ディスクブレーキのローターからシャッ、シャッ、シャッという摩擦音が聞こえてくることがあります。この音から解放されるための4つの方法を紹介します。
ブレーキパッドのセンターを出す
ローターからの音鳴りの原因でいちばん多いのは「ブレーキパッドのセンターが出ていない」です。というわけでセンターを出します。手順は簡単です。
- キャリパーをフォークやフレームに固定しているボルトを上下とも、キャリパーが手で動く程度にゆるめる
- その状態でブレーキレバーをしっかり握る
- レバーを握ったままキャリパーの固定ボルトを締める(仮締めする)
以上です。この後ホイールを回してシャリシャリ音が出るかどうか確認します。音がまだ出るようなら何度かこの作業を繰り返します。音が消えたら最後にボルトを指定のトルクで締めます。
まれにパッドではなくピストンが片効きになっていることもあります。その場合はブレーキパッドを取り外し、タイヤレバー(プラスティック推奨)でやさしく両側に押し戻してから再トライ。
ローターの歪みを修正する
ローターは金属板ですが、力を入れるとわりと簡単に歪むものです。目視チェックして歪みがあるようなら、ディスクローター修正工具を使います。私が使っているのはACORの製品です。バイクを倒してしまった後、落車後、輪行時に音鳴りする場合はローターの歪みをチェックすると良いでしょう。
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パッドを交換する
パッドの摩耗が進んでいたり、異物が付着していたり汚染されている時も異音が発生する場合があります。その場合はパッド交換。
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あきらめる・悟りをひらく
最後の手段は「あきらめる・悟りをひらく」。これは冗談ではなく、結構まじめに書いています。筆者はこれまで安い機械式・高価な油圧ディスクブレーキ、安いローター・メーカー純正ローター、パッドもいろいろ使ってみましたが、最終的に音鳴りを常時100%消すのは無理であるという判断に私は至りました。
悟るのです。受け入れるのです…
見てくださいこのお地蔵さんを。まわりに小さい虫がブンブン飛んでいても、気にしていないじゃないですか。これ、この境地。
調整時に無音にできても、ライド中にダンシングすると鳴ったりします。なんでもない平地で鳴ったりします。これはフレームやフォークの剛性と関係があるのだろうと思っています。
ブレーキパッドのセンターが完璧に出ていたとしても、キャリパーをマウントしたフォークやフレームがライド中にマイクロレベルで歪むのであればローターに接触するのも原理的に当たり前です。
もしその接触量が大きすぎて体感できるほどの走行抵抗になっているとか、気が散って仕方ないというレベルなら再調整すべきだとは思いますが、たまに「シャッ………………シャッ……」となる程度だったら私はもう気にしないことにしました。
こういう摩擦音が一切ないリムブレーキのロードバイクに乗り慣れている方には、ディスクロードやMTBで経験するこの摩擦音はかなり不快なものに思われるかもしれませんが、一定の調整を経た後は「まぁこんなもんだろう」という寛容な心を持つのも大事ではないかと思うようになりました。
プロのメカニックでも解消できないケースがある
ちなみにプロのロードレーサー、クリス・フルームが乗るロードバイクも異音が出てしまうそうです。彼のバイクは当然一流のメカニックによって整備されていることは想像に難くないですが、それでも異音は完全には消せないわけです(詳細は下の記事をお読み下さい)。
ユーザーのレベルで最善を尽くすことは必要ですが、自転車におけるディスクブレーキは未だ完全なものではないという事実も頭の片隅に入れておいたほうが精神衛生上良いと思います。