ブロンプトンが英国で車体のサブスクリプション・サービスを開始 スポーツサイクル大手はどう動く?

ブロンプトンが英国で車体のサブスクリプション・サービスを開始しています。月次単位、あるいは1年単位の契約でブロンプトンを手元に置いて使い続けることができます。

Brompton CHPT3 V2

Brompton CHPT3 V2 (photo:などかずさん)

出典 UK folding bike maker Brompton to launch subscription service – The Guardian

ひと月あたり4〜6,000円でブロンプトンを手元に置けるサービス

英国紙ガーディアン等によるとブロンプトンによるサブスクリプションサービスの詳細は以下。

  • サービス開始は9月から
  • 契約は月ベース、または年ベース
  • Covid-19の流行で高まった自転車需要に対応する
  • Brompton M3Lを12ヶ月契約で借りる場合、サブスクライバーは月額30ポンド(約4,185円、記事執筆時レート)を支払う。1日あたり1ポンドになる(139円)
  • 例えば夏休みの間だけ月単位で契約する場合、月額42ポンド(5,860円)になる
  • 保険や修理料金、年2回のメンテナンス費用が含まれる
  • ブロンプトンは既に日額6.5ポンド(907円)で車体を貸し出すサービス(Brompton Bike Hire)を展開している。年間25ポンド(3,488円)の手数料を払うとこれは3.5ポンド(488円)まで安くなる
  • ブロンプトンの製造・販売・レンタル需要は過去数ヶ月間大変なもので、最近は夏休みのため少し落ち着いてきたが先月の終わり頃には700台あるバイクレンタル用の車体はほとんど全て貸し出されている状態だった
  • パンデミック以前は平均で3日から5日間のレンタルが普通だったが30日まで借りる人も出てきた
  • 新しいサブスクリプションサービスを利用するにはオンラインでユーザー登録した後、最寄りのブロンプトン・ドックで車体を受け取ったり自宅まで配送してもらうこともできる
  • ブロンプトン・バイク・ハイアのマネージング・ダイレクターJulian Scriven氏は半年間で1,000人のサブスクリプション加入者を見込んでいる
  • 年末までにはドイツでも同様のサービスを展開し、その後は北米にも拡大する計画である
  • このサブスクリプションは、部分的には、支出を避けつつモノを所有することの恩恵を求めるミレニアル世代やジェネレーションX(※原文ママ)をターゲットとしている
  • 車体に問題が発生したら返却し「パンクしていない車体に交換して下さい」と言うことも可能だ

ざっとこうした内容です。日本でも展開されているようなバイクシェアとは違い、トヨタやVOLVO等の自動車メーカーが既にはじめているようなサブスクリプション・サービスに近いイメージです。

1年間契約で月あたり4,182円。月次契約の場合で5,860円。夏休みだけ借りたいといった場合や、短期の出張先で数ヶ月間だけ通勤用に借りたい、といった場合にも便利そうなサービスですね。

仮にM3Lを1年間使い続けた場合、年間の費用は50,220円です。3年以上使うとそのお金で同タイプを新車で購入できますが、折りたたみミニベロの完成形として名高いものの決して安価ではないブロンプトンを実際に買う前に長期試用してみたい、という需要にも応えられそうです。

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同様の自転車サブスクサービスの台頭が背景か

しかしブロンプトンはなぜこのサブスクリプション・サービスを始めたのでしょうか? 上のガーディアンの記事では「需要が増えているから」ということ以外書かれていませんが、もしかすると他の事情もあるのでしょうか?

この件について海外掲示板Redditでは次のような意見が見られます。

  • こうしたサブスクリプションサービスがはじまると、新品で買う人が減るのだからブロンプトンは中古市場に出回りにくくなるだろう
  • 貸し出されるバイクはリファービッシュ品(整備済み中古)らしいので、実はBrompton Bike Hireで車体が余りはじめているのではないか
  • 驚いたのはガーディアンの記事にはヨーロッパで広く成功を収めているSwapfietsとの競合について語られていないことだ

どれも興味深いですね。中古市場への流出を抑えられれば新車販売量の維持にもある程度貢献できそうですし、仮にパンデミック対策で用意したBrompton Bike Hire用の車体需要が少しづつ減ってくるのであれば余剰分を新サービスに回すのも合理的です。

さらに資金的に余裕のない、あるいはモノに執着しないミレニアル世代が大きいターゲットだとすれば非常にロジカルな動きだと思います。

しかし最後の「Swapfiets」の話も注目すべきでしょう。

Swapfietsはオランダ発の自転車サブスクリプション・サービスで(fietsはオランダ語で自転車の意。自転車をスワップ・交換する=Swapfiets)、同社は7月2日にロンドン・パリ・ミラノでもサービスを展開すると発表。今後はドイツ・デンマーク・ベルギーへの進出も計画しているそうです。

Swapfiets Delux 7

7段変速のオリジナル・ダッチバイク Swapfiets Delux 7 © Swapfiets

出典 Netflix Of Bikes Swapfiets Expands From Netherlands To London, Milan And Paris – Forbes.com
参考 Swapfiets – Altijd een werkende fiets

そう考えるとブロンプトンによるサブスクリプション・サービスはロンドンに上陸したSwapfietsへの危機感も背景にあって誕生したものかもしれません。また他にもBuzzbikeという企業が8月からロンドンで同様のサービスを展開するようです。

SwapfietsやBuzzbikeの利用者が増えた場合、Covid-19状況下で台数を増やして充実させたBrompton Bike Hireの利用者は減ってしまいます。するとブロンプトンが同様のサービスを開始するのは非常に論理的な流れではないでしょうか。

なおSwapfietsもBuzzbikeもシングルギアのママチャリ的な車体だけでなく、変速機付きのクロスバイク的な「ちょっといい自転車」を用意しています。

本格スポーツバイクブランドはどう出るか?

この「ちょっといい自転車のサブスク」ということでふと思ったのは、ジャイアントやトレック、スペシャライズドといったスポーツサイクルの大ブランドもいずれこうしたサブスクリプション・サービスを展開してもおかしくないのではないか、ということです。

これらのブランドによる「クロスバイクで通勤しよう」的なネット広告をだいぶ前から盛んに目にするようになったのですが、その広告がターゲットにしている層はサブスクリプションモデルと結構相性が良いような気がします。

50万円〜100万円の超高額スポーツバイクのサブスクサービスは難しいかもしれませんが、上の3社とも例えば日本では直営店をいくつも持っていますよね。そこで月単位、あるいは年単位の契約で高級クロスバイクやエントリー〜ミドルレンジのロードバイクを貸し出す、ということをやってもおかしくないのではないでしょうか。路面店なので修理対応できる強みもあります。

日本でも「ちょっといいスポーツバイクをサブスクできるサービス」がこうした大ブランドから出てくる可能性はあるでしょうか。読者の皆様のご意見もお聞かせいただけると幸いです。

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