TRPのHY/RDという油圧・メカニカルハイブリッドブレーキは大変便利な製品なのですが、キャリパー側の調整代が少ないので、組み合わせるブレーキレバーによっては引き代が大きすぎる、という問題が発生することがあります。
しかしこの問題を解決する裏技があるので紹介します。
溝を切ってボルトの反対側にワイヤーを通す
というわけでこれがその動画です。確か、これはTwitterで教えていただいたものだと思います(情報ありがとうございます)。原理的には単純で、インナーケーブルをクランプする位置をボルトの外側から内側に変えることでキャリパーの引き量を調整するというもの。また、そのためにノコギリでワイヤーをのせる部分に溝を作る作業が紹介されています。
紹介しているのはTRPのメカニック?
こういう作業を紹介すると必ず「あーあブレーキなんか改造して…」とか「メーカー非推奨のことを…」という人が出てくるのですが、まぁまぁ、ちょっと面白い話題があります。
上の動画と下の動画のサムネイルを見ると、使われているバイクが同じであることがわかると思います。さらに2つの動画の声は、同一人物によるものであるのは間違いないでしょう。そして上の動画は「Bike Mods」というアカウント名で投稿されていますが、下の動画はTRPの公式アカウントです。
これはつまり、
TRPの中の人が謎アカウントでこっそりとHY/RDの改造Tipsを紹介している
ということになります。
何故こんなことになっているかというと、TRPとしても自社製品のワイヤークランプ台座に「ハックソーで切り込みを入れると行けますよ」とは大っぴらに言えるわけがないですよね。その結果作業が失敗してしまったら、ユーザーから苦情が来るに決まっています。
しかしシマノの旧型STIやカンパニョーロのエルゴパワー、SRAMレバーでも引き代が大きすぎる、という不満の声があるのでやむなく「中の人が謎アカウントでこっそりと対策を伝授」したのではないかと思います。
とはいえ上の改造案内動画は2015年の投稿。もう2019年なので、ショートプルにも対応したワイヤー溝をあらかじめ反対側に切ったHY/RDになってくれていたらユーザーは助かりますよね。
ちなみに溝を切らずにワイヤーを反対側に通している人もいます(これはTRP関係者ではなく一般の方)。
これも溝がないときっちりワイヤーをクランプできないかもしれないですし、ワイヤーも無駄に潰れてしまいそうなので、私はやりませんが、実際にどのくらいレバーの引き量が変わるかどうかのチェックはできると思います。
TEKTRO/TRPのブレーキレバーなら改造しなくても大丈夫
ところで私はHY/RDをTEKTRO FL750やTRP RRL SRというレバーとの組み合わせで使っていますが、この記事で紹介した改造を施さなくてもギリギリ使えています。ギリギリというか、不満のないレベルの引き代で使えています。
しかし、ワイヤーの初期伸びを出し切った後にキャリパーの調整バレルを限界までゆるめる必要があり、かなり追い詰めたセッティングが求められます。もうちょっとだけ余裕があるとありがたいですね。そこ以外は何の不満もない、良いブレーキでとても気に入っています。
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