製品レビュー

Zéfalのバックミラー「Spin」と「Spy」はどちらが使いやすい? 実際に使って比較してみた

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フランスのサイクルアクセサリー老舗Zéfal(ゼファール)は数種類のバックミラーを出しているのですが、その中でドロップバーエンドへの設置に適したモデル「Spin(Spin 15)」と、マウントの自由度が高い「Spy」の2種類を使い比べてみました。どちらも人気が高く、どちらを選んだら良いか悩んだことのある方は多いのではないでしょうか。

Zéfal SpinとSpy

ちなみにフラットバー向き・カーブドハンドル向きのミラーや、ヘルメットミラーもラインナップされているので、興味のある方はゼファール公式サイトのミラーカテゴリーもチェックしてみて下さい(ただし、全ての製品が日本で流通しているわけではないようです)。

Spin バーエンドミラー

まずは「Spin」バーエンドミラーから。ドロップハンドルのバーエンドに差し込んで使うタイプです。2枚のシムが付属しており、多くのハンドルで使えるはずです。私のアルミ・オーバーサイズハンドルではシム1枚が必要でした。実測重量は本体が48gでシム1枚が1g(公称45g)。

Zéfal Spin バーエンドミラー

バーエンドのプラグを外し、このSpinを入れて背中のネジをマイナスドライバーで締めていきます。すると内側の臼が拡がって固定される仕組みです(プレッシャーアンカー)。ただし、あまりガッチリと固定される感じではありません(脱落しない程度の強さで固定することは可能)。シムの厚みがジャストでない場合はビニールテープなどを併用すると良さそうです。

固定が完了すると、ミラーは横方向に360度、垂直方向に180度自由自在に回転させられます。後で紹介する「Spy」と違い、ベースの固定力が高いので本体の微妙な回転操作も容易です。

Zéfal Spin バーエンドミラー

輪行時などはこのように収納しておけるので、邪魔になりません。

Zéfal Spin バーエンドミラー

ちなみにこの状態でバーを握っても指は当たりません。ハンドルのどこを握っても邪魔にならないのは長所です。

Zéfal Spin バーエンドミラー

視認性はどうでしょうか。この「Spin」で自分にとって見やすいポジションを探すのは、やや時間と慣れが必要と感じました。ライド中の頭の位置は停車中と違うので、何度か微調整が必要です。私の場合は下のようなミラー位置に落ち着きましたが、上体の角度とハンドルまでのリーチによって見やすい角度は変わってくると思います。

Zéfal Spin バーエンドミラー

視認性は、とにかくポジションの設定が大事で、スイートスポットを見つけられれば「背後にクルマが来ているかどうか」はちゃんと識別することは可能です。しかしミラー領域が小さいので、やや慣れが必要な感じは否めません。

Zéfal Spin バーエンドミラー

ちなみにこうした簡易なミラー製品全般について言えることですが、歪みのない精細な映像は期待しないほうが良いです。個人的には「後ろにクルマが来ているか・いないか」というON/OFFのレベルで情報を得られれば十分と思います(それ以上の品質を求めるなら、コストも重量も増えるでしょう)。大きい情報を得るための補助的なアクセサリーと考えたほうが良いです。

Spy バックミラー

今度は「Spy」バックミラーを見ていきましょう。これはラバーバンド式で、ハンドルのどの場所に付けても良いですし、ステアリングコラムやトップチューブ、ダウンチューブに付ける人もいるようです。構造がシンプルであるせいか、実測重量は27gと上で見た「Spin」より軽量でした。

Zéfal Spy バックミラー

下はドロップバー末端外側に装着した様子ですが、この位置でももちろん視認性は確保できます。

Zéfal Spy バックミラー

このラバーバンドが切れてしまわないかがやや心配ではありますが、最悪切れてしまってもゴムバンドで補修できそうには見えます(Amazonレビューを読むと3年使って切れたという方がおられました)。

Zéfal Spy バックミラー

装着場所は人ぞれぞれですが、私が実際に使ってみて気に入ったポジションはこちら。下ハンのレバー固定リング直下、ミラーが内側になる位置です。「そんな位置で後ろが見えるの? それに下ハンを握る時に邪魔にならないの?」と思われるかもしれませんが、自分の太腿は若干映り込むもののここは意外にも視認性が良く、下ハンを握っている時も手との干渉は最低限という感じです。

Zéfal Spy バックミラー

後方がよく見える角度・ポジションは「Spin」同様に試行錯誤とファインチューンが必要ですが、スイートスポットを見つけられれば視界はSpinよりもだいぶ広い印象を受けます。私感ではざっくり1.5倍くらいの広さを感じます。

Zéfal Spy バックミラー

別々の場所で、背後から迫るクルマがこのSpyにどのように映るのかを写真に収めてみました(路側帯の安全な場所で停車し、迅速に撮影しています)。

Zéfal Spy バックミラー

こうして見ると映像は結構歪んでいるように見えますが、肉眼で見ている時はここまで歪んでいる印象はなく(たぶん脳が補正している)、少なくとも一般車・バス・トラック・タクシーといった車種の識別は問題なく可能です。

どちらが買い?

Zéfal SpinとSpy

さてバーエンドミラーの「Spin」とバックミラーの「Spy」、どちらが良いでしょうか。一概には言えないと思いますが、私の感想では「Spin」は上級者向け。コンパクトでめっちゃカッコいいのですが、そのため視界は狭めであり、若干の慣れは必要でしょう。しかし装着はスマートで、ハンドルのどこを握っても全く邪魔にならないのは長所。剛性があるのも良し。

一方「Spy」は視界が広く、そのぶん短時間でスイートスポットを探りやすい。弱点を挙げるとするなら固定用ラバーバンドの耐久性がやや不安に思える点と、バンドでの固定であるが故に剛性がないため角度調整時に本体が動きすぎる場合があることです。「Spin」のほうがグラつきはないので、角度調整はしやすい(が、視界は狭い)。

普段はこうしたミラーは使わなくても良いけれど、交通量の多い狭い道、たとえば東京の青梅街道だったり、埼玉や長野の国道299号などでちょっと後ろを見たい…、という人なら「Spin」が良いかもしれませんし、とにかく少ない手間で簡単に後ろを見たい、という場合なら「Spy」になると思います。また「Spy」はドロップバー以外でも使えるのは長所ですね。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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