モノとモノを繋ぎ、強固に固定し、任意に分解する事が可能で、何度でも分解組立が出来る機構。それが“ねじ”です。
現在我々が自転車屋さんに行くとカラフルなボルトを購入する事が出来ます。ホームセンターや金物屋さん、果ては自室の片隅に転がっていたりもします。
我々は果たしてどれを手に取ればよいのでしょうか。
今回は汎用のねじの規格についてお話していきたいと思います。
ネジの歴史
概念自体は紀元前からあったようですがその頃の用途はポンプ用部品。部品締結にネジを用いたという最古の記録はレオナルドダヴィンチのスケッチだそうです。
日本には鉄砲(火縄銃)の銃身の栓としてネジという概念が入ってきましたが、結局日本ではネジ自体の製造は出来なかったという説があります。(※ネジ部は使いまわしていた。)
更に時を経た太平洋戦争中の南の島の戦場。何丁かの壊れた三八式歩兵銃の部品をかき集めて1つの歩兵銃を作りたかった日本兵。同じ型式の歩兵銃が幾つもあるのに作った工場によって微妙に寸法が違うため結局修理が出来ず戦えなかったという嘘みたいな逸話を聞いたこともあります。(ネジもそこに含まれるとか。)
そんな訳で、歴史あるネジという機構がちゃんと規格化されたのは割と最近。国際標準化機構(ISO)が活動を開始した1947年2月以降になります。
自転車で使うボルトの規格
『ISO又はJIS規格のメートル並目六角穴付ボルト』
これが自転車、特にスポーツバイクでよく使われるボルトになります。これについて解説していきます。
「ISO又はJIS規格のメートル並目」って何?
ISOとJIS
ISO(International Organization for Standardization)は国際標準化機構のこと。JIS(Japanese Industrial Standards)は日本産業規格。JISはISOに準じつつ日本独自の規格を補完するように制定されているのでおおよそ同じと思って頂いて大丈夫。
メートルとインチ
メートルは長さの単位のメートル。ネジの太さとネジ山のピッチ(ネジの山から山までの距離、間隔。言い換えるとネジを1回転させたときにネジが進む距離。)を皆様お馴染みのメートル単位系の規格で定めたものになっています。
メートル規格以外にインチ規格というのがありますが、自転車ではあまり見かけないです。その他台形ネジ、テーパーネジなど規格は色々ありますが、自転車で見かけるのは工具類ぐらいでしょう。
並目とは
並目というのはネジの太さ毎に決まっているネジ山のピッチの大まかな括り。超大雑把に言うと我々がよく目にするのが並目。同じ太さでもより細かいピッチのものが細目です。
超大雑把に言うと、並目はパーツ同士を締結(固定)する用、細目はダイヤル調整的な役割に使う事が多いです。シェアは圧倒的に並目が優勢です。
ネジの呼び
例えば、『M5×12L』というボトルケージの固定ボルトによく使われているネジサイズについて読み解いてみましょう。
- Mはメートル規格のM。
- 5はネジ部分の外径。
- 12Lはネジ部分の長さです。
外径=ボルトの外径
ネジ部の外径は『ボルトの外径』を指します。ナットの穴の内径ではないので注意。あくまでも『呼び径』なので例えばM5だったら直径5mmより少し細く出来ています。まぁノギスで挟んで大体5mmだったらM5、鋼尺当てて大体5mmだったらM5です。いい加減な説明ですがいい加減で済ませられるのはちゃんとした規格が存在するお陰です。
規格自体はJISによるとM1から始まって、M1.2、1.4、1.8、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、10、12、14、16、18、20・・・と続いていきます。自転車だと最小M2.5、3、4、5、6、8といったサイズを使います。
余談ですが、M3.5、4.5、7、18といったサイズはボルトの種類が多くなり過ぎるのを防ぐために常用されないといった暗黙の了解的な物があるため滅多にお目に掛かれません。
極稀に遭遇しようもんなら「おおっ!! スゲェ!!」ってなります。この驚きと感動、説明してもあまり分かってもらえません。10年に1回出会えるかどうかってぐらい珍しいのに…。
長さ
12Lというと長さが随分中途半端な気がしますが、ボルトにバネ座金(スプリングワッシャ)と平座金(平ワッシャ)を通すとネジ部の長さが大体10mmになるというライフハックが潜んでいます。
キリの良い数字で在庫したい5mm刻み派のお客さんと、ワッシャやナットを組み合わせて使いたいので+αの長さで在庫している派のお客さんが居るのでネジ屋さんは両方のパターンに対応すべく細かく在庫しています。ホームセンターのバラ売りとかだと5mm刻みで置いてあるところが多い気がします。
ネジピッチ
M5の後に『×0.5』と入っていたらそれはネジピッチの事で0.5は細目ネジ。
並目だとピッチは0.8。正式にはM5の後ろに0.8が記載されるのですが、一般的かつ大多数な並目ネジを表記する場合は省略可とされているので大抵省略されています。
この調子で読み解いていけばもうどんなボルトでもサイズが分かりますよね。
またまた余談ですが、ボルトサイズを見慣れてくるとそのうちパッと見でボルトのサイズが分かるようになりますよ。
利点として、ホムセンのネジのばら売りコーナーに混入した別サイズのボルトに惑わされるイライラが解消されたり、ごちゃ混ぜになったネジ類の山から欲しいサイズのボルトを何本か揃える時間が短縮されたりします。
弊害として、妻から変人呼ばわりされてしまいます。(実話)
逆ネジとは
ネジの回転方向ですが、基本的に
- 時計回し⇒締める
- 反時計回し⇒緩める
です。
逆になっているものもたまにあります。逆ネジと言います。その方が構造上ネジが緩みにくくなるので安全上逆ネジを使う方が良いといった場合に使われます。
自転車ではペダル軸とBBのネジなどに逆ネジが存在します。他は回転工具や農具の刃の固定ネジや、建築に使うテンションボルト、釣りに使う両軸リールのドラグのネジぐらいしか知りません。我々自転車乗りは大変珍しいネジを常用しているのです。
頭の形状
スポーツバイクでは六角穴付のボルトが大多数で時々トルクス、プラス、マイナスが使われています。
軽快車(俗に言うママチャリ)とかだと六角頭も使われています。
あくまでも一般論ですが、それぞれの特徴をざっくり表にまとめてみました。
ボルトの頭の形状と特徴
六角穴付 | トルクス | 六角頭 | プラスネジ | マイナスネジ | |
---|---|---|---|---|---|
軽量性 | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ |
耐腐食性 | × | × | ◎ | × | ○ |
耐ゴミ詰り | × | × | ◎ | × | ○ |
耐締付けトルク | ○ | ◎ | ◎ | ○ | × |
舐めにくさ | ○ | ◎ | ○ | × | ○ |
使用可能工具の選択肢 | 1種類 | 1種類 | 多数 | 1~2種類 | 1種類 |
六角穴付のメリットとデメリット
意外かもしれませんが屋外で使用するスポーツバイクに六角穴付ボルトを使うのは構造上不向き。六角穴に水が溜まったりゴミが詰まったりして腐食を招いたり、ゴミが詰まって工具を掛けられなくなるというトラブルを招きやすいためです。
ですが、六角穴付ボルトは工具を掛ける際に周囲のスペースをあまり必要としない為、『パーツ形状側をコンパクトに出来る』という利点があり、つまりは軽量化に寄与できます。これが六角穴付ボルトがスポーツバイクに多用される最大の理由です。
ちなみにボルト自体は軽くないです。材質とサイズが同じであれば六角頭と六角穴付の重量は殆ど同じです。
自転車業界でよく見かけるこの頭を横から見た時に台形に見えるデザインはチーズ形状と言います。実はこれも一般的には使われない形状です。恐らくパーツとボルト頭の接触面積を一定に保ちつつも少しでも軽量化したいという意図があったのでしょう。スッキリしてちょっとお洒落だし。
本来は省スペースや怪我防止目的で使用される低頭ボルトや小頭ボルトも一応軽量化に使えますが、低頭ボルトは構造上工具のサイズが1段階小さくなりますし、小頭ボルトはパーツへの接触面積が減るので、どちらも固定力は落ちる傾向にある事をご留意下さい。
六角頭のメリットとデメリット
六角頭は工具を掛けるときにスペース上の問題がありますが、色々な種類の工具が掛けられ、液体や異物が排出されやすいという利点があります。建築や自動車で六角頭が多用されるのはこのためです。締付トルクや舐めやすさは使用する工具次第で変わりますがソケットレンチやメガネレンチを使えば殆ど舐める事はありません。
という事はクリートの固定に良さげなのではないかと言うとそうでもなく、外からの衝撃で変形しやすいという弱点により工具が掛からなくなる恐れがあります。工具を別途用意する必要もありますし。という訳で結構よく考えられてます。スポーツバイク。
トルクスのメリットとデメリット
トルクス穴ボルトは締付け時の工具とボルトの接触面積が大きいのでより大きなトルクを伝えられるという特徴があり、そのためスポーツバイクではブレーキ回りやステムチェーンリング等に使われます。トルクスレンチを所有している人は六角レンチに比べれば少ないので安全と保安の上で重要な箇所のイタズラ防止の意味合いも多少はあります。
プラスネジのメリットとデメリット
プラスのネジ頭はトルクスと同じ理屈でマイナスより大きなトルクが掛けられます。また、工具とボルトの回転軸が自動的に一致するためマイナス頭よりも高速で脱着できます。
弱点は異物詰りに弱く、また構造上トルクを掛けた時に工具が浮き上がるため舐めやすいといったところです。
自転車で使うボルトの材質
代表的なのをいくつかご紹介します。
鉄系ボルト
SS400, S45C
SS400やS45Cが最も安価。
SS400というのは引張り強度400[N/mm2]を最低限保証しますよ、でも成分の細かい規定は無いから材質は多少アバウトだよという材料。S45Cはスチールに0.45[%]のC(炭素)が入っている炭素鋼ですよという材料です。どちらも機械要素では大変メジャーな材料です。
SCM435
それよりも強度が高めで機械類等によく使われるのがSCM435。自転車乗りが大好きなクロムモリブデン鋼です。鉄系ボルトはこの3種が主ですが、熱処理やら成分調整などで強いのやら弱いのやら色々な派生型的なボルトがあります。
表面処理
鉄系ボルトは何かしらの表面処理をされた状態で売られている事が多いです。メジャーなのはユニクロメッキと黒染め。
ユニクロメッキとはユニクロムメッキの略。山口県に本社を置く大手衣料品メーカーとは全くの無関係です。(よく間違われます。)
黒染めは正式には四三酸化鉄被膜というものです。黒いボルトは大抵これです。
これらはホームセンターなどで安価で手に入りますし自転車でもベルやサイコンなどの小物類に使われていることが多いですが、ちょっと油断するとすぐ錆びます。特に黒染めは水分による錆びに弱いですし、ユニクロメッキも粉を噴いたみたいになってそのうち錆びてきます。
その辺を了承の上、錆止めの油等を塗布してお使い下さい。
ステンレス系
SUS303, SUS304, SUS316
SUS303もしくはSUS304という素材がメジャー。ホムセンなどで手に入るステンレスボルトは大抵これです。更に耐食性が強いSUS316という材料もありますが少し高価になります。
SUS430
あと、自転車のステンレススポークに使われているSUS430。400番台は磁石にくっつくステンレスで本来はステンレス包丁等の刃物用素材として誕生した材料です。耐食性能は若干落ちますが価格がお安く加工しやすい(=研ぎやすい)素材となっております。
どれも基本的には表面処理なしで使用します。
ステンレスの利点はもちろん錆びに強い事ですが、主成分が鉄なので錆びる時は錆びます。弱点は普通の鉄より熱伝導が遅いので焼付きやすい事ですが、自転車のネジ類に使うのであればそんなに気にすることはありません。
チタン系
アルミより少し重く、鉄より軽く、鉄と同程度の強度があるチタン。剛性は鉄より弱いですが必要十分。熱をかけたりアルマイト加工したりすると美しく発色するので装飾にも向いています。
焼付きに注意
となれば軽量化によく使われるのも頷けるかと思いますが、熱伝導がステンレスよりもさらに遅いのですぐ焼付くという面倒な性質もあります。チタン×チタンなんていう組み合わせはもう最悪で、私も純チタンステムに純チタンボルトの組み合わせでえらい目に遭ったトラウマがあるのであまり使いたくはありません。
今も積極的には使っておらず、何かしらのパーツに組み込まれているもの意外手元にもありません。チタンボルトを使用する場合は『焼付き防止剤』というケミカルを必ず使用してください。(後述)
アルミ系
A5052, A2017, A2024, A7075
圧倒的軽さを誇るアルミニウム。チタンよりお値段が安く、チタンよりも軽いです。普通は純アルミではなく目的に応じて成分を変えた各種合金として使われます。
強度は鉄以下なうえ素材の特性上バネのような伸縮性が非常に小さいので大トルクを掛けられず固定力も小さい。一度大きな力が掛かるとへにょーんと伸びて元には戻りません。
あまり負荷が掛からず安全性に直結しない小物の固定等に向いています。
代表的な素材はA5052、A2017、A2024、A7075など。他にも色々なアルミ合金が使われます。
A5052はアルミ合金の中で一番メジャーに流通している安価な部材です。
- A2017はジュラルミン。
- A2024は超ジュラルミン。
- A7075は超々ジュラルミン。
軍需産業で育ってきたアルミ合金達で、特にA7075は零式艦上戦闘機の為に日本で開発された材料として有名。そういえばCAAD13が元素記号ネタで盛り上がってましたが、一昨年の2017年はジュラルミンの年だったのですよ? 全く盛り上がりませんでしたが。(笑) 次は2024年の超ジュラルミンですね。(何の話だ)
ジュラルミン系は機械的強度は他のアルミ材より優れますが腐食には弱いので注意。アルミは錆びます。粉を噴いたみたいになってボロボロになります。ご注意ください。
軽量化にあまり興味のない私はなるべく使わないようにしていますが、最近ダボ穴の蓋として美しいアルマイトが施されたボルトがあれば欲しいなと思い始めています。そういった用途であればアルミボルトは非常に有能です。
樹脂系
色々素材があり過ぎて困るのがコレ。軽い、重い、固い、柔らかい、色付きもあります。
例外的にケミカル不要で水が付いても錆びませんがモノによっては紫外線などで劣化します。
基本的に金属系ボルトより強度が低いのでこれも小物向けですが、ベルやサイコン等の固定ネジに使って軽量化を狙うなら試してみる価値ありです。
各々の素材の特性
個人的偏見による各々の素材の特性を下記表にまとめましたので、ご参考程度に使っていただけると幸いです。
代表的な材質 | 代表的なコーティング | 比重 | 引張り強度 [N/mm2] | 舐めにくさ | 耐腐食性 対候性 | 耐焼付き | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
鉄系 | SS400 S45C SCM435 | ユニクロメッキ 四三酸化鉄被膜 (通称:黒染め) | 7.8 | 196 (純鉄) | ○ | × | ○ |
ステンレス系 | SUS304 SUS316 | 表面処理なし | 7.8 | 520 (SUS304) | ◎ | ◎ | × |
チタン系 | 純チタン 64チタン βチタン | 表面処理なし 陽極酸化処理 | 4.5 | 270 (純チタン) | ◎ | ◎ | × |
アルミ系 | A5052 A6056 A7075 | アルマイト | 2.7 | 80 (純アルミ) | × | ○ | ◎ |
樹脂系 | ナイロン 塩ビ その他数多 | 表面処理なし | – | – | × | ○ | ◎ |
ボルトとケミカル
基本的にネジには何かしらのケミカルを使用します。
目的は、
- ネジを締めつける際の摩擦低減
- 締付トルクの安定性UP
- 錆止め
- 緩み止め防止
- 焼付き防止
- シール用途
といった内容でそれぞれの目的に応じてケミカルを使い分けます。
グリス
例えば錆びたボルトを手で回すと余計な力が要りますよね。トルクレンチを使って締めても、錆による抵抗増に力を削がれてしまいネジをしっかり締めこむことはできません。錆具合によってボルトの締付け度合いも変わってきます。
例え錆びてなかったとしても工業製品なので多少の出来のばらつきもありますし、無理矢理回せば焼付きかけたりもします。余計なトラブルを防ぐためにもグリスは塗っておいた方が良いです。
さて、どこに塗るかですが、私に言わせれば表面全部ですが、塗布する厚みは調整します。
ネジ山への塗り方はボルト側の溝にしっかりグリスが入り込んでいるのが理想。相手側に油分が無ければ多めに塗る方が良いでしょう。締めつけたネジには螺旋状の通路が出来上がるのでそこをグリスで塞いでおけば水の侵入による電蝕やフレーム内の錆が防げます。
他の部分はうっすら油膜が乗っているぐらいでOK。少しでも油分があれば油は水をはじくので錆びにくくなります。
緩み止め
ロックタイトの製品群が有名で、ゆるゆるからガチガチまで色々あります。
他に自転車業界でしか使われない特殊なものとして、ホイールを組む時に使うホイールスミス社のスポークプレップも緩み止め剤の一種です。
定期的に自分の愛車の調整や各ボルトの増し締めを行う方なら緩み止めは殆んど必要無いと思って頂いても大丈夫ですが、心配な方は低強度の粘っこいタイプの緩み止めを塗布するのもアリです。
塗り方は全ネジ山にべっとりでも構いませんが4~5山分塗るだけでも効果はありますので再度付け外しするのであれば後者をお勧めします。
焼付き防止剤
ロックタイトのスティック糊みたいな製品とワコーズのチューブ状の製品が有名。ステンレスやチタンのネジをガチガチに締付けた後熱をかけて固着させようと奮闘してもネジがすんなり外れて驚いたりします。
焼付き防止剤の銘柄にもよりますが、内燃機関の排気系のボルトに使ったりします。温度は1000℃を軽く超えます(^^;
自転車ではネジの脱着時の摩擦熱だけで焼付いたりする、ステンレス同士やチタン同士の組み合わせ箇所で使用します。片側がアルミや鉄なら摩擦熱が分散するのでグリスのみで大丈夫な場合もあります。
焼付きやすい材質の箇所は焼付き防止剤を塗っていたとしても、冷やしたり休み休みにネジを回したりといった配慮があった方が良いと思います。チタンフレームにチタンボルト入れて焼けて固着してご臨終とか目も当てられませんので…。
私のボルトセットアップ例
参考になるか分かりませんが私のボルトの使い分けをご紹介します。
こちら私のネジBoxです。
入っているのはJIS規格の六角穴付ボルト。材質はSUS304(ステンレス)です。ホームセンターのネジばら売りコーナーで売っています。私は軽量化にあまり興味が無く締結力を重視しますのでこのボルトが基本です。それ以外のボルトは何かから外した何かのボルトの余りです。
そんな私でもボルトが長過ぎてフレーム内に飛び出ているのは嫌います。ボルトの脱着に無駄に時間が掛かって手が疲れますし、仕事をしていないネジ山は無駄で重いだけですし、露出した金属は錆びや汚れを呼んだりします。ロクな事がありません。
逆に引っ込んだ状態(掛かっているネジ山の数が少ない状態)ですと、ネジ山1つに掛かる力の割合が大きくなるので自転車のフレームのように薄い素材に立てられたネジ山とかだと下手すると壊れます。
ツライチは一応OKなのですが、スプリングワッシャを入れた状態のギリギリの長さのボルトはフリーの状態だとスプリングワッシャが伸びている分だけネジ部が短くなりネジ穴に届きにくいという作業性の問題もあるので、締め付け後に2~3山飛び出ているぐらいが丁度いいかと思っています。
用意されたネジ山はしっかり使い切るけど無駄は出さないというのが一番賢いネジの使い方・選び方です。
他に気を付ける事と言えばネジ部を清掃してからケミカルを塗って取付けるという事ぐらいでしょうか。
注油と清掃の方法はこちら
にも載せていますが、ウエス以外にも歯ブラシで掻き出すのもオススメです。
特殊ネジ
自転車では比較的遭遇しやすいのが謎規格ネジ。BBとかスプロケの固定ネジとかスポークとかチェーンリングボルトとかスルーアクスルのネジとか。
規格自体はちゃんとありますがBC~で始まる自転車専用規格。こういったものは、ある特定の部品しか取り付かない前提の独自規格、言い換えれば間違いやメーカーの意図しない改造を受け付けないようになっています。
汎用ネジではないものは深く考えず素直にそれに対応するパーツを取り付けるべきです。ネジの清掃や注油は基本的に汎用ネジと同じで大丈夫です。
ただし、ホイールのニップルに関しては注油すると緩みやすくなる(私の経験上)ので専用の緩み止めを塗布する事をお勧めします。
自転車は物言わぬ機械ですが、何か手を加えれば必ず何かの答えを返してくれます。ボルト1本と侮ることなく、しっかりメンテして気持ちよく愛車を走らせたいですね。
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