当ブログ読者の方が「ふしぎな国道」(佐藤健太郎著・講談社現代新書)という本を時々Amazonで買われているので、私も気になって読んでみました。これが滅法おもしろい良書。単なる国道トリビアの寄せ集めではなく(そういうチャプターも用意されており、それはそれで楽しめる)、国道への深すぎる愛からつい発生してしまった探究と考察の書、という趣があります。
読みやすく格調高い文章で、語られている(時に)どうでも良いような内容とのギャップがユーモラス。図版も充実しており、学べるエンターテイメントという感じです。
サイクリストが読んでもおもしろいはず
著者はおもに自動車で国道めぐりをされているようですが(国道以外に都道府県道や旧道の話題もある)、サイクリストの私達が読んでも当然興味深い内容ばかりで、むしろサイクリストとの親和性のほうが高い国道もあったりします。国道339号(階段国道)や308号(暗峠)などは代表例でしょう。
私自身は、これまで道路の成り立ちや各種標識に注目する習慣がなく、知らないままに放置してきたことがたくさんあります。例えば同じ名前の通りに、異なる複数の番号が振られているのは何故なのか。逆三角形と六角形の標識は何が違うのか。
上の写真では、赤と緑と黄色が使われているけれども、それは何故なのか。こうしたことを知らずに生きてきたのですが、本書を読んで理解しました。こういう細かい豆知識を吸収できるだけでも楽しいのですが、読み込んでいくうちに、近代日本における道路開発の歴史や、地理上の特性・問題が浮かび上がってきて、個人的にはそれが特に面白い。
この本を読んだ後は、いつものサイクリングで道路標識をより意識するようになるでしょうし、地理や地形や行政や歴史にも敏感になるような気がします。興味を持たれた方は是非どうぞ。