Santicの冬用サイクルグローブのミニレビュー記事です。同社製のグローブとしては「冬」とのみ記されており(型番なし。このモデル)、秋春用よりも防寒性が高いのならこの季節に使ってみたい、と考え、デザインも洗練されているので買ってみました。対応気温については正式な記載はないのですが、果たして思惑通り厳冬期でも使えるグローブでしょうか?
外観・スペック・品質
まず外観と基本スペックを見ていきましょう。上面は3パネル構造で、親指側にはサイクルグローブでは欠かせない汗拭きエリアがあり、この面積がかなり広く取られています。カフは薄手ですがジャージと組み合わせると十分な長さがあり、ほど良い伸縮性もあります。小指側のSanticロゴは反射素材で、ドロップバーでもフラットバーでもクルマに少しはアピールできるでしょう。
下はグリップ側の写真。親指・人差し指・中指の3本がタッチパネル対応となっていて、感度は良好な部類に入ると思います。パーム側はメッシュ素材で、要所にグレーの滑り止めが縫い付けられてあります。2000円前後という実勢価格を考えると相当豪華な作りです。
ただし私が買った個体は片方から糸が2本ヒゲのように伸びていて、縫製はまずまずかなという気がします(末端をうまくカットできなかっただけで、解けてくるタイプの糸ではありません。良いか悪いかと言えば良いほうに入ります)。
滑り止めはドロップハンドルのブラケットを持った時も、上ハンやフラットバーを握っている時もどちらも考慮されていて、グリップを必要とする箇所に良い具合に配置されます。さすが人気ブランドだけあってちゃんと自転車に乗っている人々が作り込んでいるなという印象です。
保温性能とサイズ感
保温性能については、筆者の場合、気温8度(ただし平地強風下)を下回ると指に冷たさを感じます。広大な汗拭きエリアとパーム側のメッシュ生地を考えると、これは冬用と言っても「冬に高強度で乗り続ける」タイプの方向けなのかもしれません。
とはいえ真冬であれば運動強度が高い場合でも指先の末端はなかなか温まりません。するとインナーグローブの併用を考えたくなるのですが、このグローブ、ジャストフィットで選んでしまうと小さめに感じる人が多いと思います(タイトフィット)。
サイズガイドを参照すると筆者の手はほぼサイズS通りなので、普通にSを買いましたが、試着の段階ではかなりキツめ。これはしくじったかな? 血流が妨げられてしまうかもしれない… と懸念したのですが、馴染めば使えなくもなさそうに思えたのでキープ。実際、その後のライドでは馴染んでジャストフィットになりました。タイトな分、シフターやブレーキレバーは操作しやすいです。
だがしかし。前述のように、このグローブ単体で指が冷えないのは10℃が限界かな、という気がします。厳冬期に使うのであればインナーグローブ必須で、その場合は間違いなくワンサイズ上を選んだほうが良いでしょう。Amazonレビューでも「小さめだった」という評価が散見されます。
ワンサイズ上を選ぶ場合は、逆にインナーグローブをしないと親指の付け根付近に若干空洞ができてしまう形状に思えるので(ジャストフィットの場合はさほど気にならない)、そうなるとグラベルバイクやMTBでオフロードを走る方や、ロードバイクでロングライドする方は擦れが気になってくるかもしれません。
全体的には、真冬用として考えるなら星3.5。秋春用なら星4。というのが現時点での私の評価です。メッシュ地による通気性は秋春ではメリットが大きいでしょうし、ジャストフィットで秋春に使えば正解のグローブ。真冬用のグローブを検討中の方は、インナーと組み合わせるよりも、保温性がさらに高いグローブを単体で使ったほうが良さそうです。
2000円と考えるとモノは非常に良いです。利用シーンとマッチすれば満足度の高いグローブになるでしょう。私は春先にまた活躍してもらう予定です(グリップが良いのでハイキングの岩場でも使ってみたい)。