トラックやピストバイクのリアエンドは、多くの場合ロードバイクのそれとは違ってドロップアウトが下向きではなく、水平に開いているものが多いです(写真下)。日本語だと正爪、英語ではhorizontal dropoutと呼ばれます(ちなみに「正爪」は「まさづめ」と読むのが正解らしい)。
ホイールをセットして、チェーンをコグにかけて、ホイールを後ろにグッとひっぱり、チェーンが緩まない・ビチビチに張りすぎない「いい感じ」のテンションがかかったあたりで、ナットを仮締めします。
するとホイールのセンターがズレてしまうことがあります。そこを微調整しながら左右のナットを締めていきます。いわゆる「センター出し」です。
「チェーン引き」と呼ばれるパーツがないシングルスピードでは、そういう作業をします。完成車で売られているシングルスピードバイクには、チェーン引きが最初からついているものと、ついていないものとがあります。私が買った自転車には、ついていませんでした。
「チェーン引き」は、英語ではtugと呼ばれることが多いようです。
SURLY TUGGNUT CHAIN TENSIONER
さて「チェーン引き」があるとこの作業がすごく楽になります。下はSURLY TUGGNUT CHAIN TENSIONERという製品で、これもチェーン引き(栓抜きとしても使えますがそれはまた別の話w)。
シングルスピードバイクでチェーン引きを使う場合、リアエンドの内側にこの金具を入れられるかどうか観察してみる必要があります。
私のバイクはチェーン引きが入れられるような設計ではなかったので、エンド外側にはめるタイプのものを探しました。そしてちょっと変わったものを、と考えSURLYの製品をチョイスしました。これ、外側にかぶせるタイプです。
10mmと9.5mmの軸を切り替えられるスペーサーが付属しています。うちの自転車は10mm。装着は、飛び出したシャフトの上にかぶせてナットをはめるだけ。超簡単。
使い方も超簡単。ナットを本締めする前にこのネジをキリキリしめていくだけ。それでチェーンのテンションが出ます。ホイールのセンター出しも簡単です。
このパーツ、時短になって便利です。MKSなどの本格的な競輪用製品にはエンドの左右にこれを入れて調整するタイプがありますが、片側だけでも十分に作業性が高まります。左右に入れるとセンタリングがさらに簡単になると思いますが、重量増にもなります。個人的には1個で十分、と思いました。
チェーン引きは必要不可欠か?
チェーン引きを使ってみて、これは便利でいいな、と思いはしたのですが、必要不可欠かというと、そんなことはないです。実際私はこれを使わずに外で何度もホイールを外してフリップフロップ(ホイールを反転させて両側にはめた違う大きさのスプロケットで遊ぶこと)を試しています。
手でホイールを後方にひっぱって、いい感じにチェーンが張れたところでナットを仮締めして、ホイールセンターを出して両側のナットを締めていく。この作業に慣れたら、チェーン引きがなくても大丈夫(最初は若干手こずりましたが)。
チェーン引きは、あればあったで便利。でも必要不可欠ではありません。
そしてあったらあったで邪魔にもなりません。若干重量増にはなるものの、駆動系には影響を与えないのが長所です。これがシングルスピード用の「プーリー式テンショナー」だったりすると話はきっと別で、あれは絶対にフリクションロスが出るはずなので個人的にはチェーンテンション確保が目的で使うことはないと思っているパーツです。
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シングルスピードに乗るようになってからまだ数ヶ月ですが、このタイプの自転車はとにかく軽い。重さもそうですが、重量以上に「漕ぎのフィール」がとにかく軽く感じます。
ホイールなんか完成車付属の、安くて重い普通のクリンチャーホイールを使っています。高級品では全くありません。
それでも感動的に軽いのです。シャキシャキ、スイスイした走りです。
その理由をいろいろ考えているのですが、まず間違いなく「リアディレイラーやプーリーのような部品がないから」だろうと思うようになりました。プーリーがものすごいは結構な走行抵抗になっていると思います。余計な歯車を2つ通って、チェーンも長くなります。
逆に言うと、ロードバイクでディレイラーのプーリーにお金をかけるのは合理的なことだと思いました。セラミックスピードの大径プーリーなど。ここにこだわるのは、決して些細なことではないと思います。
というわけで「プーリー式のテンショナー」はシングルスピードバイクの魅力である「軽快さ」をスポイルするものではないかと感じているので、使いませんが、「チェーン引き」なら駆動系に影響は与えません。
ロードバイクは、速い自転車。
MTBは、楽しい自転車。
シングルスピードは?
軽い自転車、です。私にとっては。とにかく軽い自転車。ひたすら軽い。羽のような自転車です。鳥になったような気分になることさえあります。まだ乗ったことがない方は、いつか乗ってみてほしいです。気持ち良いですよ!