TOWILD(トゥワイルド)CL1200というライトのハンズオンレビュー記事です。このTOWILDというライトブランドは、海外掲示板でポジティブな評価をたびたび目にしていたため気になっていたのでした。最近このCL1200のスペックを眺めていたところ、自分の需要(後に詳述)に合っているように見えたので購入してみました。本記事では簡単な使用感をご紹介いたします。
なお本製品はワイヤレスリモコンあり・なしの2パターンで販売されています。筆者はリモコンありを選択してみました。Amazon(日本)での取り扱い開始日は2022/1/16で、国内流通後まだ1年も経過していない製品と思われます。
基本仕様と外観
はじめにペーパースペックを確認していきましょう。最大輝度1200ルーメンのハイパワーライトで、放電容量は4000mAh。さらにこのライト、モバイルバッテリーとしても使えるのが長所。これ1本で自転車ライトとしては勿論、緊急時のスマホ充電器として、自転車キャンツー時のテント内ライト・ヘッデン代わりとしても活用できないか… という期待を持って入手したのでした。
比較対象があるとわかりやすいので、誰もが認める自転車ライトの名品・みんな大好きCATEYE VOLT800との違いを下の表にしてまとめてみました。
TOWILD CL1200 | CATEYE VOLT800 | |
実測重量 | 179g | 136g |
寸法(長さ・幅・高さ) | 108 x 31 x 31 mm | 116 x 31.2 x 43.2 mm |
放電容量 | 4000mA | 3400mAh |
防水性能 | IPX6 | IPX4 |
最高輝度 | 1200lm | 800lm |
端子 | USB-C | Micro USB |
実勢価格 | ¥5,900-7,400(リモコン付き) | ¥12,700 |
バッテリー容量が大きいこともあってか、CL1200の重量はVOLT800より実測で43g重い。しかし寸法的にはVOLT800とほぼ互角と言って良い大きさ。防水性能はCL1200のほうが上、そして実勢価格はVOLT800の約半額程度であることが多い。数字だけ見ると相当魅力的なスペックです。しかし実際の使用感はどうなのか…
その前にハードウェアまわりを軽く確認しましょう。マウントはGarmin互換です。そしてこのマウント、2mmのヘックスレンチ(付属)で上下の入れ替えが可能。筆者の個体は購入時、ハンドルから吊り下げて使うことを前提とした位置にマウントが来ていました。今回はテストとしてハンドル上に設置するので、マウント位置を上下逆に入れ替えました。それが写真下の姿。
ライト本体に防眩用の庇があり、レンズにも上下があるのです。マウントの上下を変更できるのは良いアイデアだと思います。工具が必要なので出先で瞬時に変更できるわけではないのですが、これはありがたいですよね(Olightだとこれができない)。
CATEYE VOLT800とあらためて「大きさ感」を比べてみましょう。質量はCL1200のほうが大きい印象を受けます(実際に重く、ずっしり感があります)。ビルドクオリティはしっかりしています。
VOLT800のほうが少し全長が長いです。CL1200のデザインは、製品写真を眺めていた時はボクシーでつまらない(ダサくて野暮ったい)と感じたのですが、実物は思ったよりも洗練されていて好感を持ちました(Amazonの写真と少し違う)。美しさはあまりないですが、ダサダサでもなし。
レンズを前から見たところ。CL1200はLUMINUS SST40 LEDというものを採用しているそうです。サイドはVOLT800よりも配光面積が大きいです。
操作性について
次に操作性について見ていきましょう。このライトは点灯3モード、点滅2モードがあり、さらに振動を検知して自動でON/OFFする「スマートモード」があります。電源OFFの状態で電源ボタンを3秒長押しすると、手動モードとスマートモードを切り替えられます。点灯モードの切り替えは、ボタン短押しでトグル。メモリ機能はあります。
手動モードの時は電源ボタンがグリーンに点灯します。スマートモードの時はブルーになります。それ自体は親切なのですが、ライト本体のボタンは、少なくとも冬本番の今、グローブをした指ではクリック感に乏しい。反応が悪いわけではないのですが、個人的にはもう少しボタンの存在感が欲しかったところ(※素手なら気になりません)。
そしてリモコンですが、これはちょっと微妙かなと思いました。使いこなすには慣れが必要。これはライト本体がハンドルから離れている時は確実に便利なのですが、なぜかリモコンで電源ONができないのは短所。ライト本体を手動でONにしない限り、このリモコンは使えません。しかしライトの電源をOFFにはできる。ONにはできない。これが不便。
Amazonレビューを読むと他の方も同じことを言われているので、こういう仕様のようです。電力マネジメントが理由でこのような仕様になっているのかもしれませんが、少しもったいない感じです。
なお輝度をMAXにできるボタンはあり、それはやはり便利。しかしドロップハンドルの場合、ハンドルバーにライトを設置するならこのリモコンは不要かなとも思います。
フォークエンドやフォーク上部(ヘッドチューブ下端あたり)にライト本体を設置する場合は、このリモコンがあったほうが良いかもしれませんが、そうでなければライト本体のみのバージョンでも良いかもしれません(すると1400円くらい安くなります)。
配光特性をVOLT800と比較してみよう
次に配光特性を見ていきましょう。ベンチマークとしてCATEYE VOLT800と比較してみます。ハンドルバー上部の左右にそれぞれのライトを設置。本体が水平状態での照射状態を写真に収めてみることにしました(※水平照射は超強力で幻惑効果が高いため、実際の使用時はご注意下さい。あくまでテスト環境です)。
まずは漆黒の路面から。TOWILD CL1200とCATEYE VOLT800のHigh/Mid/Lowモードは輝度(ルーメン値)が違うので、それをご考慮の上観察していただければと思います。左列がCL1200、右列がVOLT800。モード・ルーメン・公称ランタイムを併記しました。カメラの露出設定はマニュアルで同じ値に固定してあります(筆者の肉眼での印象に近付けてあります)。
CL1200のほうがモード毎の輝度が高いため、全体的に明るい印象を受けるのは当然なのですが、狭い角度の面積にリソースを投入してくるVOLT800と違い、CL1200はだいぶ広角寄りの配光になっているのがわかります。それでいて「遠くまで照射する能力」はVOLT800と「同じ」とまでは行かないまでも、かなり「肉薄している」と言って良いように私は感じました。
上の写真で、CL1200の600lmとVOLT800の800lm、CL1200の300lmとVOLT800の400lmを比べてみましょう。かなり面白い勝負ではないでしょうか。照射距離ではVOLT800がわずかに上。しかし左右の照射能力はCL1200が上。そしてランタイムもCL1200が(結構なレベルで)上です。
今度はクジラの絵がペイントされた白い路面を見てみます。こちらのほうがわかりやすいと思います。これも露出設定は同じ。
VOLT800のLowは8時間も使えて便利なのですが、ちょっと物足りない、もうちょっとだけ明るかったらなぁ…と思われている方も多いはず。CL1200のLowは6.5時間ですが、こちらのほうが個人的には使いやすく感じます(直線上の照射距離はほぼ変わらないもののサイドがより明るい)。
あとCL1200のMidとVOLT800のHighを比較しても、どれくらい遠くまで見えるかについては「とても大きい違い」はないものの、CL1200の広角配光はやはりかなり効いているように私には見えます。皆さんはどう思われたでしょうか。
総合評価(暫定)
さてこのTOWILD CL1200、筆者も使い始めてまだまもなく、耐久性の面や長時間使用時の動作など、まだ検証することがいくつかあります。しかしファースト・インプレッションををまとめてみると…
- ライト本体のボタンやリモコンなど、操作性の面ではいまひとつという感じはある(手動モード・スマートモードの切り替えがわかりにくい等。筆者は手動モードしか使わないと思うので困らないが、操作に困惑する人はいると思う。UIに慣れが必要)
- 配光特性は、素晴らしい、というか、個人的にはものすごく好みである(※筆者の最近のライドスタイルを基準とした主観)
- これですぐに壊れないならコストパフォーマンスは異様に高い
という感じです。また、筆者の目当てであったモバイルバッテリー機能も正常動作を確認しています。USB Type-Aコネクタのオスメス変換アダプタが同梱されており、それを失くさずに携帯する必要はありますが、4000mAhのバッテリーであれば1泊2日程度の自転車キャンツーならこのライト一本で済むので助かります。重さも私にとってはこれが上限かな、という感じです。
Low点灯で6.5時間なので、もし片道1時間以下の通勤通学ライドで使うなら充電は週に1回という感じでしょうか。そしてよほどの状況でない限り300ルーメンのLowでも十分な視認性が確保できる(と私は思う)ので、このライトがツボる方は結構いるのではないか、と思いました。私自身は、VOLT800の後釜に据えるとしたらこれかなと思いはじめています。
配光特性については、米国Amazonの批判的レビューを読むと「拡がりすぎではないか、もっと遠くまで照らしてほしい」という意見もあります。使う方の速度域やライド環境によって感想は変わってくると思います。一般的に夜の山道だとワイド配光のほうが便利なことが多いと思います。都市部をハイスピードで走る人ほど狭角で照射距離が長いものを好みます。
米国Amazonでは今年の4月6日から発売されており、現時点での総合評価は5点満点中4.6(グローバル評価数310)。ハードウェア的に壊れた、というレビューはまだないように見えます(Amazon日本でも故障・不良品報告は本記事時点では見当たらず。ただし吊り下げていたらマウントがもげた、という報告が1件あります)。
私は今回、冒頭で書いたように「1泊2日の自転車旅行で緊急時のモバイルバッテリーにもなる高性能ライト」という視点でCL1200を選びました(ランタイムと照射性能、重量のバランスが良さそうなものを吟味していった結果これになりました)。
TOWILDからは他にも2000ルーメン・1000ルーメン・800ルーメン・600ルーメン等々、様々なタイプの自転車ライトが出ているので、興味を持たれた方はチェックしてみて下さい(TOWILD自転車ライト一覧)。
皆様が新しいライトを検討される時に、この記事が何らかのお役に立てれば幸いです。