How toではなくむしろHow to notなミニ失敗談です。
先日シングルスピードバイクのギア比を変えた時にチェーンも交換したのですが、タイヤが下の写真のようにチェーンステーにかなり近づいてしまいました(関連記事:タイヤのクリアランスについての考え方:限界まで太いタイヤを入れるとどんな問題が発生する?)。
スライドエンドにはまだ余裕があるので(写真下)、ホイールを最後方まで引っ張ればクリアランスも広がります。しかしチェーンはもうピンと張っているので、これ以上後ろには動かせません。
チェーンをひとコマ長くすると最後方まで動かせるのでクリアランスの問題は解決するのですが、すると今度はチェーンがダルダルになります。
ある程度のチェーンのたるみはあっても私は気にしないのですが、あまりにもたるみすぎでした。多段変速の自転車なら、プーリーケージがこういう「余り」を吸収してくれるところです(シングルスピードならテンショナーを使う方法もあり)。
シングルスピード愛好家にとってこれは「あるある事例」らしく、解決策として「半コマ」または「ハーフリンク」と呼ばれるものが存在します。
問題の筆者のバイクは、コグが薄歯。チェーンリングも薄歯(参考記事:薄歯と厚歯の違い)。チェーンも今回は薄歯にしました(7speedのKMC Z7)。ハーフリンクにも薄歯や厚歯の違いがあり、さらに薄歯同士なら何でも良いわけではないらしいので、リサーチの結果Z7と適合する「KMC H.LINK 3/32」を入手しました。
ミッシングリングを外し、ハーフリンクをチェーン工具で圧入。スライドエンドを後方にずらし、ちょうど良いところでセンタリングを確認して固定。タイヤのクリアランスも、チェーン長もバッチリです。クランクを軽く前後に動かしても問題なし。しかし最終チェックでクランクをグルグル回そうとすると…
ガコッ、ガコッ!!
ええっ!! う、動かない… ピンの圧入でも悪かったのかな…
「なんでかな〜?」とメンテナンススタンドの前で腕を組んで顎を撫でながらチェーンリングまわりを観察しました。すると…
なるほど、半コマを使ったことにより「ナロー・ワイド・ナロー・ワイド…」の順番が「ナロー・ナロー・ワイド」みたいに変わってしまったのか! するとナローなインナープレートにチェーンリングのワイドな歯が入ろうとする。当然、入らない。
な、なぜやる前に気づかなかった… というトホホな体験談でした。
ナローワイドでない薄歯チェーンリングだったなら、問題なかったのだろうと思います。シングルスピードならチェーン落ちの心配はほとんどないのでナローワイドチェーンリングでなくとも良いのかもしれませんが、このバイクのチェーンリングがもともとナローワイドタイプだったのです。
▼ 筆者の場合、そもそもインナープレート内幅が広い厚歯(1/8)チェーンと厚歯用のハーフリンクを使っていたら、こういう問題には遭遇しなかったのかもしれません(※保証はしません)。
▼ ちなみに全部が半コマのチェーンというものもあり、BMXでよく使われるそうです(私は使ったことがありません)。ただし下のこの製品は100リンクしかないそうなので、一般的なシングルスピードバイクでは長さが足りないかも。