NBAでプレイするバスケットボールの八村塁選手がキャノンデールとパートナーシップ契約を結んだことはニュースで見て知っていたのですが、街中のバス停でこのポスターを見た時は「おおっ、こんなところにキャノンデールの広告!」と驚きました(写真は筆者撮影・東京都にて)。
クロスバイク市場の争奪戦がはじまる
現在、アメリカの三大自転車ブランドと言えばスペシャライズド・トレック・キャノンデールです。どれもロード・グラベル・MTBとあらゆるジャンルで名車を出していて、健全な競争をしつつ覇権を争っている感があります。
そして彼らがいま日本で狙っているのはクロスバイク市場。コロナが収束した後も自転車の利用はますます高まるでしょうし、今のうちに知名度を上げておくのは良い戦略です。
しかし、よく考えてみるといくら大メーカー・ブランドとは言え、東京都バスの停留所で彼らの大型広告を目にする日が来るとは想像したことがありませんでした。
東京都内の別のバス停では、テニスの大坂なおみ選手をフィーチャーしたNIKEの大型広告はよく見かけます。テニス人口はスポーツ自転車人口とは比べ物にならないくらい多いですし、NIKEの知名度もキャノンデールとはとても比べ物になりません。
マスへの知名度浸透を狙う
知名度の高い八村塁選手をアンバサダーにしたこともそうですが、キャノンデールはより一般人に、マスに知名度を浸透させるために大掛かりなPR活動を開始しているのだろうか、と興味深くこの広告を眺めました。大坂なおみ選手の場合は実際にNIKE製品を使用していますが、八村選手とのコラボはジャンルを超えたクロスオーバー・プロモーションになっているのも面白いです。
八村選手のインスタにはこのポスターと同じ画像が投稿されています。
八村選手、子どもの頃は自転車によく乗っていたそうです。広告の写真に写っているのはエントリーMTBモデルのTrail 6。八村選手は身長203cmなので、サイズは少なくともXLで間違いないでしょう。あと良く似合ってますよね!
このままだと「ちょっといいクロスバイクが欲しいな」と考える一般の方々は「とりあえずキャノンデールにしよう」ということになりそうです。このキャノンデールの動きに対して、スペシャライズドやトレックがどんな反応を示すのかが気になります。とりあえずキャノンデールは良い先手を打ったのではないでしょうか。
20年ほどスポーツ自転車を乗り継いできた筆者の印象としては、キャノンデールは端的に言って「イノベーション」を駆動力とするブランド、という感じがします。
同じ北米のスペシャライズドもイノベーションを社是としていますが、ヘッドショックやレフティ、プレスフィットのBB30等、時に斬新、時に迷惑な(※個人の感想です)様々な新規格を提唱・投入し、一時はモーターサイクルにまで手を出して軽く倒産したものの、現在に至るまで変態的革新性をDNAにしているブランド、という気がします。
現在のロードバイクはカーボンが主流ですが、まだアルミが全盛だった頃、キャノンデールのCAADシリーズは私も含めて多くのスポーツサイクリストに愛されてきました。
そんな尖ったイメージのあるキャノンデールだけに、街中のバス停で同社の大きい広告を見かけた時は「何が時代が変わりつつあるな」と不思議な感慨にとらわれたのでした。