やや特殊なサイクリングの記録です。登山をしていたら、山頂で自転車のペダルを回してアイ(Aïe)を叫んでいた… 何を言っているのか わからねーと思うが… 本当にあった話です。
「助けてください!!」鱒太郎の悲痛な叫びが天上山に響き渡る。
はじめて見た自転車型のバイオトイレ
舞台は東京都神津島村の「天上山」という美しい山です(最高点572mの低山・花の百名山に数えられる)。
台地状の山頂エリアに「不動池」という名所があり、そういう場所としては珍しくトイレがありました。特にもよおしてはいなかったのですが、せっかくなので小を済ませていただくことに。
入ると驚いたことに自転車があり、「ええっ!?」と目を疑いました。左側に便座があり、向こう側にフィットネスバイクのようなものが。ママチャリ的なスタッガードフレームです。
「足踏式バイオトイレ」いうものらしいです。トイレの使用後は、ペダルを20回以上普通に回す。その後に10回以上バックペダリングする。そうすると、排泄物が浄化槽のなかのオガクズに取り込まれていき、撹拌されて好気性細菌が活発になって生物分解が進みやすくなる、という仕組みになっているようです。
この自転車は正真正銘のフィクシー、つまり固定ギアであるため、バックペダリングしても駆動力が伝わるようになっています。
細部を観察。操舵は必要ないためか、フォークはクラウンから先がカットされています。ダウンチューブには”breeze”のロゴ。何のためか知りませんが、ベルも付いていました(まさか法律のせいなのか。一応自転車だし…)。
ペダルは樹脂製のVP-302。金属製でなくてよかったとつくづく思います。
さて、実際にまたがって漕いでみました。これが… 重い!まるで14%くらいの坂でも登っているような重さです(誇張なし)。水分で湿った重いオガクズを撹拌するからか。でも俺は頑張る!みんなの快適なトイレタイムのために…
パンツはSanticの裏起毛タイプで、自転車でも登山でも使えるものをはいていました。このトイレ自転車でも快調なペダリング。国立公園・特別保護区の山頂でサイクリングできるなんて嬉しい…
そこは山で最も危険な場所だった
そして事件が起きました。正回転を数十回以上行ったあと、よし次は逆回転だ、と両足の力をフッと抜いたところ、クランクがグルン!とバネ仕掛けのように逆回転してきてVPのペダルが右のスネに激突!
そう、14%の坂を登っているようなあの重さで…
ブゥワッ…ァァァ…!! フッ、フッ、グゥゥゥゥァァァアアアアアア アイィィィィィィィ Aïe Aïe Aïe
筆者の咆哮がトイレの木壁を貫き、天上山の全体に轟いたはずです(振動でどこかの岩が崩落したかもしれない)。トイレの外にいた若いカップルは、なんだあのオッサン何日間出してなかったんだよ、気の毒だな、と思ったに違いありません。
泣きながら壁を見たら、ちゃんと注意書きが貼ってありました。しかしこれをやってしまった人は、他にもたくさんいるに違いありません(だから注意書きがあるのでしょう)。
下の写真の奥に見えている茶色のハート型の池が、不動池(秋〜冬以外は水があるようです)。トイレはこの近くにありました。この日の筆者のダメージは、アプローチで走ってきた林道神津島線でも、白島登山道でもなく、バイオトイレでのこのライドが95%を占めました。特に危険なところはない山でしたが、このトイレだけは危険でした。シンガードの着用をおすすめします。
↓ 自転車も登山も両方楽しみたい時は小さいリュックを持っていると便利です。BIKE & HIKEも楽しいですよ〜!