「コロナ以降自転車は値上がりしたと聞いたのですが、数年前は実際どのくらい安かったのですか? 私は7月に自転車をはじめたばかりなのですが…」というスレッドを海外掲示板で見かけました。具体的なモデルの価格が実際にどのように変わったか、多くの情報が寄せられているので拾い上げて眺めてみることにしました。
出典 How much have prices crept up in the last few years?
おおむね25〜40%の値上がり?
以下抄訳です。なお中にはメーカー定価なのか実売価格なのか判然としない情報もあること、スペック面でフェアな比較になっているかどうか不明なものもあるので、ご了承ください(あくまでざっくりした数字の把握としてお読みいただいたほうが良いと思います)。
- 3年前から30〜40%高くなった。Specializedの値上がりが特にひどい
- Specialized SWorks Tarmacは2019年に10000ドルだったが、現在は14000ドル
- Specialized Roubaix Comp(カーボン・Ultegra)を2020年に2500ドルで買った。現在は3600ドルくらい
- Cannondale CAAD(エントリー)は2016年に定価1000ドルのところショップのセールで800ドルで買った。最近、類似スペックのエントリーモデルを調べていたら1600ドル以上になっていた
- Cannondale CAAD 12 Ultegra(リム)を2019年に1800ドルで買った。CAAD 13 Ultegra(ディスク)は現在3200ドル
- Cannondale CAAD 12の105組みを2016年に1500ドルで買った。現在CAAD 13の105組みは約2000ドル
- Cannondale CAAD Optimo Clarisを2019年に430ポンドで買った。2021年に事故にあった時、保険会社が同じようなモデルへの交換費用として970ポンドを出した
- Cannondale Synapse 105カーボンを2016年に1800ドルで買った。2020年にクルマにはねられてディスクブレーキの同モデルを買い直した時は2400ドルで、同じバイクがいま3000ドル程度で売られている
- Trek Checkpointは2018年に1800ドルだった。現在類似モデルが2500ドル
- Trek Checkpoint ALR5は2021年に2300ユーロだったが現在は2700ユーロ。1.5年でこれだけ上がった(フレームはアップデートされたが私には外見は同じに見えるしスペックも同じ)
- Trek Domane SL5(リム)を2018年に2199ユーロで買った。新型Trek Domane SL5(ディスク)は3699ユーロする
- Trek FX3(クロスバイク)を2018年に600ドルで買った。現在は1000ドル(アップデートはされているが、それでも基本的に同じバイク)
- Orbea Occam H30 MTBを2020年4月に2200ドルで買った(当時400ドル値引きされていた)。同じバイクが現在3200ドルする(ただし現在Orbeaサイトでは2999ドルのセールになっている)。内容は全く同じ(SLXではなくDeoreにはなったけれど)
- Scott Speedster Gravel 30を2021年初頭に1549ドルで買った。このバイクはいま2199ドルで販売されている
- Scott Addict RC15を2020年10月に5500ドルで買った。今では6700ドル
- Scott Addict RC15を2020年末に5000ドルで買った。2022年には同じモデルが5800ドルになり2023年モデルは6300ドル。スペックは完全に同じ
- Giant Revolt Advanced 2を2019年暮れに買おうとした時は1900ドルだった(定価は2100ドルだったと思う)。同じバイクが現在では3000ドル
- Giant Revolt 2(アロイのベースモデル)はかつて1000ドルだったが現在ではより安いブレーキに変更された上で1450ドル
- Jamis Venturaの新品を2018年に600ドルで買った。同じバイクが現在は1000ドルで売られているが、製品アップデートがあったようには見えない
- BMC Timemashine 01 Disc Oneは2021年に7499ドル、2022年に8499ドル、2023年に9499ドル(同じバイクで色違いではあるものの)
- Cervélo Caledonia 105を2021年4月に2900ドルで買った。2023年モデルはいま3200ドルになっている
- Pinarello Paris 105はいま3400ドルだが、2年前は2800ドルだった
スレッド全体を読み込むと、過去3〜4年でおおむね25〜40%程度の範囲での値上がりが多いのかなという印象を受けます(中には50%値上がりしたという声も)。また、コロナによる影響(様々なコスト上昇等)に加えて、リムブレーキからディスクブレーキへの移行、メカニカルからエレクトロニックへの移行による影響が大きいのではないかという意見が複数見られます。
そして気になる「来年は自転車が安くなるかどうか」という件(関連記事)についてはこのスレッドでも議論されていますが、過剰在庫一掃セールはきっとあるよ、という意見、いやどうもこのまま高いままで推移するのではないか、という意見、割れているように見えます。例えば…
- コロナ明けには価格が落ち着いてくると考えてずっと待ち続けていたけれど… なんて間違いだったんだろう(36いいね・本記事時点)
- 多くの関係者(bike reps)によると、どんなモデルでも供給できるようになるそうだ。サプライチェーンの問題は解決し、生産ペースを上げすぎたことに彼らは気付いた。次の春は新車のニルヴァーナになるだろう(51いいね)
- 景気後退がありそうだし、それにより人々の自由裁量所得は減る。サプライチェーンはついに復活しつつあるし、パンデミック中に買われた数百万台のバイクが中古市場に流れている。2023年の大型割引は現実的だと思う(20いいね)
自転車の値上がり率と同じくらい給料は上がっていない、という人は欧米でも多く、セールを待望している方は多いようです。供給自体は確実に安定方向に向かっているようには見えますが、在庫一掃処分合戦がはじまるのかどうか、はじまるとしたらいつなのか、はまだわからないという感じですね。