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シマノがApple式の販売形態を取る日がやがて来る? 海外で直販サイトを充実させる動き

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規模の大小を問わず「自社サイトでも直接ユーザーに販売する」自転車メーカー、パーツメーカーが増えてきています。下の記事「2022年以降のロードバイク・スポーツバイクのトレンド予測 未来はどうなる!?」の最後でも触れましたが、自転車にまつわる商品の販売形態が変わりつつあるのは間違いないでしょう。

2022年以降のロードバイク・スポーツバイクのトレンド予測 未来はどうなる!?
過去数年、当ブログでは自転車パーツに関する最新情報をピックアップしてお届けしています。それらを振り返りながら、ロードバイクをはじめとするスポーツバイク関連パーツの今後数年の進化をまとめて予想してみたいと思います。1〜2年で大きい変化はないと...

シマノは北米で既に「インドアサイクリングシューズ」の直販を始めていますが、オーストラリアでも直販サイトを開設したようです。こうした動きは何を意味しているのか。Cyclingtipsがシマノ・オーストラリアのブランドマネージャーへのインタビューを交えつつ紹介しています。

出典 SHIMANO EXPANDS CONSUMER-DIRECT OPTIONS, BUT NOT FOR COMPONENTS

オンラインでの存在感を高めることが目的。パーツは販売しない

© https://shimanoindoor.com/

以下は記事の大まかな概要です。

  • 産業に関わらず、伝統的な販売チャネルに変化が生じているのは間違いない
  • かつてはマイナーだったブランドも今ではかつてないほどエンドユーザーにリーチできるようになっており、昨今の世界情勢はそうした変化を加速させている
  • 自転車業界における販売チャネルについて言えば、シマノは長らくより伝統的な立場を取っていた。これまではほとんどの場合、同社の顧客は(代理店網などを通じた)自転車ショップだったが、いくつかの製品についてはそれが変わりつつある
  • 近年シマノ・ノースアメリカ(合衆国とカナダ)は、ダイレクト・トゥ・コンシューマー(あるいはビジネス・トゥ・コンシューマー)販売のeコマース・ウェブサイトのポートフォリオ(=商品ラインナップのこと)を堅実に充実させており、エンドユーザーへの直接的な広告や販売を狙っている。シマノ・ノースアメリカは完全子会社のLazerやPearl Izumi専用のサイトを持っており、シマノのインドアサイクリング向けシューズやペダル専用のeコマースサイトもある
  • 今週シマノ・オーストラリアがこの動きに追従し、インドアサイクリング用グッズ専門のe-コマースサイトを開設した。オーストラリアでは同社初のダイレクト・トゥ・コンシューマー販売チャネルとなる
  • 「これは小売のオムニチャネル化のアプローチであり、既存の小売店を置き換えることは全く意図していません」とシマノ・オーストラリアのサイクリングブランドマネージャー、Toby Shingleton氏は語る
  • 「シマノブランドをオンライン上で強化するために役立つのです。ソフトグッズがオンラインで強い存在感を持つようになれば、小売店でも存在感が強くなるのです。この結果、北米でのブランドは大規模に強化されただけでなく、小売店で売れなかった製品のクリアランス用チャネルにもなるのです」
  • こうしたオムニチャネル・アプローチはファッション、アウトドアやメインストリームのスポーツグッズブランドでは既に当たり前のものになっており、そうしたブランドは商品の全てを展示することができ、メッセージをコントロールし、価格期待値も設定できる。一方、個々の小売業者は最も人気の商品をセレクトするのが普通だ
  • シマノにとってもこうした動きには意味がある。同社はインドアサイクリング用シューズでは間違いなくマーケットリーダーだが、シューズ全製品と全てのサイズをストックしようとする小売店は少ないだろう
  • 「私達の目標は(消費者が製品を)知るためのインドサイクリング・グッズのサイトを運営することです」とShingleton氏は言う。「また弊社の主要な顧客からは切り離されています。スピンバイク用シューズを探している人は自転車ショップには行きません」
  • 少なくとも北米とオーストラリアでは、シマノのダイレクト・トゥ・コンシューマー事業はソフトにフォーカスしており、自転車パーツ以外の全てを大まかにカバーしているものとなっている
  • 「ハード(自転車パーツ)については弊社は推奨小売価格を設定していませんが、ソフトグッズには設定しています。オンラインでは推奨小売価格でやっていく予定です」と同氏は語る
  • 最大の疑問は、シマノがこれらの活動によって、自社の全製品をユーザーに直接販売する方法を学ぼうとしているのかどうか、ということだ。しかし同氏はこれを即座に否定した。「シマノのハードグッズをコンシューマーダイレクト販売する意図はありません。私達にはそういう選択肢はありません」

シマノがApple式の販売形態を取る日はやって来るか?

シマノ・オーストラリアのサイクリングブランドマネージャー氏によれば、コンポーネントの販売などは考えてはおらず、近年世界的に需要が増加しているスピンバイク・インドアサイクリング向けのシューズやグッズの販売にフォーカスしていくとのことですが、元記事のコメント欄には次のような投稿があり、興味深く思いました。

アップルは12年かけて世界中の代理店と再販業者、小売業者を一掃し、全てのビジネスを自社で行うようになった。辛抱強くそれをやり続けて、最後はうまく行った

アップルの例えはわかりやすいですね。確かにMacを買う人は、アップルのウェブサイトで直接買うか、アップルストアで買う人が多いでしょう。そこには全ての製品が揃っていて、直営店では様々なモデルを試すことができます(ヨドバシやビッグカメラといった大規模家電店には「ミニ・アップルストア」が残されてはいますが)。

ナイキやアディダス、モンベルといった他のスポーツ・アウトドアグッズのお店も同じ感じですね。またスペシャライズドが小売店の数を減らしているのも同じ流れの話と言えると思います。

いずれシマノのウェブサイトから直接デュラエースやアルテグラや105を買えるようになり、銀座や新宿や心斎橋などに「シマノショップ」が出来て全商品を陳列する、という未来がやって来てもおかしくない気がします。2年3年でそれが起こるとは思いませんが、5年後や10年後はひょっとして、という感じです。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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