ウェア関連製品レビュー

Morethanの冬用サイクルウェア。10℃帯対応と0℃帯対応って、そんなに違うの?【5,198円 vs 7,598円】

耳を塞いでも
両脚をすり抜ける激坂に惑うよ
重い体のどこに力を入れて
登ればいい?

この星の無数の塵のひとつ、nadokazuです。

というわけで、本日の駄文はこちら!

冬用サイクルウェア。10℃帯対応と0℃帯対応って、そんなに違うの?【5,198円 vs 7,598円】

冬こそ、サイクリングシーズン!と断言できる5つの理由。

「暑い」と「寒い」しか制御しない令和ちゃん(5歳児)の気候切り替えスイッチが唐突に切り替わって、極寒の季節に突入してしまいました。ついに到来した、本格的な冬。自転車的にはオフシーズンという認識が支配的ですが、実はサイクリングを楽しむための好条件が揃い踏みなのです。

敢えて言おう!「冬こそサイクリングシーズンである」と!
(地域差があることからは、意図的に目を逸らしています)

(1)晴れる。

冬は、雨に降られる確率が低いです。Google検索して出てきた東京都の平均的な天気だと、12月と1月は降雨日数が3日。雨に降られる確率は、9月(降雨日数12日)の実に4分の1に留まります。

せっかく長野に行ったのに、嶺方峠で雨に降られて絶景台無し!といった悲劇も起こりません。

嶺方峠

(2)景色がいい。

冬は空気が澄んでいて、遠くまで見渡せます。横浜からだって、富士山がバッチリクッキリ。冬の朝焼けは超フォトジェニックで、ウデがなくてもそれなりに見映えのする写真になってくれます。

西伊豆スカイラインの富士山ビューポイントに行けば、見られる景色は普段以上にパワーアップした絶景です。

西伊豆スカイラインの富士山ビューポイント

(3)熱中症のリスクが無い。

夏から秋にかけては、黒球式熱中症指数計のアラートにビクつきながら走っていました。けれど、冬の今は最高気温ですら10℃以下。この環境下では、熱中症になる方が難しいでしょう。

熱中症指数計!これ、夏ライドの新たな必需品では?【無自覚発症こわい】
男が目を覚ましたとき、 そこは下りと平坦の異世界であった。 中年・nadokazuとして転生した男は考える。 この世界ならば、自分も本気で走ることができるかもしれない……と。 というわけで、本日の駄文はこちら! ...

(4)蚊がいない。

冬は、蚊がいません。屋外でも安心して休憩できます。人類を最も殺害している生物であるところの憎き虫ケラ共には、このまま絶滅してほしいところです。

(5)ラーメンが美味しくなる。

寒空の下で走って、冷え切った身体。そこに流し込まれる、熱々のラーメン。その美味しさと言ったら!!

もはや、言葉は不要でしょう。

熱々のラーメン

というわけで、実は「冬こそサイクリングのシーズン」だったりするのです。

だがしかし!

ひとつだけ、冬サイクリングには致命的なデメリットがあります。それは「むっちゃ寒い」ということ。

行き先の完璧な下調べを済ませ、自転車をしっかり整備して、機材をバッチリ整える。時間と手間をかけて、出かける準備万端!という状態であっても、寒さの前に人類はあまりにも無力。サイクリングに出かけるどころか、布団の中から出る意志すらも失われます。

やっぱり、冬はZWIFTしましょう。家の中最っ高ーー!!

“ZWIFT” の検索結果 | CBN Blog
自転車レビューサイトCBNが運営する自転車情報・セール情報を発信するブログです

冬用ジャージは、コスパに難がある。

冬サイクリングの最大の障壁である「寒さ」に対抗できる唯一の手段が、冬用ジャージの着用です。各社が技術の粋を集めて製造した冬用ジャージは、まさに人類の叡智の集大成だと言えるでしょう。

ただ、冬用ジャージには2つの弱点があります。

ひとつは、「冬しか使えない」ということ。1年を通して、使える期間は1シーズンだけに限られます。極寒の季節はサイクリングに出かける回数も激減するので、もしかすると冬用ジャージの登場機会って年数回に留まってしまうのでは?

そしてもうひとつ。「高額」という事実が、追い打ちをかけてきます。たとえばASSOSの「EQUIPE RS WNTR JACKET S9 TARGA」の価格は公式サイトによると、実に税込9万9000円です。

1年に数回しか着ないジャージに、ほぼ10万円の出費!ありえます? これだけの札束があれば、DAHON K3が買えちゃいますよ!? わたくしASSOSレーパン3着をはじめインナーやソックスも複数保有するASSOS信者ですが、さすがに「ないわー…」と感じてしまいます。
※超高額ジャージを例示して我田引水を図るな、というツッコミ不可。

あったかジャージで、快適に冬サイクリングしたい!
でもでも、さすがに10万近い出費は無理ゲー。

というわけで、冬用ジャージは「割高な買い物になってしまう」ことが避けられません。

Morethanをポチってみた。

サイクルボールとJapan peaksを制覇したので、最近は「いばらき漫遊ライド」で遊んでいます。

このイベント、茨城県内を巡る4つのコースが設定されているのですが「完走すると記念のピンバッジがもらえる」というだけでなく、「全4コースを制覇すると、制覇記念のピンバッジも追加でもらえる(しかも「全街道コンプリートBOX」という化粧箱入りで!)」という大盤振る舞いっぷり。

たった4回走るだけで、この豪華プレゼントがタダ貰いできる!というわけで、美味しい思いをするべく水戸エリアに通いまくり中です。

なんですが!

特に12月後半に入ってからの気温の低下っぷりが本当にえげつない。Epic Ride Weatherによると、今週末の体感気温はいよいよ氷点下!

そんな中を手持ちの秋冬用のジャージ(10℃帯対応)で走ったら、生命維持にまで影響が出るかもしれない…。ということで、0℃帯対応ジャージが「どうしても必要」になりました。

とはいえ、税込9万9000円の出費は物理的に不可能。「秋冬ジャージで氷点下を走って、自転車ごと氷漬けになる運命なのかよ…」と、絶望に打ちひしがれていたところで目に飛び込んだのはマスターさんのこの記事でした。

Morethanの防寒冬用メンズサイクルジャケットを試す:品質性能ともに合格でコスパ良し
着々と存在感を増している中華ウェアブランド・Morethan(モーゼン)の低価格冬用サイクルジャケット「WVP-008」を試しているので、初期使用感を書いてみます。メーカー的には0℃帯対応を謳っているモデルですが、果たして厳冬期でも使えるの...

ほほう…! 0℃帯対応とな? これは体感温度氷点下の環境で、とても強力な武器になってくれそうです。しかも、お値段はASSOSの10分の1以下じゃないですか!

うっ…! 頭が…!!

「10℃帯対応」「0℃帯対応」って、そんなに違うの?

Amazonの画面を開いて気を失ったら、なぜか家にMorethanの0℃帯対応ジャージ「WVP-008」が届けられました。週末は、このウェアで寒さと戦うことが決定。

ただ、ひとつだけ引っかかるのが「本当にWVP-008を買う意味があったのか」という点。

「貴様、また無駄な買い物をしたな?」
「“そんなことを買ったあとに言われても”
何だ?言ってみろ」
「なにがまずい?言ってみろ」

嫁様のとてもとても厳しい追求から逃れるためには、この買い物の正当性は是が非でも証明されなければなりません。

「10℃帯対応」「0℃帯対応」は、ここまで違った!

比較対象になるのは、同じくMorethanのWVP-003という秋冬用(10℃帯対応)のウェアです。執筆時点での販売価格は、WVP-008(7,598円)の7割程度である5,198円。

以前タイツとセットで9,800円のところ50%オフという訳のわからない価格で販売されていたので、思わずポチッて普段使いしていました。

Morethan WVP-008とWVP-003

で、そのWVP-003(右)と今回買ったWVP-008(左)を見比べてみると、特に違いを感じるのは裏地です。10℃帯対応のWVP-003は速乾性が重視されてるっぽい、薄くて伸縮性のある布。

WVP-003

対して0℃帯対応のWVP-008は、保温性の高そうな起毛素材になっています。触ってみても、生地が明らかに分厚いのが素人でも判別可能なレベルです。

WVP-008

またWVP-008は「3D立体縫製」を謳っているだけあって、あちこちに切り替え部分が配されています。ジャージの前面は防風性と保温性、背面には透湿性を持った生地。そして首元と手首には伸縮性と速乾性が高そうな生地と、部位ごとに最適な機能性を持った生地を割と複雑に組み合わせた構造です。

WVP-008

実際に着用してみると、乗車姿勢をとったときに伸縮する部分(肘や胸元、背中など)に、丁度切り替え部分が配置されている印象。おそらく曲げ伸ばしの阻害を減らして、着心地に貢献させる意図なのでしょう。

WVP-008

ファスナーは上下が開くダブルタイプになっていて、暑くなってきたときに外気をウェア内に取り入れやすくなっています。そのうえ引き手がバタついて首や顎に接触しないよう、小さな布でカバーする芸の細かさ。

ファスナーの裏側にはフラップが縫い付けられていて、防風/保温効果を高めています。

WVP-008

いずれにしても、生地も作りも(当たり前ですが)10℃帯対応と0℃帯対応では全然違います。裏地がちょっと厚いぐらいの差でしょ~?とか思っていた素人の想像は、完全に覆されました。

約1.5倍の価格差は、伊達じゃない!

体感気温はマイナス5℃!極寒のいばらきに行ってみた。

仕事に忙殺された平日を終え、ようやく迎えた土曜日。JR水戸駅近くにある、コインパーキングにやってきました。時刻は、朝の7時過ぎです。

林檎時計で気温を見てみると、マイナス2℃の表示。その下には小さな文字で、「体感気温マイナス5℃」という目を疑う数値が記されています。ここ、本当に人類の居住圏ですか??

でもまぁ0℃帯対応を謳うジャージの実力を試すには、むしろ好条件!
それでは、見せてもらおうか。価格差1.5倍の実力とやらを!

WVP-003

まずは10℃帯対応のWVP-003を着用して、クルマから外に出てみました。

外気に触れた次の瞬間、頭から爪先まで全身のありとあらゆる部位から瞬く間に体温が奪われていきます。服を着ていようが、着ていまいが一切関係なし。ところ構わず冷気が直撃してくるので、自分がいま服を着てるのかすら疑いたくなります。寒いを通り越して、もはや痛い!!

「あばばばば!!無理無理無理無理!!」

全身から断末魔の叫びが響き渡ります。

「撤退ー!撤退だー!!」

外に出て数秒で、車内に引き返すハメになりました。この寒さは、あまりにもヤバい。ヤバすぎる…!

WVP-008

ガチガチと歯を鳴らしながら0℃帯対応のWVP-008に着替えて、再び車内から外へ。

こ、これは…!!

当たり前ですが、明らかな差を感じます。裏地として配された、起毛素材の威力なのでしょう。何というか、冷気の角が取れて丸くなる感じです。寒さの突き刺さり方が、ニブチン野郎の自分にすら判別可能なレベルで弱まっています。

いやー、違うもんだなぁ…。

とはいえ、感覚としては北極レベルの激辛ラーメンにバターをチョイ乗せした程度。若干マイルドにはなりますが、それだけ。味は完全に激辛のままで、1ミリも変わっていません。そりゃそうですよね。バターひとかけごときで、激辛をピリ辛にできるはずないんです。

「あばばばば!!無理無理無理無理!!」

断末魔の悲鳴とともに、またもや車内へ即時撤退するハメになりました。

川すら凍らせる大自然の恐るべき破壊力の前では、人間はあまりにも無力。とてもじゃないですが、自転車で走り出そうとは思えません。

「自然は人間を殴る。ヘタをすると、死ぬまで殴ろうとする。」

糸井重里さんの書いた、セイコー フィールドマスターの広告コピーを思い出さずにはいられませんでした。

結局そのまま1時間以上を車内で過ごして、気温が少し上がってからようやく出発。それでも寒さは激烈で、身体が温まるまではWVP-008の上にmont-bellの中綿入りサイクルジャケット「サーマライドジャケット」を羽織ってようやく耐えられるレベルでした。

横浜とはあまりにも違う、茨城の極寒。ここ本当に同じ日本?実は異世界なんじゃね?

冬の茨城の寒さは、もはや自転車服で対処できるレベルを超えています。顧客が本当に必要だったものは、冬用ジャージじゃなくて冬山登山の装備なのかもしれません。

ひと桁気温の、鶴見川CRに行ってみた。

そもそも、このウェアの対応気温は「0℃帯」。それなのに氷点下の環境で着用してあーだこーだ言うのは、いくらなんでも条件設定がヒドすぎます。

そこで場所を水戸から横浜に移して、ホームコースの鶴見川CRを走ってみました。表示されている気温は、だいたい6℃。

この条件下で10℃帯対応のWVP-003と取っ替え引っ替えしてみると、氷点下では微差しか感じなかったWVP-008との性能/機能差が大きく際立ちます。

たとえば普段なら身体の温まっていない走り始めはウインドブレーカーを着用したいところですが、WVP-008だとそれを強く感じません。走行風で冷気を浴びても、特に肩と腕が冷えにくい印象。ジャージの厚みの恩恵が、すぐさま受けられました。

また襟元と袖の先に配されている黒い生地は、伸縮性が高いうえ肌触りが柔らかくて快適。速乾性にも、期待ができそうです。

WVP-008

勝手知ったる道を全開走行(巡航速度12km/h・出力32W)していると、だんだん身体が温まってきました。じんわり汗が出てきて、ウェアの内部に籠もる湿気が気になり始めます。走り始めは有り難かった保温力の高さが、走り続けていると裏目に出てくる。自転車服って、難儀ですよねぇ…。

開発/設計ご担当の方のご苦心に勝手な思いを馳せながら、ダブルになっているファスナーの下部を開きました。すると腰部背面にベンチレーションがイイ感じで効いてくれて、籠もった熱と湿気がドバッと抜けていくのを感じます。

WVP-008

普通のシングルファスナーで腰の背面を一気に換気しようとすると、ファスナーを全開にして裾をバタつかせることになって非常に不快。それをしなくてもいいダブルファスナー、ここは大いに気に入りました。

いつものようにダラダラと30kmほどを走行しましたが、普通に快適です。1万円しない冬用ウェアで、この快適さと機能性。Morethanの0℃帯対応ジャージWVP-008、普通にコスパ優秀すぎません?

まとめ

国内ブランドのジャージとは価格帯が違うので細かく比較はしませんが、並べてみて見劣りする要素がありません。縫い目のピッチも細かくて、国産のジャージを見慣れていても縫製に不満を感じる方は少ないでしょう。

WVP-008

つまるところ、価格の割に仕上がりが抜群。近所のサイクリングロードをダラ走りするなど、低負荷走行で普段使いするには十分以上のクオリティです。極寒の季節を凌ぐのに、一着持っていて損はない!と思わせる実力を、間違い無く有しています。

WVP-008

Morethanの0℃帯対応ジャージ、WVP-008。衝動的にポチってしまいましたが、これは決して無駄遣いではありません。むしろイイ買い物をした自分を、自分で褒めてあげたいぐらいですね!!(ドヤ顔)

ところでポチったときは7,598円だったのが、さっきAmazonを見てみたらタイムセールで20%オフの6,078円になってるんですが! 差額の1,500円があれば、SisCaが1,800個手に入ったのに! どうして…どうして…。

著者
などかず

美味しくご飯を食べることをモチベーションにペダルを回し、機材の性能に頼り切って「頑張らないことを頑張る」物欲系へっぽこ自転車乗り。リアルで自転車に乗れない週末にはZWIFTで合計100km以上のバーチャルライドを欠かさないものの、脚力や走行スキルについての言及は意図的に避けている模様。愛車はLOOK675、ブロンプトンCHPT3 V2、タイレルFX(これだけとは言ってない)。

などかずをフォローする
CBN Blog
タイトルとURLをコピーしました