今月になってからStravaの更新料が値上がりした・値上がりする模様だ、と海外で話題です(紹介記事)。批判は当然ありますが、Stravaに限らず他の様々なサブスクサービス(海外でのAmazon PrimeやNetflix、国内では最近DAZNの値上げも話題でした)も同様に値上げが見られるので、仕方ない、いつまでも文句を言うのはやめよう、という擁護派ユーザーも多数います。
しかし値上げの是非とは別の話として、値上げ率がユーザーや居住地によって一様ではなく、透明性がない点をDC Raimaker氏がテキスト記事とYouTube動画で深堀りしています。
出典 Strava Raises Prices But Can’t Tell You How Much It Costs Anymore | DC Rainmaker
固定料金表は存在しない?
以下は同氏のブログ記事からの抜粋・抄訳です。
- Stravaの価格は、ある人にとっては一晩で2倍になる。ある人にとってはほとんど変わらない。またある人はその中間になる。何によって決まるのか? 理論的にはあなたが住んでいる国、あなたがサインアップした時期、契約が年間か月間か、サブスク更新日から見て今日が何日なのかで決まる
- だが驚いたことにStravaはあなたが支払うことになる金額を明かすことを拒否している
- その前にStravaが過去10年間に1度も値上げしていないことには触れておくべきだろう
- Stravaの更新料が高くなりはじめたのは1〜2ヶ月前、UKのアカウントのみで見られたと思われる。その他の国では見られなかった。また値上げ率は年間契約・月間契約にかかわらず、人によって変わっていた
- UKの場合、(Strava本拠地の)米国のインフレ率が過去12ヶ月で6〜8%で、GBP(イギリスポンド)がUSD(米ドル)に対して14%下落していたことは無視できないだろう
- さて、つい先日だがRedditにて、年間契約が59ドルから99ドルに上がったという人、あるいは79ドルに上がったという人が現れるようになった。月額は5.99ドルから11.99ドルへと、倍に上がった(人もいた)
- 何が問題か? めちゃくちゃランダムなのだ。ある人はメールで来たる値上げの通知を受け取ったが、ある人にはメール通知はなく、アカウント上でより高い更新料が表示されていた。さらに私や妻のように、値上げが表示されていない人もいる(私はメールも受け取っていない)
- Stravaはサポート記事を発表した。それによると、Stravaは2023年2月2日から、特定地域において、2022年11月23日以前にサブスクを購入した既存会員に対して新料金を適用する。新料金は更新日の30日前に通知され、1日前にキャンセルしない限り自動的に新料金で更新される。アカウントページ上の新しい更新料金は、2023年2月2日まで反映されない可能性がある。2022年11月23日以降にサブスクを購入した人の場合、料金は変わらない
- 自分のアカウントの国・住所を変更する場所は見つからない(※元記事著者と妻はオランダ在住だが、米国のクレジットカードで課金しており、複雑なことになっている。著者のアカウントはUSで、妻のそれはオランダと判別されている)
- Stravaの広報にシンプルな料金表(USD/EUR/GBP)を問い合わせてみたところ、値上げは会員向け機能が増えたことと、各国の市場の変化を反映させたものであり、価格調整は地域や好まれているプラットフォームによって変わる、という返事は得たものの、料金体系は教えてもらえなかった
- VPNを使って各国の新料金を調べてみたところ、先に紹介した99ドルというのはカナダの価格だった。米国は79ドル。しかし月額は11.99ドルなので2倍ではある。妻の月額契約は、27日後に7.99ユーロで更新されることになっているが、本来は10.99ユーロ(オランダ)になるはずだ。請求の根拠となっている国情報を知る術はStrava上にはない。加入時にいた国(コンピューターがどこにあったか等)で決まるように見える。あるいは全然違う理由かもしれない
- Stravaは今回の値上げについて気付かれないことを望んでいるように見える
- Stravaは数年前にCEOを創設者の1人と入れ替えた時、無料アカウントから機能を削った。しかし長期的には、唯一の収入源として有料会員にフォーカスした。Stravaは大まかに言って、ちゃんとそれをやった。勿論、Stravaが取り組まなかったこと、修正しなかったこと、これは絶対変えるべきだろうというおかしなことはたくさんある。しかし現実的に言って、会社は全員の要求に応えることはできない。全体的には多くの新機能を追加するなど、Stravaは良い仕事をしてきた
- しかし過去数年間でStravaが築き上げてきた善意は、エンドーユーザーに対するコミュニケーションの不在によって瞬く間に失われつつある。多くの消費者のように、私は物分りの良い人間であり、値上げが必要であることはよく理解しているつもりだ。しかし値上げの内容と理由は説明してほしい。67%の値上げはどう説明できるのかわからない。消費者から価格を隠すことが良い商慣行であるとは私には思えない
DC Rainmaker氏は何度かStravaにメールしたところ、最終的には「プレスリリースが全てで、お話できることはもうありません」というそっけない返事で終わったそうです。値上げ自体は致し方ないとしても、コミュニケーションにはかなり不満を持っているように見えます。
価格変動制か、それとも価格調査中か
このテーマを扱った同氏のYouTube動画のコメント欄では、視聴者から次のような興味深い意見が見られます。
- Stravaは紙の雑誌の定期購読やケーブルテレビのように、ロイヤルユーザーには多目に課金し、新規ユーザーは大幅割引、というふうに、人によって価格を変動させたいのではないか。そのため料金表が存在しないのではないか
- 適正価格を調査中なのではないか。様々な地域で様々な価格を表示し、キャンセル発生率(市場が受け入れられる上限価格)を調べようとしているのではないか。これを2ヶ月ほどやって最終的な価格を決めるのではないか
しかし価格のA/Bテストはより小規模に行われることが多く、そういう目的だとしたらかなりリスキーなことをやっているという意見もあります。
やはりStravaは今後決まった料金ではなく、更新1ヶ月前までは次はいくらになるのかわからないという「ガチャ」モデルになるのでしょうか。もし価格変動制になるとしたら、こうしたサブスクサービスとしては珍しいケースになるのかもしれないですね。