よみものブレーキ

自転車ツーリングでは油圧とメカニカルどちらのディスクブレーキが理想?(正解なし考察)

キャンプもする自転車ツーリング・バイクパッキングでは油圧ディスクブレーキとメカニカルディスクブレーキのどちらが理想的なのだろうか、ということについてのミニ考察です。個人的な結論としては「どちらということはないだろうな」なのですが、たびたび考えることがある話です。

TRP SPYRE SLC

性能 vs. 整備性

私の場合ですが、最近旅用自転車では長らくメカニカルディスクブレーキを使っています。メカニカルでもアウターケーブルを丁寧にセットアップして、ニッセンケーブルのような良質な製品を使うとかなり満足度の高い結果を得られています。

NISSEN CABLE CO.,LTD(ニッセンケーブルカブシキガイシャ) ブレーキ用 ステンレス アウターケーブル

しかし「油圧に戻そうかな」と思う時もあります。それは荷物が15kgを超えてくるような時で、そこに長い下り坂なども加わるとさすがにレバーを引く手が疲れてきます。油圧のほうがメカニカルよりも少ない力で同じ制動力を得られ続けるのは間違いなし。

グラベル

なぜ最近メカニカルばかり使ってきたかというと、旅先でのエア噛みが心配だったからです。きっちりブリードしてあって安定した使用実績のあるブレーキなら心配ないとはいえ、自転車旅行にブリードキットはさすがに持っていかないので万一エア噛みしてブレーキがあまり効かない、となると、対処が難しい(キットがあれば非常時にベビーオイルで対応できるとは聞きます)。

そしてエア噛みは「ある日突然」起こるのも(私の場合ですが)ちょっと厄介。予兆がありません(いきなり完全にスカスカになることは少ないと思いますけれども)。

ブリードキット

だいぶ前に「海外のバイクパッカーはどちらを使っている人が多いんだろう」と思い、海外掲示板を調べてみたことがあります。すると回答の多い複数のスレッドがヒットしました。やはり多くの人が一度は考えてみたことのある話のようです。

その中で興味深かった投稿は、油圧ディスクブレーキ付きの新車を買ってすぐに自転車旅行(数週間か数ヶ月レベルだったように思います)に出かけたところ、どうもブレーキの効きが悪くなってきた。途中、自転車ショップを探してリブリードしてもらった。ホースも交換してもらった。しかしエア噛みが再発する。結局、その人の場合はブレーキ本体が初期不良品だったようです。

その人は自転車を横倒しにするとエア噛みが発生することが多かったと言っていたように思います。自転車ツーリングやキャンプだと、スタンドのない自転車であれば幕営地に横倒しにして置かざるをえないことは、たまにありますね。

その方は自転車を横にすると問題が起こることに気付いたので、ペグ4本とガイライン2本(=テントやタープの固定に使う用品)を使い、夜は自転車が倒れないよう立たせておいたらしい。なるほど、ハンドルとサドルあたりにロープをかければうまく直立させたまま停車させられそうです(予備のペグを4本持っているのもすごいですけれども。私は2本くらいしか持っていかない)。

最初に書きましたように、どちらがベターか、理想的か、答えはなさそうです。荷物が多い人、体重がある人、長い下りのある峠が複数コースに含まれているなら、油圧ディスクブレーキのほうが快適なのは間違いないですね。特に大柄な方であれば選択の余地がないこともあるように思います。油圧にはパッドが減っていっても自動でセンタリングされる長所もありますね。

旅行用自転車をメンテナンスするたびに「油圧に換えるか」とふと思いながらも「……うん、今日はいいか」とやめてしまうのでした。

使い慣れている油圧システムで、たまに数時間横にしておいたり、ひっくり返したりしていても全然問題ない、ということであれば、心配不要なのでしょうけれども。ブレーキに限らず、おろしたての新品を旅行に持っていくのはやめたほうが良いですね。もし失敗談などありましたらTwitterなどでご共有いただけると幸いです。

TRP HY/RD Caliper Flat Mount
ティーアールピー(Trp)
著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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