考察小ネタです。海外掲示板Redditにr/starterpackというおもしろいコミュニティがあります。スターターパックとは元来「○○をはじめるにあたって必要なもの」という意味ですが、「○○でよくあるもの○選」的なネットミームが多数投稿されています(たまに秀作・傑作があっておもしろい)。
最近は上の「アクションムービーにおける国民性ステレオタイプ・スターターパック」が人気でした(671コメント)。
読んでいて「これは自転車マンガで使ったらおもしろそうだな、ロードレースのチームがこういう構成でもおもしろいことになりそうだ」と思ったのでした。
出典 “National Stereotypes in Action Movies” Starterpack
アクション映画における登場人物ステレオタイプ
以下の9ヵ国の出身者がアクション映画に出ていたら、こういう性格設定だろう、という説明があります。
- アメリカ:どこにでもいそうなやつ(Average Joe)。すぐカッカする。無鉄砲に行動開始する。戦略よりも野蛮な力勝負を好む
- イギリス・フランス:洗練された紳士。スノッブである(他人を見下す)。隠密・卑劣な暗殺者または特殊部隊員。ことあるごとに煙草を吸い、ウィスキーやワインを飲んでいる
- ロシア:口数が少ない。冷たく、重厚感のある物腰(特に酔っ払っている時)。アル中。ク○みたいに強くてタフ
- 日本:常軌を逸するほどまでに名誉を重んじる。ヤクザのヒットマン。1シーンは必ず刀で戦っている
- メキシコ:マジキチ
- ドイツ:物静かで礼儀正しいが脅威(威圧感)を与える。非常に知性的である。メインの悪役である可能性が高い
- 中国:マーシャルアーツの達人。素手での戦いになりがち。タイトなボディースーツを着た女性である確率が平均以上に高い
- インド:テック系の奴
これはもう「あるある〜!」という感じですね。アメリカ人なら人情に厚く、直情的。イギリスとフランスはちょっと気の毒な扱いですがこれもわかる。ロシア人とドイツ人のステレオタイプには少し共通したところがあるように思います。そして大体の映画に出てくるパソコン・数学・分析に強いやつ、インド人タイプ。
なおステレオタイプは「固定観念」とも訳されますが「偏見」とも訳されるので、あくまで冗談として受け取っておく必要はあります。外国の人に日本人の私達が「あなたは名誉を重んじるんですよね? 刀はどこに差していますか?」と聞かれたら微妙な気持ちになるのと同じで、外国の人にも「あなたはドイツ人らしく物静かですね」などと言ってはいけません(基本的に失礼)。
自転車マンガの名作に対応させてみる
それはさておき、上で挙げられているのは「9ヵ国」(イギリスとフランスが同じ扱いになっているものの)。これを眺めていたら、この8〜9人でサイクルロードレースのチームが構成されていたらおもしろいことになりそうだ、とまず思ったのでした。
次に思い浮かんだのが自転車のマンガ。「弱虫ペダル」の登場人物については、私は次のような対応関係を想像しました。
- 鳴子章吉:アメリカ
- 今泉俊輔:イギリス・フランス
- 金城真護:ロシア・ドイツ型
- 巻島裕介:メキシコ。中国的な要素もあるかもしれない
- 御堂筋翔:メキシコ・インド・日本・英仏のあらゆるステレオタイプを兼ね備えていそうなヤバいやつ。異彩を放っている
- 手嶋純太:インド
こう考えると「弱虫ペダル」は世界的に通用しそうなステレオタイプが(意図的かどうかは不明ですが)下敷きになっているように見え、それがヒットの理由のひとつもであるように思えます。小野田坂道は主人公だけあって簡単には理解できないところがありますね。
もう少し古い「シャカリキ」というマンガではどうか。野々村輝の性格も、やはり複雑な感じがします。アメリカ(直情的)的なところもあるものの、それに収まらない(狂気や内向性も強く感じられる)。
由多比呂彦の場合は、ややわかりやすいイギリス・フランス型(しかしフェアプレイや名誉も重視する)。鳩村大輔もテルと同じくらい複雑な性格という感じがあり、アメリカ(直情的)・ドイツとロシア(本当は無口で内向的?)・日本(名誉を重んじる)の複合型という印象(私個人の印象です)。
映画もマンガも、そしてロードレースの選手も、「この人はこういう設定・性格なんだろう」という固定観念から離れていく瞬間があり、それがいちばんおもしろいですね(レースの場合だとこれがドラマを生む)。