ミラノ・サンレモ2022を制したマテイ・モホリッチ。彼の今回の勝利はハードウェアよりも戦略によるところが大きいと言われてはいますが、やはり下りでのドロッパーポストの活用が大きい話題になりました。しかし英Road.ccによるモホリッチへのインタビューで、彼のMerida Sculturaには他にも細かい変更点が加えられていたことが明らかになったそうです。
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フロント180mmローターと磁気ラチェットハブ?
以下、面白そうな部分をピックアップしてみました。
- 私達は様々な種類と長さのドロッパーポストを試しました。120mmからはじめたのですが… ギャップが大きすぎました
- それでより小さい60mmを試すことにしたところ、完璧でした
- バイクをコントロールするために重心を下げるのに役立ちました、それでいて座っていられます
- モホリッチはドロッパーポストがなかったら、クラッシュしかけた2回のうち1回は間違いなくクラッシュに繋がっただろうと考えている
- モホリッチのMerida Sculturaには他にも細かい変更が加えられていた。ブレーキングパワーを増すためにフロントには180mmの、リアには160mmのローターが装着されていた
- さらに驚きなのはVision Metronホイールに「スペシャルな」ベアリングが使われていたことだ。モホリッチによると「ベアリングからの抵抗がゼロになるように思える」とのことだ
- これは秘密だと思うんだけど… 開発中のもので、市販が検討されている製品だと思う
- 特別なセラミックベアリングで、ハブへのインストールの仕組みが普通と違う。日本で「宙に浮く電車」が使っているものに近いものだ
- モホリッチが説明しているものはマグネティック・ドライブ・ハブ、日本の「宙に浮く電車」とは磁気浮上式鉄道の仕組みのように聞こえる(実際は英国で最初に開発されたものだが)
- ハブに磁力を内蔵するアイデアは新しいものではなく、DT Swissが特許を持っているし、オレゴンのProject 321が既に磁気ラチェット・メカニズムを持つハブを発表している(コースティング中の抵抗が少なくなる)
- だがホモリッチが言っているものが類似のものだとしても、プロのロードバイクで使われたのは初めてかもしれない
ロードバイクで180mm/160mmローターというのは驚きですね。ReactoではなくSculturaを選んだのはこの理由もあったらしいですが(フォークが180mmに対応)、MTBかよ!と思わせるサイズ。
Vision Metronホイールで使われたという「スペシャルな」ベアリングというのも興味深いですね。ベアリングというよりラチェットがスペシャルなのかもしれませんが、road.ccの記事にあるように、コースティング中(フリーホイーリング中)に抵抗が最小となる磁気ラチェット・システムは、ネオジム磁石を使用したStan’sのM-pluseハブでも採用されています(Project 321のシステムを採用)。
果たしてそれのことなのか。いや、これから市販を検討しているとのことなので、DT Swissによるプロトタイプの可能性が高そうですね。
ドロッパーポスト・大径ローター・磁力誘引式ラチェット。この3つに共通するものは「ダウンヒルのための機材の最適化」と言えそうですね。