先日開催されたフランスのワンデイ・レース「ツール・デュ・ドゥー(Tour du Doubs )」で、IAM Excelsiorのシモン・ペロー(スイス)がゴールのスプリント中にフォークコラムが折れる、というアクシデントがあったようです。下はその際の動画です。
※音が大きいので再生時はご注意ください
La vidéo de la potence de Simon Pellaud qui casse après le sprint final 😶 (via @LNC_CYCLISME ) pic.twitter.com/VGTUQm3ZOC
— Bertrand Guyot (@bguyot1982) September 15, 2019
ツイート主は「ステムが折れた」と書いていますが、実際にはフォークコラムが折れたようです。ちなみにバイクはBianchi Specialissima。
ただ、YouTuberの方が下の動画で詳しく解説しているように、このバイク自体に問題があると即断するのは禁物でしょう。
ステムをオーバートルクで締めていた?
解説によると次の3つのうちのどれかに原因があるだろうとのこと。
- ステムボルトやヘッドセットが既定値以上のトルクで締められていた
- 製品の不良
- 過去のクラッシュが残していたダメージに気付かないまま乗っていた
クラッシュ時の様子をあらためて観察すると、ステムの根本あたりからコラムがポキッといっているように見えます。オーバートルクで締められたフォークコラムに、スプリント時の大きい負荷がかかってヒビが入り、一気に破断した、というシナリオはいかにもありそうです。
しかしIAMは立派なプロチームですから、メカニックがパーツをオーバートルクで締めるという初歩的なミスをした、というのも考えにくいものがあります(担当したのが新人さんだったとか、トルクレンチの精度が落ちていたとか、そういうことはあるかもしれないけれど)。
製品不良の可能性は皆無ではないにしても、ビアンキ・スペチャリッシマはAliexpressで売られている謎カーボン製品ではないので真っ先に疑うものではないかな、という気もします。
シモン・ペローはこのバイクで過去に落車を経験したことがあるのでしょうか。上の動画の人もそれについては情報がないと言っていますが、もし落車経験があってハンドルから地面に落ちたことがあれば、その時にステムがフォークコラムに大きい衝撃を与えてヒビが入っていた、というようなことはあってもおかしくないですよね。
アルミコラムでも破断することがある
なおこうしたフォークコラムの破断はカーボンに限らず、アルミでも起こりえます。過去にはこんな事故がありました。アルミコラムの金属疲労による破断の結果、ライダーが亡くなっています。
参考 After the death of a Canberra cyclist, should you be concerned about catastrophic fork failure?
金属製コラムの場合、長年乗っている方はよくチェックして、10年も乗っているのであればフォークだけ交換したほうが良さそうです。
それにしてもペローを襲ったこのアクシデント、もう転ぶしか選択肢がない状況で、しかもどう転ぶかさえ選べない感じです。落車時はハンドルにしがみつくことができれば身体へのダメージをだいぶ軽減できると思いますが、この事故では何一つできない感じです。恐ろしい。
大怪我しなかったのは本当に良かったですね。怪我どころか、ペローはこの状態でゴールラインを超え、5位に入賞したものすごい。
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