シングルスピードの自転車を手に入れると、ロードやMTBとはちょっと違った規格と付きあうことになります。その代表格は「厚歯」と「薄歯」。チェーン・チェーンリング・スプロケット(コグ)まわりの規格です。本記事ではこの厚歯と薄歯の違い、及び互換性について解説します。
厚歯と薄歯
まずこの箱をご覧ください。これはシマノのシングルスピード用フリーホイール・SF-1200の外箱です。ちなみにシングルスピードのフリーホイールは、ロードバイクやMTBとは違い、スプロケットとフリーボディが一体化しています。1枚なのに値段が高いのはそのせいもあります。
さてこの箱、左側の「SF-1200」の下と、右側の「SF-MX30」の下に次のような数字が書いてあります。白枠で囲ったところです。
- 左:1/2 x 1/8
- 右:1/2 x 3/32
これは左が厚歯で右が薄歯なのですが、どういう意味なのか、詳しく見ていきましょう。
ピッチ
これらの数字は、チェーンの規格です。最初の「1/2」は「1/2インチ」という意味です。ミリに換算すると、12.7mmになります。これは「チェーンのピンとピンのあいだの長さ」を意味します。これを「ピッチ」といいます。
この「ピッチ」ですが、シングルスピードでも、ロードバイクやMTB用の多段変速用チェーンでも変わりません。どれも同じです。
インナープレート内幅
さて、続く「1/8」と「3/32」は何でしょうか。これも単位はインチで、それぞれミリにすると「3.175mm」と「2.38125mm」になるのですが、これは何かというと「チェーンのコマのインナープレート2枚の内幅」(内リンク内幅)です。
前者の「1/8」のほうが、幅が広いですね。これは厚みのあるスプロケットやチェーンリングの歯先に対応しています。この 「1/2 x 1/8」に対応したスプロケット・チェーリング・チェーンが「厚歯」です。
後者の「3/32」は「薄歯」と呼ばれます。「薄歯」は一部のフリーホイール搭載シングルスピード完成車や、多段変速の自転車で使われています。シマノでいうと8段変速以下に対応しています。
9段より上の変速に対応したチェーンにとっては、薄歯でも厚みがありすぎるので使えません。
互換性はあるの?
シングルスピードの自転車の場合、まれに厚歯のパーツと薄歯のパーツが混在していることあります。では厚歯と薄歯の互換性はどうなっているのでしょうか。それは下の通りです。
- ○ 厚歯と厚歯の組み合わせ→問題なし
- ○ 薄歯と薄歯の組み合わせ→問題なし
- △ 薄歯のスプロケットやチェーンリングに厚歯チェーンを使う→性能は良くないが動作はする
- ✕ 厚歯のスプロケットやチェーンリングに薄歯のチェーンを使う→不可能
厚歯のメリット
厚歯のメリットはやはり厚いだけに耐久性が高いところ。ちなみに厚歯という規格をはじめて意識した方でも、このシステムの自転車に乗ったことはあるはずです。なぜならいわゆる「ママチャリ」は厚歯のパーツで構成されているからです。
また固定ギアの愛好家の方ならわかると思いますが、厚歯は剛性が高くペダルを踏んでいて独特の気持ち良さがあります。
まとめ
シングルスピードバイクを手に入れた後は、自分好みのギア比を得るためにスプロケットを交換することがあると思いますが、パーツや工具を買うときは厚歯と薄歯の違いに気をつけましょう。
特に固定コグでの使用を想定していないフリーホイールのみのシングルスピード完成車の場合(=足を止めてもホイールが回転しつづけるタイプ)、薄歯のパーツで構成されている場合があるので注意が必要です。購入時に店員さんに聞いておくか、メーカーサイトで確認しましょう。
この記事で紹介したSF-1200とSF-MX30ですが、おさらいするとSF-1200が厚歯です。SF-MX30が薄刃です。箱は同じです。ちなみにSF-1200には16, 18, 20Tのオプションがあり、SF-MX30は16, 17, 18Tのオプションがあります。
売り上げランキング: 50,966