ツール・メンテナンス製品レビュー

屋外での空気圧調整にはPanaracerのデュアルヘッドデジタルゲージが地味に使いやすい

4.5

Panaracerのタイヤゲージにはアナログ式とデジタル式、2つのタイプがあり、この記事では後者の「デュアルヘッドデジタルゲージ」が活躍するシーンについて書いてみます。

Panaracer デュアルヘッドデジタルゲージとアナログ式ゲージ

なお本記事で紹介する製品(BTG-PDDL1)は既にディスコンとなっていますが、現在入手可能な後継品であるBTG-PDDL2との違いについても記事の最後で説明します。

結論から書くと、グラベルバイクやMTBでチューブレスタイヤを低圧運用している方が、屋外でマメに空気圧を変更したい時に便利です。

基本的な機能のおさらい

最初にデュアルヘッドデジタルゲージの基本機能を復習しておきます。このツールでできることは2つ。まず「空気圧を測定」すること。測定結果は本体右側のボタンを押すことで「PSI -> Bar -> kgf/cm2 -> kPa」と単位変換できます。さらに本体をバルブに差したまま、ヘッドにある圧力調整ボタンを押すことで空気を抜き、その状態で空気圧を確認できます。

Panaracer デュアルヘッドデジタルゲージ

モードは「測定モード(CAL)」と「調整モード(AJS)」の2つがあり、これは本体左ボタンを長押しし、「測定値クリア(CLE)」の表示が出た後に、そのまま長押しすることで切り替えることができます(後述しますが、現行製品ではこの切り替えは不要になっています)。

測定モードでは、本体をバルブに押し当ててから数秒後に「ピッ」という音がして結果がディスプレイに表示されます(結果は画面に残り続ける)。この状態で圧力調整ボタンを押して、空気を抜くこともできます。この場合も、数秒後に新しい数値が表示されます。

調整モードでは、表示はリアルタイム。そのため、本体をバルブから離すと表示も消えます。空気圧を微調整する時はこの調整モードを使ったほうが早くて便利。

デュアルヘッドが輝く利用シーンはこれだ!

さてこのデュアルヘッドデジタルゲージ、バルブ差し込み口のヘッド部分が180度回転します。片側が仏式、片側が米式対応になっているのですが、ヘッドがどの角度にあっても空気圧の測定は可能です。

例えばフィールドでバイクを何かに立て掛けたり横倒しにした時、バルブが左側にあったとします。するとこんな風な持ち方で差し込み、数字を読めます。

Panaracer デュアルヘッドデジタルゲージ

バルブが右側にあった場合でも、ヘッドを回転させることでそのまま差し込み、測定できます。

Panaracer デュアルヘッドデジタルゲージ

これが地味に便利なことが多いんですよ!

例えば同社のアナログタイプだと、ヘッドは回転させられないのでバルブが右側にある時はこんなことに。

Panaracer BTG-F 仏式バルブ用

いや、まぁ角度を変えれば読めないこともありません。しかしこのホイールの場合はスポークに当たってしまい、視認性はあまり良くありません(ちなみに写真のモデルは高圧向きの「BTG-F 仏式バルブ用」で、低圧測定には向いていません。比較用に登場させました)。

Panaracer BTG-F 仏式バルブ用

いやいや、そこはホイールを回転させてゲージを差し込みやすい位置にバルブを持って来るなり、バイクの反対側に回るなりすればいいだろう、という意見も聞こえてきそうですが、状況によってはそれが手間であることも多く、デュアルヘッドデジタルのほうがこの点ではるかに使い勝手が良い。ことに最近気付いたのでした(圧力調整ボタンはアナログ式のほうが押しやすいけれど)。

というわけでアナログとデジタルの空気圧ゲージ、自宅ワークスタンドでの使い勝手は大差ない感じはするのですが、最近グラベルバイクの空気圧を外でこまめに変更して乗り味の違いを確認する、ということをやっていたら、オフロードではデジタルのほうが便利だなー、と思いました。

後継品BTG-PDDL2では何が変わったか

しかし冒頭に書きましたように、本製品は生産終了済み。後継品は下の「BTG-PDDL2」です。

旧製品からの主な変更点は2つ。

  • 測定モード(CAL)と調整モード(AJS)の区別がなくなった
  • 液晶ディスプレイのバックライトが操作に応じて自動点灯するようになった

他、製品写真を見る限り、先代にはあった、暗所でバルブ回りを照らすためにあると思われるLEDライトがなくなっていること。これは正直使う人は多くない機能と思われるので、退化というよりも合理的にコストカットしつつシンプルな製品に進化させたもの、と言って良さそうです。

筆者はまだ旧型が使えているため後継製品は持っていませんが、その他の基本機能はほぼ同じであるように見えます(パナレーサーの製品情報ページでは「基本的な機能はそのまま搭載し、スリムな形状になり持ちやすさも向上。さらに計測モードと調整モードの切替が不要になってシンプルな操作感に」とあります)。

なお、仏式バルブの場合はネジ切りタイプで15mmの長さが必要となっています。

勿論、アナログ式にこだわりたい場合は低圧に対応する製品も用意されています。アナログ式は測定が瞬時で、電池切れの心配もありません。エア抜きは片手でも簡単に操作できます。モノとしての質感も良いですし、デジタル式よりも小さいなど、これはこれで長所も多いですね。短所は、状況によっては視認性が悪いこと・バックライトがないこと・超厳密な管理向きではないこと。

私はもともとアナログ式が好きで、高圧運用のロードバイクではやはりこれが便利だと思うのですが、低圧運用の太いタイヤだとデジタルが便利かな、と最近思うことが多かったので、この記事を書いてみました。回転するヘッド以外にも、低圧では数字の単位が小さくなってくるので微調整がやりやすく、屋外では数字の目視も早い。そうした点でも重宝しています。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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