ブロンプトン初のバックパック、 Metro Backpack 14L。今年の5月頃に発表されて以来ずっと気になっていたのですが、Sバッグもトートバッグもバスケットバッグもあるし、これ以上ブロンプトンのバッグ増やしても仕方ねーだろ、ブロのバッグなんてどれも大差ないし。
そんなふうに考えていた時期が 俺にもありました
最初に結論を書きましょう。これはあらゆるブロンプトン用バッグの中で最も使い勝手の良い、最定番になりうるバッグだと思います。
ショルダーストラップは面倒でも邪魔でもなかった
バックパックの利点は輪行時に電車や船の中で動きやすかったり、降車後の活動のしやすさがあります。特に両肩に荷重を分散させられるのは疲労度が全然違います(腰を傷めにくいです)。
しかしこのBackpack 14Lを買う前に 「ここは微妙かも…」と考えていた点が2つありました。どちらもショルダーストラップ絡み。まず乗車時はストラップをこんなふうにバッグ前面に回すのですが、これって少し手間がかりそう、と思っていたのでした。
それが全くの杞憂。ショルダーストラップにはマグネットスナップが埋め込まれていて、勝手にズレたりすることもありません。さらにストラップを背面からかなり適当に全面に回すだけで「スチャッ」と合体してくれるのです!! 磁力の強さも絶妙で、このストラップの扱いはストレスフリー。長さだけ最初に調整しておけばタイヤに触れることもなく、これはいい、と感動しました。
リュックとしての背負やすさは普通。背面ポケットがないかわりにパッドはあります。このパッドはまぁ、おまけみたいなもので背中では内部のフレームの感触が伝わったりしますが、べ、別にドイターのクオリティとか期待してないし! というわけでスルー。
ショルダーストラップのせいで心配していたもうひとつは、内部へのアクセスが面倒になりそうだなぁ、ということ。しかしこれも杞憂でした。ストラップが前に回っている状態で普通にジッパー開けられるんですよ!! ジッパーのつまみは前のほうに回しておく必要はありますが、Sバッグのフックを外してフラップをベリベリと開くより断然ラク。機動性もOK。
2泊3日の自転車旅行でも十分な収納力
次に収納面を見ていきます。この日はAPS-Cミラーレス一眼にズームレンズ2本、単焦点レンズ付きのマイクロフォーサーズを1台入れてフォトポタリングに出かけていました。横幅はそれでちょうどな感じですが、前後はまだ余裕があるのでこれに加えて輪行袋やその他の身の回り品を詰められます。
フロントポケットには財布やスマホ。内部にはメッシュポケットとノートPC用スリーブがあります。が、このスリーブはクッション性がなくフレームの突起が感じられるので、ノートパソコンを入れるなら別途他のケースに入れた上で収納したほうが良さそうです。
私のようにカメラを入れたりしないのなら、2泊3日程度の自転車旅行に必要なものは余裕で入ります。
あと両サイドのポケットは伸縮性があって、ペットボトルや缶飲料は勿論のこと、普通サイズのサイクルボトルもギリで入るように作られています。
狭い場所でも扱いやすいサイズ
皆さんは”No Brompton bag is complete without a rain cover.(どんなブロンプトンバッグもレインカバーなくしては完全ではない)”という格言を聞いたことがあるでしょうか。たぶん、ないと思います。何故なら私がいまでっち上げたものだからです。というわけで、このバックパックにもレインカバーが付属します。色は今年から蛍光イエローではなくオレンジになりました。
個人的にはあの蛍光イエローのカバーのほうが好みだったのですが、機能的にはバッチリ、何も変わっていません。バッグをブロンプトンに装着したままかぶせられます。この日、ちょうど雨が降ったのでレインカバーが大活躍。
雨だから今日はもう酒飲んで帰る。ということになり、通りがかったお寿司屋さんへ。さっそくバッグを背負って店内へ。「Sバッグ」だと狭い通路を歩くのはちょっと億劫ですが、このバックパックならバッチリ。「お荷物はカウンターの下にどうぞ」とのことなので、入れてみたら… おおっ、入るじゃん!
お刺身を食べてお酒を飲みます。この後はタクシーで帰るので問題ありません。
ロードバイクだとその日の夜にお刺身を食べるには一度帰宅する必要がありますが、ブロンプトンなら直行が可能です。
ブロンプトン用の最初のバッグに激しくオススメ
背負える。ストラップの取り回しも面倒ではない。乗ったままバッグのメインコンパートメントにアクセスできる。横への張り出しも少なく空気抵抗的にも若干良い。日常的な用途としてはSバッグよりもはるかにちょうど良いサイズ。収納力も2泊程度なら十分に対応できる。
ブロンプトンを買ったけれど最初のバッグをどれにしようか悩んでいる、という方で、主な用途がポタリング、普通のサイクリング、通勤通学、気が向いたら日帰り輪行、1〜2泊の旅行、ということであれば、私なら間違いなくこれをオススメします。バックパックスタイルということでキワモノかなとも思っていたのですが、予想外にオールラウンドなバッグでした。
私は普段でもSバッグをメインで使うことが多いのですが、普段使いは今後このバックパックオンリーになると思います。自転車旅行ではカメラやパソコンなどを運ぶことがあるので、着替えも含めるともっと大きいSバッグやBoroughを使うと思いますが、機材があっても1泊2日ならこれで済ませてしまうことになるでしょう。
と、記事全体で絶賛しまくりましたが、唯一気になった点を上げるとすれば、なぜか私が持っている他のブロンプトンバッグよりもフロントキャリアブロックに装着しにくくなったかな? ということ(微妙に形状が変わったのかな? 見た感じは同じですが…)。しかし欠点とまでは言えない感じです。
日本での価格はどのお店でもちょうど2万円前後です。英国定価が115ポンド(約1.5万円)なので、専用設計であることを考えると妥当かなと思います。
ブロンプトンのバッグを使っている方ならわかると思いますが、ものすごく質感が良いわけではないですし、使い倒すと1年くらいで素材はヘタって色褪せもしてくると思いますが、このバックパックの便利さには久々に感動しました。
運用上のコツ・注意点
このバッグを1年使ってみて感じた運用上のコツと注意点を追記します(2021/12/1)。
まずフロントジッパーについて。両端までいっぱいに開くと、そのあと内側に戻す時に「ひっかかり」を感じることが多いと思います。その場合は、バッグの端にある「耳(タブ)」を片手で持ち、もう片方の手でジッパーを引くと楽に開けます。このジッパーの硬さは設計上の弱点とも言えますが、ある程度の浸水を予防するためのデザインの結果とも言えるので仕方ないのかも。
もう1点は、ショルダーベルト側のマグネットパーツが緩みやすいこと。筆者は1つが外れそうになっていることに気付き、接着剤を塗って入れ直しました。恐らく脱着が頻繁だとこういうケースが出てくるかもしれないので、たまにチェックしたほうが良いでしょう。ここはちょっと改善を望みたいところではあります。