映画「天気の子」と東京の交通社会

映画「天気の子」を観ました。か、感動した… 泣いちまったぜ… さてこの映画、東京に住むサイクリストとして思うところがあったので、それについて書いてみます。

なお本記事はネタバレを含みます。もう観た方、あるいは観る予定のない方のみ続きをお読みください。

岩淵水門らしきものが登場

東京〜埼玉エリアで有名な「荒川緊急河川敷道路」(通称「荒川サイクリングロード」)をよく走る方は「岩淵水門」を御存知でしょう。JR赤羽駅から数km、地下鉄「赤羽岩淵」駅のすぐ近くにあります。

たまに一緒に走るサイクリストの友達と一緒に観たのですが、観終わったあとに飲みながら「あれ岩淵じゃなかった?」という話で盛り上がりました。岩淵水門らしきものが映画中に登場していたのです。下の写真がその岩淵水門。この向こう側は東京湾方面。

岩淵水門

こちらは埼玉方面です。

荒川緊急河川敷道路(荒川サイクリングロード)

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「天気の子」では、東京がずっと雨続きで晴れの日が滅多にない、という設定になっています。やがて水かさが増えた荒川で水門が壊れ、赤羽あたりから都内に向かって浸水していく様子がテレビニュースの中で報じられます。

東京中を自転車で走り回っている私達にとって、それはかなりリアリティのある設定でした。台風や大雨が続いた時の「荒ぶる川・荒川」の様子もよく知っていますし、堤防が決壊してしまった時に水没すると言われている東京東部エリアもよく走っているので、水害が続けばいつか本当にこういうことが起こってもおかしくないんだな、と思いました。

そして映画中ではある事件の3年後、東京のかなりの部分が水没してしまいます。浅いところでも足首まで水に浸かり、ワゴン車の下半分が見えなくなっているのは当たり前の世界。レインボーブリッジも橋上の高速道路が見えなくなるほど水に浸かっていて、衝撃を受けました。

レインボーブリッジ

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その東京では電車もまともに動いていないらしく、通勤や通学の公共交通機関として船が利用されているのが印象的でした。芝浦エリアには現在、実際に舟運に力を入れていく計画があり、将来的には東京湾で電車に代わる交通手段として船が使われる日が来るかもしれません。

レインボーブリッジ

「天気の子」の主人公の1人、森嶋帆高は伊豆諸島の神津島から東海汽船の「さるびあ丸」に乗って東京にやって来ます。1度目は普通にやってきますが、2度目はレインボーブリッジの「上」を通ってやってきていたように覚えています。

東海汽船や「さるびあ丸」は大島に自転車で遊びに行ったことのある人には馴染み深いでしょう。

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東京中を自転車で走り回っている人であれば、他にも池袋裏手のワイズロードがありそうな方面とか、田端の坂道などは「ああ、あの場所知ってる!」という場面が多かったと思います。新宿のNTTビルや代々木の廃ビルのあるエリアも見覚えのある方は多いでしょう。

勿論「天気の子」はこうした細部を知らなくとも楽しめる映画だとは思いますが、東京23区や荒川をよく走っている方は映画内の描写に強い説得力を感じたのではないでしょうか。

最近、壊滅的な大地震後の世界でスポーツ自転車をどのように活用できるかという記事で災害のことを考えていたせいもあり、なおさら衝撃を受けた映画でした(「天気の子」における東京は、しまいにはハブまで水に浸かってしまうような道が多く、もう自転車は乗れないような感じでした)。

「天気の子」は「君の名は。」に物語構造が驚くほど良く似ていて、どちらもある超自然的な現象(天変地異)をきっかけに神道的な神話世界と現代の現実世界を往復する少年少女の純愛が描かれていますが、「天気の子」では「東京の交通社会」の描写にかなり力が入れられていて(ただし自転車はほとんど登場せず)、自転車乗りとしてはそこがまた面白かったです。

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