バッグ製品レビュー

ORTLIEB アクセサリーパックを単体ハンドルバーバッグとして使ってみた感想

オルトリーブのアクセサリーパック(ORTLIEB Accessory-Pack 品番F9952)には2つの使い方があります。1つは同社のHandlebar-Packの4つのフックに引っ掛け、アドオン的に使う方法。もう1つは単体でハンドルバーバッグとして使用する方法です。

この記事では、単体ハンドルバーバッグとして筆者が実際に使ってみた感想を共有したいと思います。どんな長所と短所があり、どんな人になら向いているでしょうか。見ていきましょう。

柔軟性が長所にも短所にもなる

ざっくりしたスペック紹介を交えつつ使用感をお伝えします。容量は3.5L、カタログ重量204gの長方形シェイプのバッグです。完全防水、ロールトップ、固定は金属製フック1個。生地は薄めで、同社の「サドルバッグ2」や「フォークパック」と全く同じ素材・模様に見えます(厚みも違わない感じがする)。全体的に安っぽさはなく、品質・質感は良いと思います。

ORTLIEB アクセサリーパック

ハンドルには、幅広でかなり強力なベルクロ2本で固定します。固定力は十分で、脱落の不安などは全くありません。ヘッドチューブ付近で固定するストラップとウレタン製のスペーサー(緩衝材)が付属し、このストラップも丈夫な素材で使いやすく、固定効果は良好です。着脱は、比較的簡単で早い部類に入ると言って良いと思います。

ORTLIEB アクセサリーパック

背面の両サイドに縦に見えているストラップは縫い付けられているもので、上下をHandlebar-Packと連結させたり、センターのループには付属の細いウエストベルトを通せるようになっています。貴重品を入れている場合や輪行時など、このバッグを外し、腰に巻いて歩けたりするわけです(そのあたりの運用性が良さそうに思えたので購入したのでした)。

ORTLIEB アクセサリーパック

中にどれだけのモノが入るかですが、これは伝え方がちょっと難しい。500mlのペットボトルは、横にすると4本は余裕で入り、入口を2回巻けます。5本入れると、入口は巻けず、バックルも届きません。そういうサイズ感です。

しかし生地がペラペラ系でコシがなく(皆無でもない。オルトリーブ・サドルバッグのあの厚み感)、補強材なども入っていないため(ただの袋)、角張ったものをポンポン放り込むような使い方をすると型崩れします。

例えば財布・スマホ・ロック・ライト・日焼け止め・補給食等々を「無造作に」そのまま放り込んだ場合、使えないこともないのですが、見た目はグシャッとする感じです(気にしなければもちろん使える)。100均で買えるようなもので良いので、弾力性のある小さいインナーポーチ3個くらいに収納物を分けるとスマートに運用できるように思います。

生地にコシがない点は、逆に言えば柔軟性があるということであり、衣類のようなものなら結構詰められます。下はレインウェアや着替えのインナーやハンドタオルなどを詰め込んだ時のシェイプです。衣類との相性がやはりいちばん良いですね。基本的に雨具やウィンドブレーカーなどを畳んで入れて、隙間に日焼け止めや財布等を突っ込んでおく、という運用が良さそうです。

ORTLIEB アクセサリーパック

固定用のバックルとベルトは、使い勝手が良いです。長さ調整が非常にしやすく、動きがスムーズ。とはいえそもそもロールトップであり、頻繁にモノを取り出すのにはあまり向いていません。たまに日焼け止めを取ったり、大休止の時に開くのは面倒ではないのですが、コンデジやスマホをこまめに取り出したい場合などは、手間に感じることもあるかもしれません。

ORTLIEB アクセサリーパック

パンク修理キットを入れておくのもありですね。これも何らかのウェアと一緒に入れておくと形状維持に便利。サドルバッグ同様、通常はあまり使わないものを入れておく用途に向いているかなという印象です。他のものが汚れないよう工夫できるなら、輪行用品を入れるのも良さそうです。

ORTLIEB アクセサリーパック

A地点からB地点にカメラを運びたい、というような場合は、悪くはないと思います。インナーバッグを併用するとうまく行きます。標準ズームレンズ付きのミラーレスを入れたら、それでいっぱいという感じにはなるのですが、完全防水なのでデジタル機器をまとめて運搬するのにも良いでしょう(カメラの予備バッテリー・モバイルバッテリー・スマホ等を小分けにして収納する)。

使う人と使い方を選ぶ

このアクセサリーパックは使う人と使い方をかなり選ぶ印象です。運用を工夫してうまくハマった場合は便利、となるかもしれませんが、小物を適当に放り込んでおいて頻繁に取り出す、という使い方には、あまり向いていないかもしれません(しかし工夫次第かと思います。バッグインバッグで快適にできそうな気はしています)。

しかし、非常に良いところもあります。バイクにもよると思いますが、バッグとハンドルの間に隙間ができるのと、形状の不安定さが幸いしてか、上ハンを握った時に指を突っ込みやすいのです。ドラム式のフロントバッグ等ではクッションスペーサー等を使って工夫する必要がありますが、この製品は初期状態でもポジションが減らないのが良い。ここはかなり気に入っています。快適。

ORTLIEB アクセサリーパック

ハンドルから外すのがわりと簡単なのも良いところ。輪行時に外したサイコンやライト、ボトルを入れたり、電車の中で使いたいもの(おやつ・スマホ・文庫本など)をまとめて持っていきたい時などは便利でした(下の記事で紹介したフォークパックをそういう用途に使っても良いけれども。ハンドバッグ的に持てますから)。

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それでもこのアクセサリーパックは、やはり清潔な着替えや、風雨ではじめて取り出すようなウェア類を入れておくのが最も一般的な活用法かなという気がします。それをベースに応用を考えていくのが良さそうです。

inバーをさっと取って食べたい、小銭を取りたい、鍵を取りたい、財布を取りたい、カメラを出したり入れたり…というような用途では、例えば下の記事で紹介したADEPTのバードラム DLXのような製品のほうがずっと便利です。ただ、こちらは着脱がやや手間なので、付けっぱなしのほうが良いですね。

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ORTLIEBのこのアクセサリーパックは、実勢価格が8,000円前後。同社製品としては特に高くも安くもない感じですが、ADEPTのバードラムは半額近くと考えるとやはりコスパが良いな、と思ったりもしました。どちらも状況に合わせて使っていくことになりそうです。

追記

(2022年9月6日追記)この製品についてはフォローアップ記事があります。インナーボックスを活用すると使い勝手が格段に向上するという内容です。下のリンクからお読みいただければ幸いです。

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著者
マスター

2007年開設の自転車レビューサイトCBNのウェブマスターとして累計22,000件のユーザー投稿に目を通す。CBN Blogの企画立案・編集・校正を担当するかたわら日々のニュース・製品レビュー・エディトリアル記事を執筆。シングルスピード・グラベルロード・ブロンプトン・エアロロード・クロモリロードに乗る雑食系自転車乗り。

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