英国の自転車通販大手WiggleCRCが、米国の破産法第11条(チャプター11)に相当する「任意管理手続(voluntary administration)」に入ることが明らかになり、海外のサイクリングコミュニティで衝撃が広がっています。経緯を雑に説明すると、WiggleCRCの親会社が今後2年間の運転資金の融資を打ち切ったため同社は何処かに身売りする必要性が出てきた、というものです。
出典 Wiggle reportedly heading towards administration due to parent company funding woes
出典 How screwed is bike industry currently?
出典 What happened to NukeProof USA?
以下、海外掲示場での反応からいくつか抜粋します。
- NukeproofのUSサイトが消えた。電話すると「NukeproofのUSでの営業は終了しました」と流れる。何が起こっているのですか?
- (上の人に)NukeproofやVitusを所有しているCRC(Chain Reaction Cycles)が、米国でのチャプター11に相当する内容を発表したのです(251いいね)
- 2020年、3ヶ月間で5年分の自転車を売った会社は、人はあと5年間は自転車を必要としないことに気付きはじめたわけか(153いいね)
- 自転車産業の景気全般がいま厳しいのですが、Wiggle&CRCにとっては特別な経済的事情がありました。それはブレグジットです。そのせいで昨年の売上が25%落ちたそうです(262いいね)
- EU圏内では、UKから通販で購入するメリットはもうなくなっています。輸入税が大変なことになっていますから(65いいね)
- 長いあいだWiggleのファンでしたが、ウェブサイトを台無しにしてしまいました。フィルター機能をひどく壊してしまいましたし、スペシャルオファーはグチャグチャで、多くの商品が在庫切れです。ひどいものです(58いいね)
- CRCのサイトも完全におかしくなってしまいましたね(96いいね)
- (上の人に)サイトのアップデートの後には値上げもありましたしね(28いいね)
- 驚かないですね。数年前は彼らからたくさん購入していて、ハッピーでした。数ヶ月前に戻ってみると、サイト全体がガラクタになっていました(25いいね)
今後のWiggle/CRCでの買物が安全かどうか、という点については、次のような意見が見られます。
- 同じ親会社がドイツでのオンラインショップも複数閉鎖しつつあり、そういったショップでは返品手続きを受け付けなくなったところがある
- Wiggleでも返品手続きに対して連絡がないケースがあるので、いま現場は混乱しているのかもしれない
- 任意管理手続であり、倒産ではないため買物は基本的に安全だと思うが、保険のためクレジットカードで購入したほうが良いだろう
- 製品保証はメーカーのものが得られるだろう。しかしWiggle/CRCが所有するNukeproof, Vitus, Prime, DHBといったブランドは、今後消滅や権利譲渡された場合、どのような保証になるのか不明だ
- NukeproofやVitusは人気ブランドの地位を確立しているので消滅することはないだろう
今年はメーカー・ショップともに自転車業界での不況に関するニュースが多いですが、最大手のWiggle/CRCがチャプター11相当の申請を行う見込みであるというニュースには大変驚きました。
完成車用OEM品として調達したシマノ製品の販売禁止、ポストコロナの不況、英国のEU離脱による消費者離れ、ウクライナ戦争によるロシア市場の消滅、刷新したウェブサイトのUIの不評など、複数の要因が影響しているように思われます。
今後のWiggle/CRCの行方については、ProbikekitやEvans Cyclesを買収した企業が興味を示しているという情報もあり、巨視的に見ると倒産が続いているというよりはショップの統廃合、再編が起きつつあるのかもしれないですね。