交わした約束 3歩で忘れるnadokazuです。
うどん県が世界に誇るスポーツ自転車メーカー、アイヴエモーション。同社のブランド「Tyrell」は走行性能の高いモデルのラインナップで知られていますが、そのTyrellで初の折り畳み自転車が「Tyrell FX」です。
「Tyrell FX」の発売から3年後の、2013年4月。さらにスポーティな走行性能を目指した、バージョンアップモデル「Tyrell FSX」が発売されました。
モデル名に「S」がひと文字増えただけで、フレームの差額は5万5000円(執筆時に公式サイトで公開されていた仕様書による)。パッと見はあんまり変わっているように見えませんが、いったい何が違うのでしょう?
というわけで、本日の駄文はこちら!
なにもかもが上位互換!それはとっても嬉しいなって。
FXとFSXで、フレームの価格差は5万5000円。でも、パッと見は本当に同じです。並べてみても、シルエットは完全に一致するだけ。全体写真から違いを見つけることは、かなり難しいでしょう。
けれど近づいてよく見てみると、各部がきっちりブラッシュアップされているのがわかります。
フレーム形状が、同じようで違う!
メインフレームのトップチューブとダウンチューブが、ハイドロフォーミング製のパイプに変更されています。FXのトップチューブが円形なのに対して、FSXではラウンドした逆三角形です。公式サイトによると、剛性を高める意図とのこと。
シートステーのジョイント部分は形状こそ大きく変わらないものの、加工がかなり面倒そうなレベルの肉抜き処理がされています。
ちまっとした変更ではなく、しっかりと手間がかかってることが実感できる。この辺は、さすがに上位モデル!という感じです。所有欲は、必要以上に満たされまくり。
ケーブル内装で、見た目スッキリ!
ヘッドチューブ上端からトップチューブを挟んでBB部をつなぐ2本のフレームに沿って、FDのシフトケーブルとリアのブレーキケーブルが設置されています。FXはそのケーブルが外装なのでフレーム下部に各1本ずつ、2本の黒い線が見えます。
FSXはそこが内装化されていて、ケーブルの露出はなし。見た目のスッキリ感は、写真で見ている印象よりはるかに大きいです。
これにより、走行性や操作性にも影響が…全然ありません。多分。でも自分の自転車選びは「見た目最優先」なので、それでいいんです!
10年前にFXを買ったときから「ケーブル内装ならよかったのに…」と思い続けていたので、FSXが発表されたとき、ここが一番羨ましかったポイントなんですよね。FSX最高です!
カーボンモノコックのフロントフォーク!
Tyrellのお家芸、可倒式のフロントフォーク。FXではアルミとカーボンのミックスで、エンド付近を見ると金属部分があることがわかります。
FSXでは可倒式の機能はそのままに、カーボンモノコックになっています。表面処理はグロスではなくマットで、カーボンの質感そのまま。
フルカーボンならではの高い振動吸収性で、より快適な走行が実現している…かどうかはサッパリ感じ取れていませんが、フロントを持ち上げるときFXよりも明らかに軽いことだけはわかります。
それとカーボンモノコックフォークには、「よくわからないけど、なんだかすっげー装備!」という自己満足に浸れる大きな効果があるのは間違いのないところ。フォーク内側に貼られた「最終兵器デカール(勝手に命名)」も、厨二感が高めでイイ感じ。少年の心を決して忘れない中年の気分を、それはそれは大盛り上がりさせてくれます。
色が選べるエンブレムデカール!
FXのエンブレムデカールは、シートチューブに1カ所。メタリックな光沢があって、スペシャリティの雰囲気抜群です。
FSXでは縦長の大きなエンブレムデカールがシートチューブに貼付されていますが、あまりテカテカはしていません。ちょっとお上品。
そのほか、チェーンステーにもエンブレムデカールが貼付されています。
FXとは表面処理やデザインが異なるだけでなく、注文時にホワイト、ブルー、レモンイエロー、スカイブルー、シルバー、ブラック、オレンジ、レッドの計8色から選択が可能です。
ショック!トップチューブに、Tyrellロゴステッカーが貼ってない!
エンブレムデカールと同様に、メインフレームのTyrellロゴステッカーも色が選べます。
こちらはレッド、ホワイト、ブラック、シルバー、グリーン、オレンジ、ゴールド、カッパー、ダークブルー、イエローグリーン、スカイブルー、ブルー、レモンイエローの計13色による展開です。
このTyrellロゴステッカー、FXはダウンチューブとトップチューブの2カ所に貼られています。
なんですが!FSXは、ダウンチューブの1カ所だけ!トップチューブには、ロゴステッカーが貼付されていません。
なんで!? どうして!? 逆三角形のトップチューブに貼ると、真横じゃ無くて斜め下向きになっちゃうから?
衝撃の事実!「Tyrellロゴステッカーの枚数」だけは、FSXがFXに負けています!!
こんなこと、許せるはずがありません。Tyrellの公式通販でステッカーを買って、自分で貼りました。
兄よりすぐれた弟なぞ存在しねぇ!!
乗り味はどう違う?
FXは「剛性感のカタマリ」という印象。折り畳み機構で複数の可動部があるのに、ヤワな感じがちっともありません。
すべての入力を、少しも取りこぼさず推進力に変えてくれているのではないか?というぐらい、もうガチガチもいいところ。
ただし!それゆえに、路面からの突き上げはキツいです。ゴツゴツとした衝撃が、手と腰を容赦なく直撃します。カーボンシートポストに交換して対策を図りましたが、まあ焼け石に水でした。
自分の購入したFSXはフロントフォークの他にフルカーボンのエアロハンドルと、サスペンションシートポストのオプションを装着しています。
FXに比べてFSXは、さぞかし乗り心地が改善しているのでは?
という点については、このカーボンハンドルはともかく、サスペンションシートポストの影響が大きすぎてフレーム単体としての違いはさっぱり判別できません。
現場からは以上です!
Tyerll FXとFSXの相違点、まとめ。
- ハイドロフォーミング製法のパイプを採用したフレーム。
- ケーブルが内装で見た目スッキリ。
- カーボンモノコックのフロントフォーク。
- エンブレムでカールが2カ所。
- ロゴステッカーは1カ所だけ。
これが、差額5万5000円の内訳です。
「カーボンモノコックのフロントフォーク」というだけでも普通に数万円するでしょうし(しかも限られた生産数ですから、単価はさらに上がるでしょう)、フレームの製造・加工も明らかに手間が増えている。完全に個人の主観ですが、妥当どころかコスパ高くありませんか?
それにしても…どうして?
いったいどうして、こんなことになってしまったんだろう…?
輪行旅に、Tyrell FX!わたしの、最高の友達。
「よりラクに輪行したい!」
「よりラクに走りたい!」
この完全に相反した身勝手すぎる欲求を、最高レベルの水準で満たしてくれる一台。それこそが、「折り畳みのミニベロロード」です。
というわけで、うどん県メイドの一台「Tyrell FX」を輪行旅(登坂あり)の友として。さらには海外を含めた遠征の相棒として、活用しまくってきました。
2023年時点で、購入からすでに10年以上が経過。ですがメンテナンスをすべてプロに丸投げしていることもあり、喫緊の課題になるようなことは何も発生していません。
純正パーツをアップデートされたものに交換したり、ロードバイクのおさがりパーツで11速化するなどして細かなアップデートも実施済み。わたしの、最高の友達「Tyrell FX」と、これからもいろんな思い出を積み重ねていきましょうね!
…と、思ってはいたのですが!
国内&海外に輪行しまくったり、ホイールを外して無茶な畳み方をしたり。普段のサイクリングに使ったりと、さんざん使い倒しまくってきた車体は近づいてみるとキズだらけです。
なによりもう10年乗ってきたんですから、いくらなんでも更新を考えてもいい頃合いでしょう。
自分に最高の1台を選べるのは、自分だけ!もう誰にも頼らない。
数年前から心の奥底でくすぶり続けてきた、Tyrell FXの買い換え構想。もちろんTyrell以外にも、折り畳みミニベロロードは魅力的なモデルが揃っています。
▼ 参考記事
なんですが!
自分にとっては「どれだけラクに輪行できるか=折り畳み時の手間の少なさ」こそが、なによりの最優先事項です。
タルタルーガも、REACHも、カラクルCozも、素晴らしい自転車です。特にREACHの仕様選定における極めて高い自由度は、激しく魅力的。でも…それでも!輪行時にはホイールを外したり、はたまたハンドルを外したりする必要があります。選択肢からは、どうしても除外せざるを得ません。
やっぱり行き着くのは、Tyrellです。
そうなるとクロモリフレームの最新型「FCX」も、気になります。乗り心地というか、走行感というか、何が何だかよくわからないんですが、妙にいいんですよ。とにかく、乗ってて超絶ハッピーになれる一台。
▼ 参考記事
ですが、リア三角のスキュワー固定をはじめ、輪行時の手間は既存モデルより確実に増えています。
ということで、「Tyrell FSX」が、自分にとって最高の一台だと結論が出てしまいました。
それにですよ!
Tyrell FSXは、フレームセットで購入できます。最新モデルに換装済みのホイールや、ロードからのお下がりシフター、FD、RDを手持ちのFXから引っぺがして使えてしまう。残る不足パーツは、クランクセットとブレーキだけ。
つまり!
「新フレーム&ほぼ新コンポへのアップデートが、ミニマムコストで可能」ということ。これ以上の選択肢は、さすがにあり得ないでしょう。
お店で話を聞いてみよう!最後に残った道しるべ。
アップデートの方向性は固まりました。なんですが11速環境からの脱出を諦めきって生きていると、ロードバイクコンポーネントの最新事情には疎くなりまくります。
「最新型のアルテグラに、11速シフターで引けるリムブレーキって、あったっけ?」
「11速時代の設計で作られたFSXに、いまどきのコンポって使えるの?」
などなど、あとからあとから疑問が湧き上がりまくり。とりあえず、その辺りの最新事情のリサーチとお値段把握のために、自転車屋さんに行く必要がありそうです。
これはもちろん、大変危険な行動(物欲的に)であるのは間違いありません。
とはいえ、いま乗っているFXに大きな不満があるわけじゃない。それに、お店に向かう目的は、「話を聞くこと」それだけです。これなら衝動買いの危険性も、完全に皆無。
もし、仮に、万が一、ヤバい感情が爆発したとしても、出費はフレームセット、クランクセットとブレーキ、それに工賃「だけ」で収まります。リスクヘッジは、最大限かつ完璧だと言えるでしょう。
というわけでFXのメンテナンスのお願いついでに、ローロサイクルワークス横浜さんに行ってみました。そういえば、昼間の写真は撮ってなかった…。
店長さんのお話を伺って印象を受けたのは、やはりシマノパーツの供給が不安定であるという現実。そもそも品不足気味のところに、ディスク化の流れもありますもんねー。などなど、いろいろお話してお店を出ました。
「特別仕様」で「限定車」!!危険なワードに、夢の中で逢った、ような…。
まだ日の高い時間帯です。みなとみらいに来たのなら、MARINE&WALKのZEBRAでクロワッサンでも食べて帰宅するとしよう…。
そんなことを考えながら歩いていると、ふとポケットの中に折り畳まれた紙が入っていることに気付きました。
なんだろう…外泊証明書にしてはでっかいなぁ…。
あ…ありのまま今
起こった事を話すぜ!「おれは手持ちのFXからパーツを外して、
フレーム買いでFSXを組んでもらう
“相談”をしたと思ったら、
いつのまにか
“完成車で新車を買っていた“」。な…何を言っているのか
わからねーと思うが、
おれも 何をされたのか
わからなかった…頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとか、
そんなチャチなもんじゃあ
断じてねえもっと恐ろしいものの片鱗を
味わったぜ……
そういえば朧げな記憶の中に、こんな声が。
「公式発表はまだですが、台数限定の特別仕様車が出ますよ!」
「コンポはDURA-ACE Di2です!」
台数限定…
特別仕様…
DURA-ACE…
【FSX/FX特別仕様車発売のお知らせ】
SHIMANO DURA-ACE R9150 Di2、そしてVision METRON 5D カーボンハンドルバーを装着。究極の走りをお楽しみいただける1台です!
■完成車価格(特別仕様)
FSX:624,800円(税込)
FX :569,800円(税込)
※画像はイメージです。実際の車両とは仕様が異なります pic.twitter.com/1O5bcQQMeV— Tyrell -アイヴ・エモーション (@tyrelljapan) July 8, 2022
うっ…! 頭が…!!
完全無欠のアップデート!後悔なんて、あるわけない。
フレームの到着と組み上がりまでに軽く半年以上の待ち時間を経て、きちゃった…。ついに…3台目のTyrell。訳が分からないよ!
折り畳み自転車なので、保有台数の追加カウントはされません。とはいえ、さすがにいくらなんでも、これ以上、自転車は増やせないですね。
もしまた自転車を買ったら、木の下に埋めてもらっても構わないよ!
ところで、納車されたばかりのTyrell FSX、とあるショップさんのブログによると、ディスコンになっちゃうみたいです。
そして本家Tyrellからは「春から新製品」というアナウンスが…。
先月、香川県さぬき市のファクトリーにてTyrellディーラーミーティングを行いました!
ファクトリーでの私たちの取り組みや想い、春以降順次発売となるニューモデルやニューカラー等についてご案内をさせていただきました。↓↓#tyrell #tyrellbike #madein讃岐 #Tyrellディーラーミーティング2023 pic.twitter.com/iHGGuL7yLy— Tyrell -アイヴ・エモーション (@tyrelljapan) March 6, 2023
ハイエンドコンポのディスクブレーキ化は進んでいますし、この先に大きなモデルチェンジがあっても、ちっとも不自然ではありません。納車直後ですが、型落ちになる可能性、全然ありますね。
ですが、それでも一切の悔い無し。たとえば油圧ディスク化なんてされてしまったら、運用の手間が増えるだけ。現行のリムブレーキ仕様を、買えてよかったんです。後悔なんて、あるわけない。
そういえば、うちのFSXは特別仕様車ならではの、カーボンエアロハンドル「Vision METRON 5D」が装着されています。
ステム一体型のエアロハンドルということもあって、レバー操作だけでハンドルを横向きにできる「ターンステム」は使用できません。輪行するときは、その都度ボルトを緩める&元に戻すときにセンターを出し直すという手間が増えちゃいますが、仕方ありませんね。
それに思いっきりエアロフォルムなので、ミラーレス一眼の運搬で愛用しまくっているRoute Werksのハンドルバーバッグも、アタッチメントが装着できずに使用不可。
ミラーレス一眼の持ち運んでのフォトポタは、諦めた方がよさそうです。
あれ? どうしてディスプレイが滲んで見えるんだろう?
…あたしって、ほんとバカ。
まとめ:もう何も恐くない。
Tyrell FSXには、FXとのフレーム差額5万5000円を余裕で埋める価値があります(個人の感想です)。これから買うなら間違いなくFSX…と言いたいところですが、新モデルの発表待ちが現実的ですね。
個人的には気に入りまくって10年乗ったFXの上位モデルであるFSXの魅力を超えるモデルが出てくるとは、そうそう考えられません。フルカーボン折り畳みの「FCCX」とかが出ない限りは、木の下に埋められることもないでしょう。
そういえば、こっちも10年以上乗っていて、ナビが突然沈黙したり、スライドドアが不定期に閉じなくなったり、あちこちでギシギシ言い始めてる10万km目前の自家用車、買い替えの無期延期が確定しました。
家計は破綻に向けて猫まっしぐらですが、正常化バイアスのおかげで冷静さを保っています。体が軽い…もう何も怖くない!