スマートトレーナーで知られる米SARIS社が会社を売却することになったそうです。Bicycle Retailerが報じています。
出典 Saris Cycling Group, a victim of the ‘Covid whiplash,’ restructures for sale
以下、記事のおおまかな内容です。
- インドアトレーナーや自転車インフラ製品、バイクラック等を製造するSaris Cycling Group(創業45年)は、ウィスコンシン州のチャプター128(自発的な債務整理プログラム)の下で会社を再建しようとしている
- Saris創業者のChris Fortuneによれば、同社は「コロナむち打ち(Covid whiplash)」の餌食となった。今年の春、市場が干上がった際に在庫、特にトレーナー製品の在庫が過剰になったのだ。WahooやZwift、Pelotonを含むインドア・エクササイズの他の企業も市場の減退に伴い、財政的な問題を報告していた
- 「フィットネス・アクティブスポーツ産業における多くのビジネス同様、SarisもCovid-19パンデミック下では自社製品に対する信じられないほどの需要があり、販売数は劇的に増加しました。サプライチェーンの極端な停滞を前にし、この新しい需要に応えるべく、弊社は在庫を積極的に持つようにしましたが、パンデミックの減退に伴い販売量の急激な減少に見舞われただけでした」
- 「私達は主にトレーニング製品の領域で、1年前のほぼ4倍の在庫を抱えています。2020年と2021年のビジネスは好調でしたが、その後あらゆる場所のあらゆるチャネルで、国内でも海外でもインドアトレーニング製品の在庫がだぶつきました」
- Fortune氏によると同社のインフラ及びバイクラック事業は好調だという
- 「我々はツインエンジンの飛行機のようなものなので、エンジンが1つ死ぬと… 会社として全て一体化しており、トレーナービジネス部門を分離できないのです」と同氏は語った
- 同社は短期的には通常業務を行い、同氏は解雇も発生しないことを期待している。現在は128名の社員がいる
- 会社の売却プロセスは既に開始しており、約60日以内に完了することが期待されている
ここでちょっと寄り道して、ツール・ド・フランス2022に参加している全22チームが使用しているスマートトレーナーのメーカー内訳を見てみましょう(出典:DC Rainmaker)。
- Elite: 11チーム
- Tacx: 7チーム
- Wahoo: 4チーム
Eliteの存在感が大きいですね。また、SARISの姿はやはりありません。SARISはもともとツール参加チームのスポンサード経験は多くなかったようですが、過去にはTrek-Segafredoにスマートトレーナーを供給していたのは記憶に新しいところです。
グランツール出場チームのスポンサー経験があるSARISが倒産の危機に直面し、会社売却が決定したのは結構心配なニュースですね。SARISは製品群やブランドは維持したい考えのようですが、売却先の会社は選べないそうです。一部ではTrekが買収するのではないか、という希望的観測が聞かれます(そうなってくれれば一件落着という感じはしますが…)。
製品が悪かったわけでも、売れ行きが不調だったわけでもなく、市場の急激な変化で在庫がだぶついてしまったことが原因とのことですが(半導体などの発注量も見誤ったのでしょうか)、SARIS製品は日本でもユーザーが少なくないと思うので良い感じに着地してくれると良いですね。