オランダのホイールメーカーScopeが「Atmoz」というタイヤ空気圧マネジメント・システムを発表しました。既存のすべての700C(29インチ)ホイールに装着可能とされ、ハンドルバーに設置したリモコンで空気を抜いたり入れたりすることができ、Bluetooth/ANT+通信でサイコン上にて空気圧をリアルタイムで表示できる製品です。
公式 Scope Atmoz – Tire pressure control system ‐ Scope Cycling
驚きの価格
このScope Atmozは製品の具体的な仕様がまだ明らかになっていないのですが、同社サイトの情報では、少なくともWahoo Elemnt Roamでのリアルタイム空気圧表示が可能。チューブレスタイヤのみに対応。体重制限なし。USB-C充電。リモコンは2ボタン、となっています。
Bikerumorのスクープ記事によると、機構的にコンプレッサーは使われておらず、空気の補充回数は限られるのではないかとのことです。
Scope Atmozは市販が開始されており、価格は驚きの€3.998(本日レートで54.6万円!)。カラーはブラックとブルーが用意されています。
UCIも認可
さてこうした空気圧マネジメントシステムですが、UCIが4月11付けで競技中の使用を認可する声明を出しています。4月1日に遡り適用されます。
出典 UCI authorises built-in management systems for tyre pressure | UCI
以下、声明の要約です。
- UCIは4月1日付けで、空気圧のビルトイン・マネージメント・システムをプロ・ロードサイクリングで使用することを認可する
- UCI規則1.3.004に則り、タイヤ空気圧マネジメントシステムはハンドルバー上のボタンでコントロールされ、空気リザーバーとチューブレスタイヤ間のエアフローを制御するメカニカル・バルブを使用するものとする
- このシステムはホイールセットの構造的統合性を変更せず、可動部品やコンプレッサーを含まないものとする
- UCI規則1.3.006に則り、タイヤ空気圧マネジメントシステムはスポーツサイクリングを行う全ての人々に対して商業的に入手可能なものとする
冒頭で紹介したScope AtmozはTeam DSMとパートナーシップを結んでいます。Scope CyclingはInstagramで次のティーザー広告を投稿。「今年のパリ=ルーベでは何かが現れる」というキャプションとともに、Atmozと思われるパーツがTeam DSMのバイクに装着される様子をモザイク付きで紹介しています。
※音量が大きいので再生時はご注意ください
これらのことから、Scope CyclingはUCIに対してAtmozの機材認可を申請済みであり(追記:UCIのこのページに既に掲載されていました)、かつUCIによる声明文からするとAtmozはコンプレッサーを使用していない製品であることが伺えます。類似製品のGravaa TPMSはコンプレッサーベースであるため、UCIには認可されないことになりますね。
また価格が相当に高い感じはしますが、これももしかすると「レースで使用される機材は商業的に入手可能なものでなくてはならない」というUCI規則を満たすための暫定的な対応のような気がしないでもありません。
▼ 空気圧調整といえばパナレーサーのゲージ。紹介記事があるのでこちらも是非お読みください