日本では「ビンディング」と呼ばれることが多いSPD/SPD-SL系のペダル(クリートとペダルを「バインド」する)は、英語では「クリップレス(=クリップなし)・ペダル」と呼ばれており、ビンディングは「クリップする」ようなペダルなのになぜ「クリップレス」と呼ぶんだ、という議論をたびたび見かけます。私も自転車をはじめた頃、この用語に混乱させられました。
海外掲示板で昨日も同じような投稿があり、500近いコメントが寄せられ話題になっているので紹介します。
出典 My most hated thing: “clipless”
特殊なのは英語だけ?
以下、スレ主さんの投稿です。
俺は「クリップレス」がいちばん嫌いです
このペダルが嫌いって意味じゃありません!俺はクリップド・インして乗るのが好きです。クリートが特別なペダルにクリップして入っていくのに、サイクリング業界はむかし爪先のケージを「トー・クリップ」と呼んでいたからこれを「クリップレス」と呼ぶことに決めてしまいました。これがどれほど馬鹿げたことか。俺はクリップペダルにクリップ・インして乗る。「クリップした」音さえする。「クリップレス」という用語は本当にひどいから終わるべきです。これは俺だけの意見だとは思いません。俺たちは「クリップレス」は使ってません。
▼ かつてストラップと組み合わせて使用されたトー・クリップ。日本語では「トー(Toe, =爪先)」が「トゥ」と訛り「トゥ・クリップ」という呼称が慣用されています。SPDが登場した時この「クリップ」の部分が消えたので「クリップレス」という呼称が定着した、とされます。
以下、寄せられたコメントからいくつかピックアップ。
- ケージフリー(Cagefree, =ケージ・籠なし)ならどうか
- (上の人に)Crankbrothers Eggbeaterを「ケージフリー」と呼ぶ人が出てきたらそれについても苦情が出てくるね。だってどう見てもケージだもの。好きなペダルだけど
- ドイツでロードバイクに乗っている人なら「Klickies(クリッキーズ)」で通じるよ。アメリカでもこの用語を使ったらどうかな
- (上の人に)英語よりわかりやすいドイツ語の単語が現れるなんて…
- ドイツでは「Schuhsolebefestigungsfederpedale(靴底固定フェザーペダル)」みたいに呼ばれるものと思っていた
- スウェーデンでは同じようにklickpedalerと呼んでます
- オランダではklikpedalenです
- フランスでは「自動ペダル(pédales automatiques)」なのでメンタルヘルスが保たれています
- 私は実際トー・クリップの時代に乗っていたので「クリップレス」ペダルでも問題ありません。ちなみにトー・クリップは使いにくかったです。足を後ろに引かないと取れないのですが、落車時やすぐに外したい時はまったく直観的ではありません。SPDペダルが出た時は天啓かと思いましたよ
- サイクリストでない人にクリップレス・ペダルを説明する時、この名前の歴史を説明する必要があるので、単体で意味をなすものではないですね
日本でも「ビンディング」のほかに「クリップレス」が使われることもあるので、「えっ!?」と思ったことのある方は多いのではないでしょうか。ちなみに「ビンディング」に近い言葉は、自転車のペダルについては欧米で使われることはほぼないようです(スキーでは使われるようです)。
ややこしい用語ではありますが、自転車の歴史が詰まっているという意味では珍しいのでこれはこれで良いような気もしています。