GPS・サイコン製品レビュー

CYCPLUS M2という「まるくて大きいGPSサイコン」に一目惚れしたものの初デートから気まずい雰囲気に…

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昨年末にCYCPLUS M2という中華GPSサイコンをAmazonで見かけ、見た目に惚れて衝動買いしました(2021年8月販売開始の新製品)。しかし使用初日からどうも様子がおかしい。その後何度使っても何かおかしい… のですが、まずはご紹介から行きましょう!

CYCPLUS M2

唯一無二…ではないが圧倒的な存在感

とにかく外観に惚れたのでした。まるいサイコン。CATEYEにも「QUICK」というまるいサイコンが存在し(非GPSで筆者も所有)、他にも「OMATA One」という伝説的な「アナログメーターのGPSサイコン」もあるにはあるのですが、現在も容易に入手できるGPSサイコンで丸形というのは珍しいのです。この圧倒的なガジェット感をご覧下さい。おじさんなのに中二病が発動しました。

CYCPLUS M2

▼ CATEYE QUICK。非GPSながら無線センサーでスマートなサイコン

CYCPLUS M2は、筆者が愛用している「Route Werks」のフロントバッグによく似合うと思ったのです。天板にBarflyのGarminマウントが埋め込まれているので、ここにポンと置いたら気持ち良いんじゃないか、と(CYCPLUS M2はGarminマウント)。果たして、見た目自体は思惑通りで気に入りました。

CYCPLUS M2

表示画面は「現在の状態」に関するものが3つ、さらに「平均」と「最大」の5画面が用意されており、本体右・上側のボタンでトグルします。大きい考え方としてはXOSS G系と同じ。データフィールドのカスタマイズ機能がない点も同じ。センサーとしてはスピード・ケイデンスの他、パワーメーターともANT+で通信できます。

CYCPLUS M2

画面下に小さい時計表示があるのは良し。気温計は、全く当てになりません(これはXOSSも同じ)。海抜標高もかなりいい加減です。しかしその辺りの精度には全く期待しておらず、その日の走行ルートとまずまず正確な走行距離、あと活動時間が判れば良いと思っていました。

液晶の品質もまずまずで、視認性は特に素晴らしくもなければ悪くもありません(視認性はXOSSのほうが良く、次いでCOOSPO、僅差でCYCPLUSが3位という印象)。手動でバックライトを点灯させられるのは良いところ(タイムゾーン設定が間違っていなければ18時〜9時までは自動で点灯します。手動でOFFにもできます)。夜間表示はきれいです。

CYCPLUS M2

サイズですが、実は見た目から受ける印象ほど巨大ではなく、直径はXOSS G+より若干短いくらいです。本体の厚みもXOSS G+とほとんど一緒。とはいえデータ表示面積は勿論CYCPLUS M2のほうが遥かに大きいです。見た目はやはり面白い。

CYCPLUS M2

操作面では、私個人の感覚ではボタンが結構使いづらい。配置が微妙です。自然に指をかけた時のことを考えると10時・11時・13時・14時あたりの位置にボタンが並んでいたほうが使いやすいと思いました。さらにこのボタンが固めで、操作時はややストレスを感じます(電源ON自体は長押しではなく単押しなので簡単ではある)。

CYCPLUS M2

思わぬ問題が発生

ライド後のデータ転送には、何故かXOSSのアプリを使います。XOSS Appの通信画面には接続可能機種としてCYCPLUS M1及びM2もリストされています(その下にはCOOSPO BC102/ BC200も)。ひょっとしてXOSSの別ブランド? とも思ったのですが、調べてみてもそういう感じはしないので、アプリを使わせてもらうライセンス契約などを結んでいるのでしょうか。

XOSS App

CYCPLUS M2の本体設定は、XOSSアプリで行うことはできません。また、本体で設定できる項目も、ANT+センサーとのペアリング・スピードセンサーを使用する場合のタイヤ周長入力・タイムゾーン設定・速度と気温の単位変更・リセットのみです。他に設定できる項目はありません。サウンドはなし。XOSSアプリではファームウェアの更新を行うことはできます。

さて、どうも何かおかしい、と感じたのはレインボーブリッジ(東京)での「自転車押し歩き初デート」中のこと。ここは上が高速道路を走っていて電波状況が悪く、かつ歩きで低速のため、衛星の捕捉具合やデータの補正能力を知るのに便利な場所なのです。

レインボーブリッジ

電波状況が悪いレインボーブリッジで試してみる

レインボーブリッジは自転車の「走行」が禁止なので、リアホイールに専用台車を装着し押し歩きする必要があります

初日はXOSS G+とLEZYNE SUPER GPSも携帯してデータを比較したのですが、GPSの軌跡自体が大きく狂っている感じはありません。下でXOSS G+が暴れている箇所は「芝浦アンカレッジ」という橋へのアクセス施設で筆者がトイレに寄ったり飲料を買っていた時。つまり完全停車時。

CYCPLUS M2とXOSS G+のGPSデータ比較

これだけ見ると「へー、XOSS G+より優秀じゃない?」と思ってしまいそうですが、実はそうではありません。XOSS G+が暴れているのは、ロストした衛星を再捕捉しようとしているから。つまり稼働しているからです(この暴れ方もどうかとは思いますが、LEZYNEも同じようなもの)。

CYCPLUS M2は、橋を歩いている時に速度も経過時間も走行距離も、表示がすべて停まっていました。XOSSとLEZYNEは、途切れることはあるものの、何とか移動を検知しています。CYCPLUS M2は一時停止状態に入ったようです(スリープとは別で、画面は表示状態。信号なしの場合10分でスリープになる仕様)。

なら一時停止させなければ良いじゃないか、となるわけですが、その解除設定は存在しません。

電波状況が理想的でない街中以外に、開けた河川敷沿いのサイクリングロードでも何度か使ってみましたが、経過時間と走行距離がだいぶ短く出ます。私がこの製品に期待している数値としては、1〜2km、10分程度の誤差なら許容できるのですが、概ね30%ほど少なく出るのです。

しかもその誤差が一様でなく、電波状況が良好に思える場所でのみ使用しても、実際の走行距離・経過時間よりかなり少なく出ます。60km走っても40km程度しか記録されない、という具合です。帰宅後にXOSSアプリ経由でStravaにアップロードしたデータを見ると、走行ルート自体は大体取れている。しかし何故か距離も時間も少ない。

今日大体何km走ったか・外での活動時間が大体どれくらいだったか、が判れば良いとは言え、その「大体」が他のGPSサイコンやスマホのGPSアプリと比べてもかなり少なく出るのです。バッテリー節約のためなのか、衛星との通信に問題があるのかは不明ですが、そういう結果になります。ルート自体はトレースできているので、バッテリーマネジメントが原因かなという気はします。

ファームウェア更新を待ちたい

ほとんど見た目が全てで買ったものとは言え、このデータ誤差は個人的には大きすぎて、私の使い方には合わないなぁ、というのが感想です。XOSSもCOOSPOもGPSデータ自体はどんぐりの背比べ状態なので、CYCPLUSも同じような水準に違いない、と思い込んでいたら意外な結果になりました(ちなみにCYCPLUS M1ではこのレベルの誤差は報告されていません)。

CYCPLUS M2

ファームウェアのアップデートで自動一時停止のON/OFFが出来たら改善されるような気もしますが(本記事時点ではver.1.23が最新)、今のところ継続使用は難しいです。それとも筆者購入個体の問題なのか。このデータ上の問題と、ボタンの押しにくさ、スマホでの詳細設定ができない点も考慮すると、星3つは厳しいものがあります。

備考として、前傾姿勢で乗るバイクではステムやハンドルバーへの設置では見づらいので、アウトフロントマウントを使ったほうが良いです。あるいは私のようにフロントバッグの上に設置できれば見栄えも良く、視認性も良いです。ユニークな外観のサイコンなので、基本機能の改善を待ちたいところです。

著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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