー選手権では赤いウェアを着たチームの勝率が高かったという研究がある。PKではペナルティテイカーが赤いシャツを着ていると、白いウェアの時よりキーパーの自信が低下すると言われている。色が気分に影響を与えることはあると思う、ただその影響は非常に少ないのではないかとも思う。スキルやトレーニングといったその他の要素の中では、大きいものではないだろう
  • New Scientistの記事ではウェアの色がテコンドーの判定に影響を与えたことが示されている

赤がプレイヤー・競技者の心理(または生理)に影響を与えている可能性は非常に高いですね。また判定が入るスポーツでは、審判の裁定にも影響を与えるのは科学的にも実証されているようです。ロードレースの写真判定には影響はないでしょうけれど、心理的な駆け引きでは赤が何らかの役割を果たすこともありそうですね(こいつはヤバそうだ・速そうだ等々)。

赤色は波長が長く前方に飛び出ているように見える

そもそも赤色はなぜそのような効果を生むのでしょうか。赤という色の特徴について調べていたところ、印刷会社さんのブログで次のような記述を見かけました。

出典 色が見える理由~赤色はなぜ目立つ?~ | 【印刷の現場から】印刷・プリントのネット通販WAVEのブログ

では、なぜ赤色は目立つのでしょう?

様々な説がありますが、その中の一つは、赤色が「長い波長であるから」と考えられます。赤色は620~750nmの波長を持っており、他の波長より長いとされています。波長が長い色は一般的に「進出色」とされ、前方に飛び出ているように見えるという特性を持っています。

この「前方に飛び出ているように見える」という箇所、競技系サイクリストには興味深いものではないでしょうか。赤いバイク・赤いウェアなら集団から抜け出る、スプリントで真っ先に仕掛けてくるんじゃないかという印象が持たれる。赤いバイク・赤いウェアの本人も気分が攻撃モードになる。赤を目にする回りのライダーも威圧され怯んでしまう…

ここで2022年のワールドツアーチームのジャージを調べてみましたが、赤を基調とするジャージ、あるいは赤が支配的な色であるジャージ、赤の差し色が入っているジャージは半数に迫る勢いで存在しています。

特に赤系に振ってあるのはバーレーン・ヴィクトリアスやUAE チーム・エミレーツ等。新城選手はやっぱり速そうに見えましたよね。イネオス・グレナディアスも肩〜袖口の赤が目立ちます。ボーラ=ハンスグローエは右の脇腹に大きい赤の差し色。

赤いウェアに身を包むと単純に気分が上がる、という方は多いのではないでしょうか。赤いバイク・赤いヘルメット・赤いウェア・赤いグローブで時速14km/hのフォトポタ、は確かに想像しにくいものがあります(※個人の意見です。何着たっていいですけどねw)。

ライダーには「チンタラ走らせない」効果を持ち、他者からは「要注意人物としてマーク」される色。それが赤である、ということは言えそうですね。今日はガチで乗るぜ! という日や勝負の日は、赤いウェアを着てみるのも良いかもしれません。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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