ロードバイクやグラベルバイクのようなドロップハンドルの自転車や関連パーツは、2021年にどのような進化を遂げるのか? Bikerumorがトレンド予測をしているので(願望に近い内容もあります)、その一部を抜粋・抄訳で紹介します。
出典 2021 Predictions: What’s coming for Road & Gravel bikes of the future?
タイヤクリアランスがさらに大きくなる
少し前までは40mmのグラベルタイヤは巨大に思えたが、人気が高まっている45mmやそれ以上の幅広タイヤに比べると、もはや小さい。
同じことはロードタイヤにも言える。何年も前、多くのライダーは25mm以上のスリックタイヤで走ることを想像できなかったが、現在では28mmタイヤ・30mmクリアランスが定番になりつつあり、32mmタイヤでさえかなり一般的になってきた。
スペックで指定されているものより太いタイヤを履かせうるワイドリムが爆発的に増えているため、それに対応するフレームやフォークの需要が高まっている。特に泥はけが必要なら(=オフロード走行なら)そうだ。
650Bバイクは少なくなる
上と同じ理由で650Bのバイクは少なくなるだろう。過去2年で650B設計のグラベルバイクは、小さいフレームや低身長ライダー用のものでさえ減った。それらの多くが700C完成車として販売され、650Bホイールとタイヤはオプションだ。700×50タイヤが使えて転がりの速度とスムーズさが手に入るなら、0.1インチだけ太いタイヤ幅を求めて650Bを欲しがる人はいないだろう。
低身長ライダーがタイトなジオメトリのせいで爪先が当たらないよう、ロードバイクで650Bがなくなることはないだろうが、グラベルでは今後大部分が700cになっていくと思う。
1xドライブトレインが増える
ワイドレンジのカセットでもギア間の大きい歯数差のせいで、1xはロードバイクではまだ人気が出ないかもしれない。しかしClassifiedの内装2速ワイヤレス変速ハブシステムの人気が出れば、より多くのバイクがフロントディレイラーと2xシステムを捨て、フロントシフティングをリアハブに搭載したモデルになってくるかもしれない。
ワイドレンジのCampagnolo Ekarもロードでの1xを後押しするかもしれない。Ekarは軽量で、レンジの選択肢も多く、MTBのウルトラワイドカセットに移行するよりも小刻みなギアステップを提供しているからだ。
これに関して言えば、SRAMはEagleと11-36の中間に来るようなミッドレンジの12スピードカセットを今年こそ出してくれるだろうか? 悲しいことに現在残っている11-42の選択肢はエントリーグレードのPG1130カセットだけだ。2×12 Forceのワイドギアの登場を考えると、12スピードの10-42は登場しないかもしれないが…
シクロクロスはどうなる?
シクロクロスのカテゴリーでは大きい変化はなかったし、2021年も多くは変わらないだろう。我々はシクロクロスが好きだが、現在は誰もがグラベルに興味を持っている。
新しいロードコンポーネント
シマノはほぼ間違いなく新型デュラエースを発表するだろう。問題は12スピードなのか、13スピードなのか。ガチでワイドなギアオプションがあるのか、それとも伝統的なロードバイクのレンジに留めておき、それを超えるものはGRXに任せることにするのか。Di2はワイヤレスになるのか? といったことだ。
SRAMに関して言えば、12スピードのメカニカル・グループセットを出して欲しい。AXSワイヤレスは素晴らしいものだが、ハイエンドのメカニカル製品を出していないせいで、OEMマーケットとコスト意識の高い消費者を失っているのは間違いない。SRAMは素晴らしい変速の、本当に軽量なメカニカルコンポを実現できるので今年は期待したい。だがApexレベルまでワイヤレスになるなら話は別だ。そうなれば誰がケーブルを必要とするだろうか?
ワイバーとショートステム
MTBの世界で見られたように、ドロップバーでもワイドバーとショートステムが流行る。幅狭のバーと長いステムはエアロダイナミクス的には良いが、スピード重視のパフォーマンスロードと、エアロダイナミクスを少し犠牲にしてでもより良いコントロール性能と快適さを求めるグラベル・オールロードのセグメントが分かれてくるように思う。
荷物満載のバイクパッキングは速度が遅いことが多いし、ワイドバーなら荷物も積みやすく重いフロントをコントロールしやすいこともある。パーツメーカーが、フレア角のあるロード用ハンドルバーを出しはじめることもあるかもしれない。
インテグレーションがさらに進む
エアロダイナミクス的に有利で見た目も良く、多くのライダーはブレーキホースを交換しない。インテグレーテッド・デザインはかつてわずかな重量増に繋がったが、ほんのわずかなエアロ効果がより重要になりつつあり、レイアップとデザインの改善で重量面での問題も基本的に消えた。
より軽量なバイクが…出る?
Specializedはエアロやインテグレーションを避けた585gのAethosで皆をあっと驚かせた。同じくらい軽いProとExpertバージョンも出した。そして乗り味も素晴らしい。これにより「世界最軽量のロードバイク」の敷居をかなり下げてしまった。一般的なパーツと規格で、マスプロマシンでこれをやったのである。
Cannondale, Trek, BHなどは寝込みを襲われたようなものだが、短期間で対抗製品を出せるだろうか? Aethosは発表されるまで何年もテストされている。限界を押し広げるフレームには多くのR&Dとテストが必要だ。こうした野心的でR&Dの比重が大きいプロジェクトは少なくとも量産化まで1年はかかるだろう。
E-BIKEが当たり前のものになる
去年はじまったことではないが、E-BIKEは2020年により良く、より軽量に、よりスリムになった。この傾向は続くだろう。
Scottは世界最軽量のE-BIKE、Addict RC eRideを出した。TrekはDomane+のより安価なモデルを出した。CanyonもEndurace:ON ALで参戦した。Yamahaは米国でe-ロードバイクを発表した。Orbea Gainはステルス・インテグレーションをさらに推し進めた。BH Core Carbon e-Road Bikeは航続距離を220km(137 miles)まで伸ばした。
ハブモーターも死んではいない。Meridaはほとんど普通のロードバイクと見分けが付かないオールロード・グラベルのE-BIKEを出した。
E-BIKEを馬鹿げたものと一蹴するのは簡単だが、我々は家族や友人に1台使わせ、ビッグライドに同伴させている。ノースカロライナ州で240マイル以上の、3日かけたバイクパッキングにも付いてこさせた。それはE-BIKEでなければ無理だったろう。