バッグ製品レビュー

WOTANCRAFT Pilot ブロンプトンでのフォトポタにピッタリな小型軽量・超高品質カメラバッグ

4.5
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今日はブロンプトン専用で、ミリタリーテイストかつフォトグラファーや映像クリエイターのために作られた非常に珍しいバッグを紹介します。台湾のWOTANCRAFT(ヴォータンクラフト)がプロデュースする「Pilot(パイロット)」という10Lの小型軽量、そして多機能なカメラバッグです。

WOTANCRAFT Pilot

WOTANCRAFT Pilot

昨年の暮れにWOTANCRAFTさんからレビューの依頼があり、製品の良い点も要改善点も公平に紹介する必要がありますがそれでも良いでしょうか、とお聞きしたところ、ご快諾いただきました。

なお本記事で紹介するPilotは、サイズ的にはブロンプトン純正の「Metro Backpack 14L」よりも少しだけ小ぶりのバッグなのですが、これとは別にもう1つのより大きめのバッグである「Scrambler(スクランブラー)」も試供品を提供していただきました。そちらは別の記事でレビューしています。本記事の最後にリンクがあるので、あわせて是非お読み下さい。

取り回しがいいサイズ

まず外観を見ていきましょう。大きさ的には先に書いたようにBrompton Metro Backpack 14Lより一回り小さい感じです。キャリアフレームは日本発売分では標準で付属します(Bromptonショルダーバッグやロールトップバッグのキャリアと同じサイズ)。肩にかけてもグラブハンドルをつかんで町中を歩いても違和感のない、取り回しの良いサイズ感です。

WOTANCRAFT Pilot

WOTANCRAFT Pilot

生地は質感の高いコーデュラで撥水加工がされています。より大型のScramblerバッグのレビューでも書きましたが、Pilotも生地はワックスコーティングされていて「1時間程度の雨なら中身は濡れない」撥水性があるとのことです。

WOTANCRAFT Pilot

軽量なコーデュラ生地を採用

つまりちょっとした雨なら中身が濡れる心配はないとされていますが、天気が読めない場合は万一に備えてブロンプトン用のレインカバーを携帯しておくと良いでしょう。筆者所有のMetro Backpack 14L付属のレインカバーが問題なくフィットします。

モジュラーデザインが便利でカッコいい

このPilotには「ジッパー付きのポーチ」と「巾着袋タイプのポーチ」の2つが標準で付属します。これは取り外しが可能なモジュラーデザインとなっているため、バッグから外して単独のショルダーポーチとして使うこともできます(ショルダーストラップもポーチ毎に付属します)。

WOTANCRAFT Pilot

モジュラーデザインはWOTANCRAFTの特徴のひとつ

WOTANCRAFTの製品群は「ミリタリー」を基調としています。このモジュラーデザインも軍隊の野外活動にインスパイアされているのかもしれません

そしてポーチはバッグ背面のみならず、前面にも取り付け可能! 左右の入れ替えも自由。これはブロンプトン純正バッグにはない大きい特徴と言えるでしょう。その気になればポーチを2つ追加購入して背面にも取り付けられます。組み合わせ自由自在。

WOTANCRAFT Pilot

付属のポーチは背面にも前面にも取り付け可能

巾着タイプのポーチにはドリンクを入れても良いですし、写真撮影中によく使う長めの交換レンズを入れておくのも便利だと思いました。ジッパー付きポーチには財布やスマホなどすぐ手に取りたいものを入れると便利。あるいは動画撮影メインの方なら、このポーチを肩にかけてカメラや電子ジンバルにモバイルバッテリーで給電する、というのも良いアイデアです。

クリップの着脱にはやや慣れが必要

さてこの便利でカッコいいモジュラーデザインのポーチ、YKK製の「アネックスクリップ」で着脱する仕組みです。下の写真の黒いプラスチックのクリップ(コネクターとも呼ぶ)がそれです。素早く簡単に着脱、というのが売りのシステムなのですが、個人的にはこのクリップが若干使いづらく感じたのが正直なところです。

WOTANCRAFT Pilot

ポーチはYKKのアネックスクリップで着脱

取り外す時は両側のツマミを押すだけで「パチリ!」と簡単に外れてくれるので何のストレスもないのですが、最初、装着する時は若干苦労しました。まずバッグとポーチに1個のクリップをわたすのですが、これが慣れるまで時間がかかりました。軍隊経験者やサバゲー愛好家の方なら簡単なのかもしれません。

WOTANCRAFT Pilot

クリップの着脱はやや慣れが必要

また下の写真のようにポーチ上部のタブが内側に折れ曲がっていると、クリップがきちんとハマってくれません。取り付け前にタブを上に向けておきましょう。筆者はこのアネックスクリップというものを初めて使ったので最初は戸惑いました。が、使い続けるうちに慣れてはきました。

WOTANCRAFT Pilot

ポーチ上部のタブが内側にあるとうまくはまらないので注意

ちなみにこのクリップの代わりに自前で用意したベルクロストラップ的なものを使っても問題ないので、どうしてもこれに慣れない人はこのコネクターにこだわらなくても良いかもしれません。このあたりはお好みでカスタマイズしても良いでしょう。

メイン荷室

メインの荷室は深さが十分あるので長いレンズも収納できます。目安としては標準ズームレンズ付きのミラーレス一眼(筆者は主にAPS-Cフォーマットのカメラで使用)に加え、種類にもよりますが交換レンズ1〜2本、という感じです。大きめのズームレンズ2本+パンケーキレンズ付きミラーレスなら余裕です。

WOTANCRAFT Pilot

メイン荷室。機動性はやや欠けるものの安心感はすごい

参考までに下はFUJIFILM X-S10(標準ズームのXF16-80mmF4 R OIS WR付き)、 XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II(望遠ズーム)、XF10-24mmF4 R OIS(広角ズーム)を収納した様子。これで無理はありません。フルサイズならレンズは1本減らし、ミラーレスなら1〜2本増やせる感じです。

WOTANCRAFT Pilot

標準ズーム付きのAPS-Cミラーレス、望遠ズームと広角ズームが入る

しかしこれはScramblerでも同じなのですが、開口部はブロンプトン純正バッグに慣れているとやや狭く感じられます。その原因は「両サイドの上までコーデュラ生地が来ていること」にありますが、これは浸水しないための設計であることが使っていてわかりました。

このため、あまり多くの機材を詰め込んでいると取り出しに若干苦労することになります。あまりギチギチに詰め込まないほうが快適に使えると思いました。バッグ内部のクッションが丈夫で振動吸収の面では絶大な安心感があるのですが、そのぶん内部は固めになっているのでゴツいレンズの付いたカメラをサッと取り出すのは得意ではありません。

カメラは精密機器のため、運搬時はなるべく衝撃や振動を避けたいところ。手ぶれ補正ユニットなどは特に繊細です(筆者故障を経験済み)。しかしブロンプトンに限らず小径車は振動吸収性が良くないため、WOTANCRAFTバッグの分厚いクッションへのこだわりは最適解であると感じました

個人的な印象ですが、ScramblerもPilotも使い方としては「バッグからすぐに機材を取り出して速写」というより、「まずブロンプトンで安全に機材を運ぶこと」が第一義で、撮影開始の時にゆっくり機材を出してカメラを首にかける、モジュラー式のポーチに交換レンズやフィルター類を入れてじっくり撮影を楽しむ、というような使い方が便利だ、と感じています。

ただ、これも私がいまメインで使用しているAPS-Cミラーレスと愛用のレンズがやや大きいせいもあると思います。例えば単焦点レンズ付きのマイクロフォーサーズをハンドストラップで運用する方なら、カメラが取り出しにくいと感じることは少ないでしょう。

その他の収納スペース

メイン荷室以外では、フロントにジッパー付きのポケット、内部に13インチノートPC用の仕切りがあり、左右にはポケットがあります。このポケットには500mlペットボトルが入るのでドリンクホルダーにしても良し、動画撮影で使う外部マイクやミニ三脚を入れても良し、と重宝します。

オプションのFidlockマグネットバックルがおすすめ

ところで私がWOTANCRAFTさんから受け取ったPilotのレビュー用サンプルのフラップには、下の写真のような「Fidlockマグネットバックル」が取り付けられていました。これは横にスライドさせるだけの簡単着脱システムで、かなり使い勝手が良いです!

WOTANCRAFT Pilot

オプションパーツのFidlockマグネットバックル。使い勝手がアップ

標準装備は下の鉄製S字フックで、これも勿論使ってみました。WOTANCRAFTのロゴもカッコ良く、これはこれでシンプルで味わい深い良いものです。しかし利便性の面ではFidlockのほうが上でした。

WOTANCRAFT Pilot

オリジナルの鉄製S字フックも味わい深い

ただこのFidlockマグネットバックル、ストラップへの装着と取り外しはやや手間がかかる構造なので、もしこれを希望される場合はショップであらかじめ交換作業を依頼したほうが良いかもしれません(※やってくれるかどうかはわかりません。私は自分でできるようになりましたが、コツを掴むのに時間がかかりました)。

WOTANCRAFTのバッグを扱っているLOROさんはこのオプションパーツもストックしているそうですよ。

ウソみたいだろ。三脚運べるんだぜ…

さらにこのバッグ、底面のストラップがまさかの三脚ホルダーとして機能します。これにはビックリ。より大型のバッグ「Scrambler」のレビュー記事でも触れましたが、シリアスな写真・映像愛好家にとってバッグに三脚を括り付けられるかどうかというのは非常に重要なことです。手ぶれ補正機構が発達している最新ミラーレスであっても、三脚がないと撮れない表現があったりします。

WOTANCRAFT Pilot

Scrambler同様、三脚を運搬可能

Pilotもこんなにコンパクトなバッグながら筆者愛用のトラベル三脚、Manfrotto Elementがちょうど良くフィットしたのには感動しました。日帰りのブロンプトン撮影旅行で三脚を持参する時、これまではリュックが必要不可欠だったのですが、これで問題解決しました。個人的にこれは非常にありがたいことです。

しかし注意点がひとつあり、三脚を括り付けると最近のブロンプトンの標準装備となっているCATEYE VOLT系のライトは干渉します。これで走れないこともないのですが、ハンドルを切る時に当たってしまうので三脚を運ぶ時はこの部分にライトは置かないようにしたほうが良いです。これはもうしょうがない。別途ハンドルバーに付けるタイプの小さいライトも用意しておきましょう。

WOTANCRAFT Pilot

三脚はライトと干渉するのでこの場合は外したほうが良いかも

勿論このスペースには、タイヤに接触しない限りウィンドブレーカーやレインカバーやネギやゴボウなどお好きなものを入れても良いでしょう。この「困ったら何でも運べる」ところにミリタリーの思想を感じます。

総評

WOTANCRAFT Pilotバッグを二ヶ月ほど使用してみた感想ですが、単刀直入に言いましょう。

このバッグ… 素晴らしく良い!

自腹で買うかと言ったら、間違いなく買います。このPilotとScrambler、両方使ってみて私はWOTANCRAFT製品のファンになりました。

モジュラーポーチのクリップの使いづらさや、個人的にはメイン荷室の開口部がもう少し広いほうが使いやすいな、といったネガはあります。

しかし最初はかなり戸惑ったクリップにも慣れましたし、開口部の狭さと固さは簡易防水性能とのトレードオフとして十分に納得できるものです。

そしてScrambler同様、質感が非常に高く、縫製もバッチリ。少なくとも私が受け取った個体にはほつれなどは全くありません。単体として使えるジッパーポーチも巾着ポーチも使っていて満足感があるというか、すごく良い気分になれるんですよ。

WOTANCRAFT Pilot

WOTANCRAFT Pilotの付属ポーチ

あとは価格です。より大型のScramblerは税込み¥55,000と、ガチで撮影行動をする習慣がない方は尻込みするかもしれない値段なのですが、このPilotは¥36,300なのです(本記事時点での価格)。Scramblerはやや高い感じもしますが、それはベルトにリアルレザーを使っているためでしょう。

WOTANCRAFT Scrambler

WOTANCRAFT Scramblerはベルトに本皮を採用

日常的な用途では十分な撥水性能を持ち、軽量で、ブロンプトンから離れる時にも使えるモジュラー式のショルダーポーチが2つ付属していて、しかもこの製造品質を考えると¥36,300というのは個人的にかなり満足感が高いです。

ブロンプトン純正のバッグにインナーソフトボックスを詰め込んで写真・映像撮影用に自分で改造しても、このクオリティに到達するのは難しいでしょう。

今回のレビュー案件については、わりと高額商品でもあるので、読者の方が購入時に誤った判断をしないように、製品の良いところも悪いところも公平に書かせていただきます、ということでお引き受けさせていただきました。

また、実際に使ってみて「これは読者の方におすすめできないそうにない」と感じたら記事化はなし、という前提でした。

その上であらためて忖度なしにこのWOTANCRAFT Pilotについて言わせていただくと、これはやはり良いものである、というのが私の率直な感想です。

ファイブスター・システムで評価するなら、個人的には5つ星…と行きたいところですが、アネックスクリップの使い勝手に戸惑う人は多いと思うので、そこを差し引いて4.5星、という感じです。しかしそれ以外の品質やコストパフォーマンスについては、個人的には5つ星です。

WOTANCRAFTのバッグは3年保証があるので、買った製品に何か問題があったら問い合わせると何か対応してくれると思います

どんな人におすすめ?

ちなみに大型バッグScramblerについては、別のレビュー記事でも書いたように、その製品が目指す方向性では非常に完成度の高いバッグだと思いました。

Wotancraft Scrambler

Wotancraft Scrambler

ただ、写真やカメラが好きである、と言っても、そこまでガチで楽しんでいるわけではない、いわゆる「ダブルズームキット」を持って気軽なブロンプトン・フォトポタを楽しんでいる… という方には、Scramblerはややオーバースペックかもしれません。

そんな方にはこのPilotはおすすめできます。泊りがけの旅行に行くのなら着替えは入らないと思いますが、日帰りならバッチリ。あとBrompmton Metro Backpack 14Lよりも小さいくらいなので、取り回しも良く、これを肩にかけて美術館や動物園、水族館を歩きまわっても他の人の邪魔になることなく軽快に移動できます。

つまり「よく写真を撮るためにカメラを持ち運ぶことが多いけれど、普段使いもできるような上質なブロンプトンバッグが欲しい」と考えている方にはかなりおすすめできます。

私の場合なら、必要な全ての機材を持って1〜2泊の撮影旅行に出かけるならScrambler。日帰り輪行で渋峠に、伊豆スカイラインに、鎌倉に、多摩湖に、霞ヶ浦に…ということならPilot。という使い分けになると思います。Pilotなら輪行時に電車で膝の上に乗せておいても邪魔にならない感じです。あと飲食店でも置き場所に困りません。

ScramblerとPilotのサイズ比較

最後にWOTANCRAFT PilotとScramblerのサイズを横並びで比較してみましょう。こちらはご参考まで。左がPilot、右がScramblerです。

WOTANCRAFT PilotとScrambler

PilotとScramblerのサイズ比較

筆者所有のブロンプトン純正バッグと比較すると、PilotはMetro Backpack 14Lより若干小さく、ScramblerはSバッグよりもひとまわり大きい感じです。

WOTANCRAFTのバッグとブロンプトン純正バッグの比較

左からPilot・Metro Backpack・S-Bag・Scrambler

WOTANCRAFTのブロンプトン専用バッグの入手先

WOTANCRAFTのブロンプトン用バッグ各種の入手方法ですが、日本では小径車で有名なLOROグループが代理店となっています。関東でブロンプトンを買うならLOROかグリーンサイクルステーションか和田サイクルくらいしかねぇだろ!というくらい有名なショップです(LOROは関西の京都にも直営店があります。私も買い物したことがあります!)。

LOROのオンラインショップで購入できるのは勿論、一部店舗でも取り扱いがあるようなので、可能であればPilotやScramblerの実物を触ってみて、品質に納得した上で検討されると良いと思います(たぶん納得しますw)。

SHOP Wotancraft Pilot【背面フレーム付き】 | loroshop
公式 PILOT – WOTANCRAFT

Pilotの価格は、先にも書きましたが¥36,300です(本記事時点・税込価格)。付属品はブロンプトン用キャリアフレーム、中仕切り3枚、ノートPC用の仕切り1枚、ジッパータイプのポーチと巾着タイプのポーチ2つ(いずれもストラップ付き)が付属します。

カラーはこの記事で紹介した「カーキブラウン」の他に「チャコールブラック」があります。

またScramblerもPilotも、立派なコットン収納袋が付属するので一定期間使わない場合はその中にしまっておけます(使っていないバッグにとってホコリは大敵なのでこれは重宝します)。あと対応するブロンプトンのモデルはPハンドル、Mハンドル、Sハンドルなのでほぼ全てのブロンプトン乗りの方が使用できるでしょう。

繰り返しになりますが、このPilotも別記事で紹介したScramblerも、「モノとしての質感」が半端ない感じです。また私はミリタリー分野には詳しくないのですが、好きなところに好きなものを自由に配置する、というモジュラーデザインはWOTANCRAFTならではの大きい魅力だと思いました。

もし読者のあなたがブロンプトン乗りで、かつ写真や動画の撮影を趣味にしている場合は、これらのバッグを是非検討してみてはどうでしょうか。

▼ WOTANCRAFT Scramblerのレビューはこちらです

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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