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ブレーキ製品レビュー

TRPのメカニカル・油圧ハイブリッドディスクブレーキHY/RDを試す

4.5

TRPのメカニカル・油圧ハイブリッドディスクブレーキHY/RD(HY-ROAD)を使いはじめました。セットアップのコツや使用感などをご紹介します。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

なおこの製品にはCBNに有益なレビューがたくさんあるので是非合わせてお読みください。

cbn TRP HY/RD-160
cbn TRP HY/RD Flat

TRP HY/RD (HY-ROAD)

TRPのこの製品、「HY/RD」と「HY-ROAD」の2つの名称が公式サイトには表示されています。読み方は「ハイロード」でしょう。「HY」は”Hybrid”から来ていると思います。ブレーキキャリパーが油圧シリンダー式で、それを動作させるために機械式ワイヤーを使うという「メカニカル・油圧ハイブリッド」ディスクブレーキです。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

需要としてはディスクブレーキ用のフレームだけれど何らかの事情でフル油圧ディスクブレーキへの移行が躊躇われる、という人や、完成車付属の安価なメカニカル・ディスクブレーキの性能にいまひとつ不満、でも現在のブレーキレバーはそのまま活かしたい、という人向けでしょうか。

これは2013年に台北のサイクルショーで発表され2014年には流通が開始しているのでもう5年くらいになる、ある程度「枯れた製品」であると言えると思います。現在でもグラベルロードのミドルレンジ以上で採用されていたりします。

大人気、ではないと思いますが「扱いやすくて性能もわりと良くて面白い製品」として愛好されている方も多いと思います。このブレーキは以前からずっと使ってみたかったので今回試してみることにしました。

購入したのはIS(インターナショナルスタンダード)マウントからPM(ポストマウント)へのアダプターと2枚のローターが付属するOEMパッケージでしたが、バイクにはポストマウントで装着。マウントアダプターなし・ボルトなしの実測重量は片側213〜214gでした(純正パッド含む)。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

セットアップ時はレバーアーム・ロックノブの扱いに注意

メカニカルワイヤーを使用するため、フル油圧式のディスクブレーキのようにホースカットしてエア抜きのブリーディングをして…という面倒な作業は一切不用。キャリパーをバイクに装着してワイヤーを張るだけで使えますが、セットアップ時には注意点があります。

下の写真で矢印で示している「レバーアーム・ロックノブ」は、初期状態で奥までねじこまれています。この状態だとシリンダーが動かないので、ワイヤーを張る時はこの状態であることが必要です。もしねじこまれていなかったら、ノブを下にグッと押してからねじこみます。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

一通りワイヤーを張り終わったら、ブレーキレバーを握る前にこのノブをゆるめてシリンダーのロックを解除する必要があります。

私は作業時にうっかり軽くレバーを握ってから気付いたのですが、するとこのノブがかなり回りにくくなっていました。CBNレビューでも言及されていますが、このロックノブを解除せずにブレーキレバー強く握りこむと壊れるかもしれません(HY/RDユーザーは1度はやったことあったりして)。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

アジャストバレル(バレルアジャスター)は、セットアップ時にはぎりぎり奥まで締めこんでいくのがおすすめです。というのも、このアジャスター、可動域がかなり小さいからです。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

ワイヤーを張り終わったら、レバーアーム・ロックノブを解除し、アジャストバレルで引き代の調整をし、キャリパーのセンタリングをしたら終わりです。

TRP HY/RD (HY-ROAD)

なおキャリパーブレーキのセンタリングについてはフル油圧ディスクブレーキと同じです。下の記事で解説してあります。

参考 ディスクブレーキローターの音鳴りから解放されるための4つの方法

TRP RRL SR ブレーキレバーとの組み合わせ

さてこのHY/RDですが、同じTRPのドロップバー用メカニカルブレーキレバー「RRL SR」と組み合わせています。

TRP RRL SR ブレーキレバー

このブレーキレバーについては次の記事で紹介しています。

参考 TRPのクラシックなブレーキレバーRRL SR

HY/RDとRRL SRの組み合わせ時のセットアップは次のようにやるとうまく行きました。

  1. RRL SRのケーブルリリースボタンを押す
  2. その状態でワイヤーを張る
  3. ワイヤーを張り終わったらリリースを解除し、HY/RDのアジャストバレルを限界までゆるめる

これでかなりタイトな引き代にすることができました。

パッドの当たりと制動力については「当たり」が出るまで3〜40回使うように、とTRPのオーナーズマニュアルにあります。確かに初期セットアップよりワンライド後に引き代が少しだけ短くなります。

引き代についてはブレーキレバーとの相性があるようです。先述のようにバレルアジャスターでの調整域が小さいので場合によっては別途インラインアジャスターなどが必要になるかもしれません。

HY/RDの使用感

現在フル油圧式ディスクブレーキとしてはTRP Hylex RSを使用しているのですが、それに比べるとちょっと握り込んだだけで「ガツン」とくるあの油圧独特の感動というか驚きはありません。

逆に言うと、立ち上がりは効きの良いリムブレーキを思わせるような滑らかさがあります。

フルメカニカルのディスクブレーキよりも少ない入力で大きい制動力は得られます。リムブレーキに比べるとさらにそうです。

TRP RRL SRブレーキレバーとの組み合わせで言うと、レバー自体はかなり下まで握りこむことはできますが、上ハンからの軽い握りだけでホイールがロックするまで持っていけます。

制動力自体はよく言われているようにタイヤと路面状況によって決定されるものだと思いますが、同じ制動力を得るために必要なレバーからの入力はやはりかなり少なくて済みます。

さすがにフル油圧のHylex RSに比べると反応の速さは劣り力もやや要る感じですが、長めの下り坂でもリムブレーキよりは断然疲れません。

というわけでいまのところ非常に満足していますが、付属のパッドをシマノ製に交換するとさらに良いらしいのでそれは今度試してみるつもりです。

TRP HY/RDの感想を一言で言うと、こんな感じです。

メカニカルでありながら油圧な感じもするディスクブレーキ

そのまんまやんけー!! でもマジでそんな感じですw 握りはじめは良いリムブレーキみたいにリニアですが、最後のガツン、は油圧フィール。なかなか不思議な感覚です。

HY/RDの欠点

CBNレビューでも指摘されていますが、欠点らしい欠点といえば恐らく「オイルの劣化の早さ」になるのかもしれません。

私はまだ使い始めて日が浅いのでわかりませんが、構造上使用しているオイル量が少ないので劣化が早く、リブリードのサイクルも短くなるようだと指摘されています。

とは言え油圧ディスクブレーキのブリーディング経験者ならHY/RDのリブリードも簡単でしょう。下はTRP公式の動画ですが、片側をシステムの高いほうに持ってきて作業する、というのはHylex RSと同じ。

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ブリーディング経験のない方には面倒かもしれませんが、ブリードポートはキャリパーにしかないのでフル油圧のようにブレーキレバーからオイルがポタポタ垂れてくる、みたいなことはないので、作業は比較的ラクなんじゃないかと思います。床掃除はきっと絶対ラクでしょう(笑)。

ポリッシュシルバーは絶版らしい

なかなか面白い、使っていて楽しいブレーキです。ただ、わりと高価な気もします。最近は片側で12,000〜15,000円は普通にするようです。私が買ったのはローター2枚付きで2万円ちょっとというものでしたが、これ実はだいぶ前に、片側8,000円くらいでamazonで売っているのを見かけていたんですよ!

まあ後でも買えるだろうと思っていたら、実際買う時にはそのお祭り価格は終わっていました。一体なんであんなに安かったんだろう。HY/RDはディスコンとかモデルチェンジがあるという話も小耳にしますし、ポリッシュシルバーのモデルもあまり流通していないようです。

このブレーキに興味がある方は、欲しいタイプが安く流通している時に買っておいたほうが良いかもしれません。ちなみにポストマウント以外にフラットマウントのモデルも用意されています。

カラーは、いまTRPの公式製品ページを確認したところブラックとポリッシュ・グレイの2つだけリストされています。ポリッシュシルバーがカッコ良くて本当はそれが欲しかったのですが、もう作ってないみたいですね。持っている方ラッキーですね。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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