リムブレーキのカーボンホイールが変形してしまいました。ぶつけたわけでもないのに、何が起こったのでしょう? という質問投稿を海外掲示板で見かけました。
イタリアの山岳地帯にライドしに行ったのですが、ダウンヒルでブレーキング中にカーボンホイールが壊れてしまいました。写真のように基本的に変形してしまっています。スピードは出していませんでしたし(最大40km/h)、特に暑い日というわけでもありませんでした。最初はリアホイールでこれが起こって、数km後にフロントでも同じことが起こりました。これが起こる前にブレーキングが少しガタガタ(jittery)するように感じていました(平坦路でも)。こうなるほどの衝撃が加わるようなものには何もぶつけていません。普通の状況でこういうことが起こるのはありえないと思います。どのようにしてこうなってしまったのでしょうか?
出典 How can this happen? Carbon wheels buster
これに対し、次のコメントがいちばん高い支持を得ています。
これこそまさにリムブレーキカーボンホイール特有の破壊モードです。よくあるケースであり、私達がずっと警告されてきたことであり、そして恐らくディスクブレーキの最大の恩恵につながるものです。
何が起こったか。リムがブレーキの摩擦で熱くなったのです。リム内のレジン・エポキシが、ガラス転移(Wikipedia)が起こる温度に達し、柔らかくなり、剛性と強度を失ったのです。一度これが起きてしまうと、タイヤからの圧力がリムウォールを外側に押していき、リムが外側に膨らみます。リムが外側に膨らんでも、リムブレーキのパッドが邪魔になってどこにも行き場がなくなります。あなたが感じたガタガタはこれです。ここで、負のフィードバック(※注)が生まれます、リムが膨らんでいるのでブレーキパッドへの当たりはその部分でさらに強くなり、さらに多くの熱が局所的に蓄積され、それがリムをさらに柔らかくし、これが繰り返されて最終的に壊滅的破壊に至ります。
あなたが下っている時にホイールが破裂しなかったのは、超ラッキーなことだったと思います。これは破裂寸前ですし、タイヤがリムから外れることになったかもしれません。
これを読んでいる他の方も、カーボンリムでブレーキング中に拍動やガタガタを感じた時は、バイクからすぐに降りてクールダウンさせてください。はやめに気付いてリムをクールダウンさせれば、カーボンファイバーがリムを元の形状に戻してくれ、エポキシが冷却すれば再硬化します、元々の強度には戻らないとしても、また硬化はします。こうすることでリムの寿命を延ばせます。
結局のところ、カーボンリムブレーキはずっとエンジニアリング上の問題だったのです。スレ主さんがその理由を完璧に示してくれました。(74いいね)
ところでスレ主さんは、ポットホールにはまったわけでもないし、クルマのバックラックに自転車を乗せていたわけでもない(エギゾースト近くにホイールがあるとカーボンが痛むという指摘に対してそのように回答)。ホイールは100%リムブレーキ用のカーボンホイールであり、パッドもカーボンリム用のものを使っていたそうです。
ホイールはJuliusというオランダブランド(現在は廃業)の製品で、友達から450ユーロで購入した中古品だったとのこと。ファーストオーナーの友達がどのくらい使っていたのか、そもそもこのホイールがどんな品質のものなのかは不明ですが、カーボンリム一般がブレーキングで熱を持つことはよく知られていますね。チューブドの場合はパンクの大きい原因にもなります。
現在リムブレーキタイプのカーボンホイールを愛用されている方は、ブレーキング中に「普通でないようなガタガタとした振動・パルス」を感じた場合は、ちょっと止まって様子を見たほうが良さそうですね。