最近TyreKeyをはじめとするニュータイプのタイヤレバーが人気です。着脱がやや難しいチューブレスタイヤの普及と関係がありそうな気もしますが、本記事では人気の4製品を実際に使いくらべてみることにしました。
今回用意したのは以下の4つ。左から
- BIKEHAND YC-3126 タイヤセットペンチ
- TyreKey(タイヤキー)
- SUPER B ペンチ型タイヤレバー5579
- Tacx T4620 タイヤレバーセット
となっています。
なおBIKEHANDのタイヤセットペンチはOEMらしく、同等品が「grunge タイヤインストール」等の他ブランドの製品としても売られています。
TyreKey
まずは最注目のタイヤキーから見ていきましょう。
柄の先端の部分を使ってタイヤを外しますが、厚みがあって滑りも良く、非常に外しやすいです。これ1本だけで外せました。ビードをセンターに落とし込むのがコツ、と公式サイトにはありますがそんなことをしなくてもスルスルとビードが外れていきます。
先端がラウンド加工されているのでチューブを傷つける心配も少ないと思いました。よく考えられています。
タイヤの装着ですが、まずタイヤの上からカポッとはめます。そして突起のないほうはタイヤサイドに当て、反対側の突起をタイヤのビードにひっかけます。あとはそのままクルリとレバーを回転。簡単に入ります。
なお今回の実験はすべて700x25cのクリンチャータイヤ(Mavic Yksion Elite)で行いましたが、25cタイヤなら余裕でつかめます。
TyreKey公式サイトによると18-35mm幅のタイヤ、及びチューブレスにも対応とのことですが、硬いタイヤの場合は28cを上限と考えたほうが良い、との説明もあります。要するにタイヤをつまんでこのタイヤキーの穴の中に入れられるものならOK、というわけです。
このタイヤキー、厚みがあってしなる部分もないので耐久性も問題ないでしょう。あらためて非常に良いものであると感じます。
SUPER B ペンチ型タイヤレバー5579
次はSUPER Bの「ペンチ型タイヤレバー5579」です。
タイヤペンチの反対側の部分でタイヤを外せますが、ここは従来型のタイヤレバーという感じです。これだけでも普通に外せますが、外しやすさではTyreKeyのほうが少し上でした。
TyreKeyのほうがタイヤを外しやすいのはレバーに厚みがあるからでしょう。下の写真は左がタイヤキー、右がSUPER B。ここは厚みがあると強いです。
ところでSuperBのペンチ型タイヤレバーは、内側に従来型タイヤレバーを1枚収納しています。
よって2枚のタイヤレバーを使えるので、ビードの固いタイヤでは作業性が上がると思います。
タイヤの装着はやはり少ない力で可能です。半円の部分をリムにのせ、片側のフックでビードをひっかけます。
対応可能なタイヤサイズですが、レバーの開いている部分を広げられるのでかなり太いものにも対応可能であるように見えます。しかし蝶番の部分がパキッといってしまわないか、耐久性がやや不安ではあります。こればかりは継続使用してみないとわかりません。
Tacx T4620 タイヤレバーセット
次はTacxのT4620です。
これは従来型のタイヤレバーが2枚付属します。タイヤの外しはそのレバーで行います。
ごく普通のタイヤレバーです。ただしデザイン性を優先させたせいか先端が短く、外したビードが元に戻っていきがちです。この2枚についてはあまり優秀とは言えません。
しかしこの製品のメインはペンチです。タイヤをのせる仕組み・構造はSuperBのペンチ型タイヤレバーと同じですが、ぱっと見た感じはリムを支える面が少し頼りなげです。
が、貧弱な印象とは裏腹に作業自体はスムーズに行うことができました。
ただしレバー自体がやわらかめで、耐久性の面でやや不安はあります。上のSuperBは硬すぎてパキッといかないか心配ですが、このTacxは柔らかすぎて折れないか心配。なかなか難しいですね。
タイヤレバーをペンチの側面にハメて一体化できるデザインになっていますが、やや外れやすいです。また高さはなくコンパクトですが、若干厚みが出ます。
Super B同様かなり太いタイヤにも対応できそうです。こちらのほうが広げやすい。折れないか心配なのはどちらも同じ。
このTacxタイヤレバーセットは、外しに使う従来型のレバーの先端の短さがとにかく残念です。
BIKEHANDタイヤレバー
最後はBIKEHANDタイヤレバーです。最初に書きましたが、Grungeからも「タイヤインストール」という製品名で出ています。全く同じ製品が複数ブランドから出ているので、安いものを選んで問題ないでしょう。
このタイヤレバーですが、タイヤを外す機能はありません。インストール専用です。また大きさから言っても自宅で使うツールです。
これ、圧倒的に使いやすい製品です。レバー部分が長いので少ない力でタイヤをハメられます。
しかもビードが外れている部分がかなり長い場合でもスポッと行きます。自宅で固いタイヤをインストールする場合、これを使わない手はないでしょう。
バネが仕込まれていて、耐久性の面でも不安はありません。これは高級品ですね。
ただし外出時に携帯するのは現実的ではない大きさであります。自宅で使うなら素晴らしいと思います。
長さ・厚み・重量の比較
次に携帯時に気になる全長や厚み、重量などを比較してみます。
全長と厚み
携帯が可能なTyreKey, SuperB, Tacxのタイヤレバーについて長さを測ってみました。
写真のように、短い順にTacx, TyreKey, SuperBとなりました。
- TyreKeyは14.5cm
- SUPER B ペンチ型タイヤレバー5579は16cm
- Tacx T4620 タイヤレバーセットは11cm
- 参考までにBIKEHANDタイヤレバーは23.5cm
Tacxは全長が最も短いのですが、やや厚みがあるのでツールボトルなどへの収納時はデッドスペースをうまく活かしたいところ。
重量
次に重さを測ってみました。
実測重量は次の通り。
- TyreKeyが20g
- SUPER B ペンチ型タイヤレバー5579が49g(タイヤレバー込み)
- Tacx T4620 タイヤレバーセットが39g(タイヤレバー込み)
- 参考までにBIKEHANDタイヤレバーは119g
ということで、最もコンパクトなのがTacxで、最も軽量なのがタイヤキーという結果になりました。
全長と重量を一覧表にしてみました。
全長 | 重量 | |
---|---|---|
TyreKey | 14.5cm | 20g |
SuperB | 16cm | 49g |
Tacx | 11cm | 39g |
BIKEHAND | 23.5cm | 119g |
ツールボトルの中での大きさ
最後にツールボトルの中での大きさを観察してみましょう。私が愛用しているPWTのツールボトルTBT350(内寸19.5.cm)の中でどのくらいのサイズ感になるか、写真に収めてみました。
TyreKeyはこんな大きさです。
Tacx T4620はこんな感じ。
SUPER Bはこんな感じ。
と、どれも問題なく入りました。Tacxだけ厚みが若干あるので、空いたところにパンクパッチやボタン電池などの小物を入れると良いかもしれません。
総評
今回人気の4製品を使い比べてみて、TyreKeyは頭一つ抜けている製品だな、と思いました。非常に優秀です。発想と構造も他の製品とは違うところがあり、製品強度も優秀。
またライド時に持ち歩くのが現実的でないBIKEHANDタイヤレバーですが、使い勝手は非常に良いので家に1本置いておくと大変重宝すると思います。
携行用として、私なら実際にどれを持っていくか。
タイヤサイズが28c以下のロードバイクならTyreKey一択、になると思います。
TyreKeyはタイヤの外し・装着とも抜群に使用感が良く、構造的に壊れそうなところもないのが素晴らしい。そして最軽量です。万一ビードが固いことがわかっているタイヤで出かけるのであれば、予備で小さいタイヤレバーを1枚追加で持っていくかもしれませんが、TyreKeyだけでまずなんとかなるような気がします。
しかしTyreKeyの弱点は極太タイヤがつかめないところです。公式サイトには35cまで対応可能とあり、実際にSchwalbe G-One Allaround 35cで試したところ使用可能でした。ただしギリギリです。タイヤによっては35cで使えないものもあるような気がします。
よりファットなタイヤを使う場合どの製品にするかは悩ましいですが、この記事で紹介したものの中なら、私は「SUPER B ペンチ型タイヤレバー5579」を選びます。Tacxより10g重く大きいのですが、作業性が良く安心感があります。
TyreKeyは構造上、大きいサイズにすると細いタイヤをうまくつかめなくなるのかもしれません。しかし35c以上のタイヤに対応した「TyreKey Lサイズ」みたいなものがあれば、使い分けができそうです。それが出てくれたら完璧ですね。
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