ブロンプトンという自転車は罪つくりである。専用フロントキャリアブロックとバッグフレームという利権を振り回し、純真無垢なミニベロ愛好家の我々に次から次へと高価なバッグを買わせてしまうからである。
ブロンプトン純正のバッグはどれも、高価なわりに品質は「並」である。だがそれでも我々は買わざるをえない。次々と。ブロンプトン乗りは果たしてこの沼から脱出することができるのかーー
悩んだらまずSバッグ(またはCバッグ)
というわけで私が現在所有しているブロンプトン純正バッグを3つ紹介したい。まずはM、S、P、Hハンドルで使えるバッグ「Sバッグ」である。これはSハンドルで使える最もスタンダードなモデル(20L)だが、MやPハンドルの場合はより容量の大きいCバッグ(25L)があるのでそちらを選んでも良いだろう。
私がCバッグではなくSバッグを使っているのは、S6Lに乗っているから。Cバッグは使えないのだ。M3LやM6Lに乗っている方はより大きいCバッグを選択しても良いと思う。
さてそのSバッグだが、前面の薄いジッパー付きフラップは着せかえ感覚で簡単にデザイン性の高いオプション品と交換できる。しかしそのフラップだけで6,000円前後する。これも罪である。
ところでSバッグは今回紹介する3つのバッグの中で最も高価(約2万5千円)だが、定番だけあって機能は充実している。悩んだらまず最初に手に入れるバッグとしてはSバッグかCバッグが良いと思う。
背面の左右には大きめの荷室があり、ここにはメンテナンス用品一式を入れたツールボトルが余裕で入る。ドリンクを入れても良いだろう。私は片側に財布やスマホなどすぐに取り出したいものを入れておくことが多い。ブロンプトンにまたがったまま取れるので便利。
中にはノートパソコンが入る仕切りがある。写真で見えている11インチのMacbook Airが余裕で入る。フロント側にも2つのポケットがあり、500mlのペットボトルがなんとか入る。高さは大きめのiPhoneと同じくらい。
サイドポケットにはレインカバーが仕込まれている。本体に縫い付けられているわけではないので好きなところに入れられるが、蛍光イエローの輪っかがあるのでここに入れておいたほうがわかりやすい。
突然の雨でもバッグをブロンプトン本体に装着したままレインカバーをかぶせられる。反射素材が使われているので積極的に使おう。
Sバッグはいちばん汎用性があって便利である。ロングライドにも良いし、輪行にも良い。通勤にも良い。野菜や生鮮食料品を大量に詰め込むのには向かないが、軽い買い物なら問題ない。カメラや雑誌も放り込んでおける。
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問題はブロンプトンで近所を徘徊するようなお気楽ポタリングをする時、Sバッグだとオーバースペックに感じる時があることだ。便利で、何の問題もないバッグである。だが普段使いにもう少し小さいバッグが欲しい、と思ったりする。
そのようにして人はブロンプトンバッグ沼にはまっていくのである。
コットントートバッグは少ない荷物で活動したい人向け
というわけで人は近所徘徊に便利なコットントートバッグを手に入れることになる。これは定めである。だがこのバッグ、品質は別に悪くないのだが、1万円以上の価格には見合わない。ブロンプトンロゴの付いたただのコットンバッグ。すぐヨレヨレになって、日焼けもしてみすぼらしくなってしまう。
だが、確かに便利なのである。
たとえば映画を観にブロンプトンで出かけるとしよう。映画館の席では、Sバッグは邪魔である。美術館はどうだろうか。ショルダーストラップで肩かけはできるが、やはり邪魔である。レストランに持ち込むにしても、少し大きすぎるのだ。そんな時はこのコットントートバッグが活躍するのである。
背面。キャリアフレームは小さめ。写真からも生地の薄さが見て取れる。
ポケットは表に1つ、内側に1つ。それ以外は、ただの筒状の袋である。キャリアフレームがなければコンビニで雑誌の付録として1,980円で売られていても驚かない質感である。
モノはもちろんそんなに入らない。雑誌またはミラーレス一眼や財布、スマホ、ドリンクを入れてちょうどいいくらい。大量のモノを持ち運ぶためのバッグではないが、小さいポーチでは足りない、という時のためのバッグである。
このコットントートバッグのいいところは、本体がしょぼいながらもレインカバーが付属しているところ。フロントのポケットに入れてもいいし、中に入れてもいい。不意の雨でカメラやスマホを濡らさないために大事な装備である。
ただ割高感は否めない。1万円以上というのがどうも納得できない。だが仕方ない。このバッグが気になった瞬間、もう詰んでいるのだ。諦めよう。個人的にはこの小さいキャリアフレームを生かした他のバッグも色々あると嬉しいが、現時点では本製品しかないようだ。
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大きい買い物をしたい人にはバスケットバッグ
ところでSバッグやコットントートバッグはスーパーでの買い物には向いていない。大きい大根やネギ、トレイに入った豚肉や鶏肉などを詰め込むには容量不足。街中で素敵な観葉植物を見かけても持って帰るのが難しい。そんな需要に対応したバッグはないものだろうか。
まぁ、普通に考えてあるわけがない。
やべっ、あった。あんのかよww それがバスケットバッグである。ブロンプトン社は既にお見通しなのだ。ブロンプトンで大根やネギを買いに行きたい我々の欲求を。
M、S、P、Hすべてのハンドルモデルで使用可能で、上が開きっぱなしなのが特徴。
横から見たところ。思いっきり閉じるとかなり薄くなるが、このバッグの真骨頂はやはりかさばるもの、縦に長いものや箱状のものの運搬である。
こんなふうに四角く開いたまま運用できるので、食料品の買い物にはこれがベストである。鉢植えの植物も2つ3つは葉の部分を露出させたまま持って帰ることができる。花も壊さずに運べるのだ。
何も考えずにモノを放り入れられるので、スポーツジムに行く時にも便利だったりする。シューズや着替えなどをぼんぼんとただ入れる。
取っ手のストラップをひっぱると口が閉じる。トートバッグのように肩にかける時は自然と口が閉じるので便利(なおストラップの長さは調節できない)。ただライド時に口を閉じておきたい場合は、サイドストラップの長さをバッグ背面で調節する必要がある(特に手間ではない)。
と、このバスケットバッグは大変便利なのだが、なんとレインカバーが付属しないのである。2万円近くもするのに、である。モノが上に飛び出すこともあるし、雨天での使用を想定していないのはわかるが、あったほうが絶対にありがたい。これが本当に惜しい。
バッグの生地はSバッグやトートバッグ同様、ペラペラである。品質が悪いわけではない。貧弱でもないし、ある意味、ペラペラだからこそある程度軽量に仕上がっているとも言えるので、迂闊に糾弾もできない。
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だがこの仕様で2万円はやはり高い。それでも我々に選択権はない。ブロンプトンバッグ沼に一度はまったら、ブロンプトン様が用意する様々なバッグをこうやって買い続けるしかないのだ。私はいずれロールトップバッグも買ってしまうだろう。昨夜はオルトリーブとのコラボで開発したOバッグの夢を見た。
ブロンプトンバッグ沼にはまらないようにするには、最初にスタンダードなSバッグかCバッグを買って、以後は決して別のバッグには手を出さないことである。
ブロンプトン純正バッグの次には、キャラダイスのブロンプトン専用バッグが待ち構えている。この沼はもう底なしなのである。
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この純正バッグ、もう少し高品質で面白い色とかあったならな…
ダメだ。絶対にそんなことを考えてはいけない。なぜならそういう要求に応えるバッグも存在しているからだ。忘れるんだ。もういくら使ったと思ってるんだ。このバッグ3つでクロスバイクが1台買えるんだぞ。
人生は優先順位との戦いだ。これまでもそうだったし、これからもそれは変わらないだろう。君が次に買わなくてはならないのは、この7万円のバッグではないはずだ。
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