あの娘はかわいい 餅屋の娘、北白川たまk…すみません!すみません! 此奴はどウザい 貧脚中年、nadokazuです。
マスターさんも絶賛する、折り畳み自転車マンガ「おりたたぶ」。そのホームコースとして、作中に幾度となく登場するのが「たまこ たまこ じてんしゃどう♪」こと、多摩湖自転車歩行者道です。
このところ、機会があって何度か走っているのですが、行くたびに「ここは、いいコースだなぁ…」という思いを新たにしています。え?聖地巡礼?なんですかそれ?
というわけで、今日の駄文はこちら!
多摩湖自転車歩行者道(旧 多摩湖自転車道)って?
多摩湖自転車道は、武蔵野の五日市街道から多摩湖に至る水道導水路の上と多摩湖一周の一般道路沿を利用して設置された大規模な自転車歩行者専用道路です
わたしたちのまち 東大和 より引用
正式名称は「東京都道253号保谷狭山自然公園自転車道線」で、1984年に「多摩湖自転車道」として通称道路名が設定されました。その後、2018年に「多摩湖自転車歩行者道」に改称されています。
コースの全長は、21.9km。地図で見ると上のような感じで、五日市街道の関町五丁目交差点から多摩湖までの「平坦まっすぐパート(勝手に命名)」と、多摩湖を一周する「多摩湖周回アップダウン地獄パート(勝手に命名)」に大別されます。
多摩湖自転車歩行者道「平坦まっすぐパート」
村山貯水池(=多摩湖)から、境浄水場までの10.5km(10.2kmと記載するページもあり)のルートです。行政的な区分では道路部分が「保谷・狭山自然公園自転車道」で、緑道部分は「狭山・境緑道」。緑道部分は行政区分的には公園にあたり、西武・武蔵野パートナーズ(東京都建設局による都立公園等の指定管理者)」が維持管理を行っています。
大正12年〜14年に敷設された、多摩湖(村山貯水池)から境浄水場を結ぶ水道管の上を走っていて、住宅街を思いっきり直線道路が貫く形になっています。「10km近い長さがある、ほぼ直線の道路」って…、ここ北海道じゃありませんよ!?
沿道には公園が点在するほか、モニュメントなども設置され見どころ満載。桜、サツキ、ヤマブキ、アジサイなどが植えられていて、四季折々の草花も楽しめます。特に桜の開花時期は、あちこちが桜のトンネル状態になるので見応え倍増です。
多摩湖自転車歩行者道「多摩湖周回アップダウン地獄パート」
湖畔に沿って、多摩湖をぐるっと一周するルートです。多摩湖サイドは木々が生い茂りまくっていて、明らかに住宅街では聞くことのできない野鳥の声が響き渡ります。時期によってはイモムシたちによって、大惨事が引き起こされる模様(情報源:「おりたたぶ:第12話」)。
多摩湖の逆サイドはというと「ここは…なんていうハイクラス高原リゾートですか?」と、思えてしまうようなオシャレハウスが立ち並んでいたかと思えば、昭和な宿泊施設(男女2名での利用前提)が堂々登場するカオスっぷり。埼玉側に入ると、神社に高級料理店にドーム球場などが出現するなど、沿道は変化に富みまくりです。
あと、多摩湖周回ルートのほうは「タンデム自転車の走行が、警視庁によって正式に許可されている」というのが、自転車乗り的な特筆ポイントと言えるでしょう。
ゆるポタにうれしい条件を満たしまくり。
多摩湖自転車歩行者道、自分のようなゆるポタ野郎にとって実にいい条件がズラリと揃っています。ざっと箇条書きにしてみると、こんな感じ。
車両が進入してこない
都内における交通事故発生件数は減少傾向であるのに対して、「自転車が関係する交通事故」は増えています。歩行者と自転車、自転車同士の事故も減っているので、増えているのは「自転車と車両の事故」だと考えるのが自然でしょう。
多摩湖自転車歩行者道は、自転車と歩行者の専用道路。車道との交差部、そして専用道ではなくなる小平駅周辺以外なら対車両の事故は、ハイブリッド自動車ミサイルでも飛来しない限り発生しません。絶大な安心感のもとで、ゆるーくサイクリングが楽しめます。
ペダルを踏み込みたいスイッチが入らない
荒川サイや多摩サイ、りんりんロード。気持ちいい道を自転車で走っていると「ヒャッハー!いま俺様は、風になってるんだぜー!!」と、ついつい調子に乗ってペダルをガン踏みしたくなる瞬間が訪れてしまうものです(※推定最高速度12km/h)。
わずかに残ったパワーを後先考えずに使い切って、瞬く間に脚力が枯渇。ライド後半で地獄を見ることが確実なのですが、自分の脳は学習能力が著しく欠けたチキン脳(鶏に失礼だろ!というツッコミ不可)。同じ過ちを、もう何度となく繰り返し続けています。
だがしかし!
多摩湖自転車道では、心の中の「ペダルを踏み込みたいスイッチ」がオンになりません。
なぜなら歩行者やジョガーさんがたくさんで、「それどころじゃない」から。緑道と道路が平行していて道幅が狭いわけでは決してありませんが、自転車専用道として独立しているわけではないので人口密度は高めです。正式名称が「自転車歩行者道」であるように、路上の主役はどう見ても歩行者(法的にも交通弱者優先でしょうし)。
「自転車・バイク・自動車 パーキングプレス」誌には、特定非営利活動法人 自転車活用推進研究会の方が「自転車道という名の歩道」という寄稿をされているほどです。
目をつり上げて、ハイスピード走行するには不向き過ぎる環境。ですが、だからこそ、ゆるポタ速度で、まったり楽しむのに向いていると考えます。
沿道のホスピタリティがぶ厚い
これは特に平坦エリアの方で顕著なのですが、公園をはじめとする各種施設にモニュメント、さらに植栽などなどが沿道のあちこちに点在。走っていて、まったく飽きません。自治体と管理者と沿道の方々が、それぞれの得意分野を活かしてあの手この手で来訪者を楽しませようとしてくれている。なんてことを感じてしまって、何だか嬉しくなってしまいます。
また、お手洗いが数百メートルと走らないうちに次々と現れるので、そっちの心配が一切不要なのも高ポイント。分厚いホスピタリティを受けまくって、気持ちよく走れます。
アップダウンもちゃんとある
平坦とまっすぐ。それはそれで楽しいのですが、それだけだと走りごたえに欠ける、とも言えてしまいます。
ところがどっこい、多摩湖自転車歩行者道は多摩湖周遊部分でガッツリ(ゆるポタ基準)とした、アップダウンが待ち構えています。
私?多摩湖に着いたらゴールなので、その先には行きません!盛大にお断りします!
万一そっちに行ってしまったら、あまりの辛さに記憶が消失してしまいますからね!
車止めが狭くない
自転車歩行者専用道に、車止めが必要なのはわかります。ですが、降りないと通り抜けられなかったり、絶妙にペダルが当たる高さに横棒が出っ張っていたりと、あまり嬉しいモノではないというのが正直なところ。
多摩湖自転車歩行者道の車止めは、走行中の自転車にもやさしい間隔になっている感じです。ふつうに減速すれば、不安無く通り抜けられます。
ビンディングを外す必要性も、まったく感じません。まぁ、もともとの速度も低いですからねー。
勝手に選定した、沿道のみどころ
乱立するモニュメントたち
境浄水場側の始点/終点になる新町三丁目(関町五丁目交差点付近)には、目印の「水の神殿」をかたどったモニュメントが立っています。
そして多摩湖方面にしばらく進んだ先の「おおぞら公園(IHI田無工場跡地)」には、「ジェットエンジンのふる里」碑が。
さらに、動物のオブジェや「みちしるべ」「水の碑」「虹の水門(でっかい栓抜き)」などなど。あちこちにモニュメントが立ちまくっているので、それをチェックして回るだけでも十分に楽しめてしまいます。
コース内に5カ所設置されている「みちしるべ」の碑については、「5つの文字を合わせると、ひとつの言葉になる」という記載が案内看板にあるのですが、そもそも何が書いてあるのか判読できませぬ。
風景の窓
つまることろ、四角い穴の開いた看板。その穴を窓に見立てて、「季節に応じて変化していく植木畑の風景を楽しんでほしい」ということらしいです。
単に「植木畑の風景をお楽しみください」と書かれた看板を掲出するのではなく、きちんと注目させたり楽しませようとしたりする意図を感じられるところが、非常にイイ感じに思えます。
齋藤素巖・彫刻の小径
花小金井駅に近づくと、唐突に彫刻作品が並んだエリアが登場します。一体何なのかと思って調べたら、晩年まで小平市で制作活動をしていた日本近代を代表する彫刻家の一人、齋藤素巖の作品群とのこと。
小平駅から花小金井駅までの、約2.6kmの区間に17作品が設置されているそうです。しまった…次はちゃんと鑑賞しよう…。
70円より自販機(勝手に命名)
激安自販機はいろいろありますが「70円より」という、激安にもほどがある価格設定がされた自動販売機。いったいどんなドリンクが、70円で提供されているんだろう…?近づいてチェックしてみたのですが、70円で販売されている商品はありませんでした。
客寄せのための虚偽記載じゃねーか!通報だ!…と思ったら、
なんと「30円」という価格表示が!
ちょっと待て、さ、さんじゅうえん!? しかも税込みですよ??
50円玉を入れてポチってみると、ちゃんと20円が返却されました。マジか…。
賞味期限が2月(本稿執筆は4月)ということでの価格みたいですが、普通においしくいただきました。
馬の背
道路部分が地形に応じて凹んでいる場所なのですが、緑道部分は「馬の背」と呼ばれる土手になっています。なんで緑道部分だけ?と思って調べると、水道管は高低差なしで設置しないといけないから、ということらしいです。なるほど納得。
平坦をまっすぐダラッと走っているところで、独特の地形がいいアクセントになっています。
桜並木
冒頭付近でも書いたのですが、桜が咲く季節は、あちこちが桜のトンネル状態になります。
暖かな日差しのもとで、花びら舞い散る中をゆるゆる走っていると、多幸感に包まれまくります。
デザインマンホール
東大和市の観光キャラクター、「うまべぇ」がデザインされたマンホール。多摩湖デザインのマンホールが、都立狭山公園堤防口の正面(坂を登り切った多摩湖の入口のところ)に。そして多摩湖自転車歩行者道デザインのマンホールが、「武蔵大和駅西」交差点南側の歩道上に設置されています。
沿道の気になるお店
アップルショップ ツシマ
アップルといっても、Macは売ってません。駄菓子屋さんです。
懐かしいお菓子たちが、「20円」とか「12円」という激安価格で販売されています。100円玉があれば、豪遊できそう。
惣菜かぼす
小平駅から少し多摩湖側に進んだところにある、手作り感にあふれた雰囲気を醸し出すお店。通りがかりにチラ見しただけですが、結構な行列でした。
これは…「地元のみなさんに愛されている、隠れた名店」というヤツなのでは?日曜日は定休日っぽいので、週末は要注意。
きくや
でっかい栓抜きのオブジェを超えて、さらに多摩湖方面に進んだ辺りにある武蔵野うどんのお店。
うどんがつけ麺になっていて、すごいコシ!さっと通しただけなのにお汁が染みてておいひ~。かき揚げサクサク。濃いお肉味の汁をすすると、またおうどんが食べたくなって、美味しいが止まらないよぅ!
サイズ表記が独特(L/LL/3L/4L/5L)なのですが、お店の方によると「3L」が普通サイズとのこと。私?当然4Lミックス(肉汁+天付+海苔)ですが何か?
多摩湖周遊エリアはどんな感じ?
地獄の登坂を何とかクリアして多摩湖に着いたら、もうゴールでいいですよね?と、強く思うのですが、多摩湖自転車歩行者道はむしろここからが本番。
ようやくゴールしたと思ったのに、その先にガッツリ坂が待っている絶望。多摩湖自転車歩行者道の、多摩湖周遊エリアは地獄です…!
アップダウンとは名ばかりの終わらない登坂が続いて、ゆるポタ気分は雲散霧消します。最初に申し上げたとおり、記憶を喪失するだけのツラい思いをするので、写真がありません。
決して「こっちはフォトジェニックな場所がなくって、撮れ高がイマイチだなぁー」とか思いながら、面倒くさがってカメラを出さなかった、とかじゃないですよ?
多摩湖自転車歩行者道には、どうやってアクセスする?
別に自走でたどり着けばイイじゃん!と、思わないこともないですが、ゆるポタなら輪行で最寄り駅までいって脚力温存最優先ですよね。
関町五丁目交差点からのスタートなら、JR中央線の武蔵境駅が最寄り駅になります。が、あえてひとつ先の東小金井駅からスタートする、おちこぼれ的な選択も全然アリだと言えるでしょう。
多摩湖側からのスタートであれば、西武線の多摩湖駅や武蔵大和駅が輪行下車駅になります。
とはいえ、距離的にもコースプロファイル的にも、普通の脚力がある方ならヤバめな部分はありません。花小金井駅や小平駅、荻山駅、八坂駅などのコース途中の最寄り駅から走りはじめて、多摩湖を周回して関町五丁目交差点まで行って戻ってくる。などのルーティングでも全然オッケー。
あと、個人的には「お風呂の王様 花小金井店」のランナーズロッカーに、タオルと着替えを詰めたバックパックを収納。全コースを往復して戻って、お風呂とサウナと水風呂で整いまくる、という夢の豪遊プランを実現させたいところです。
まとめ。行こう!多摩湖自転車歩行者道!
沿道に見どころたっぷりの平坦パートで写真を撮りまくりながら走ったあとに、アップダウン満載の多摩湖周辺ではガッツリ走行。消費しまくったカロリーは、武蔵野うどん(4Lミックス)でしっかり補って、最後はお風呂でサッパリして締める。
そんな理想的とも言えるゆるポタが、いともカンタンに実現できてしまう場所。それが、多摩湖自転車歩行者道です。みなさんも、ぜひ「おりたたぶ」を片手に、分厚いホスピタリティを体感しに行ってみてください。
参考資料
本記事の作成にあたっては、以下を参照いたしました。
- 西東京市役所
大好き西東京「(6)多摩湖自転車道」
大好き西東京「多摩湖自転車歩行者道(保谷・狭山自然公園自転車道)」 - 東京都建設局
東京都通称道路名検討委員会「資料3 通称道路名設定事業の経緯及び概要について」
『「多摩湖自転車歩行者道」名称変更』 - 西武・武蔵野パートナーズ
むさしのの都立公園「狭山・境緑道」
Sayama Sakai Scenic Road
※西武・武蔵野パートナーズは、東京都建設局による「都立公園等の指定管理者」。 - 小平市
市政情報「狭山・境緑道」 - 警視庁
「タンデム自転車が走行可能となる道路について 」 - 東大和市
健康ウォーキングマップ
東大和市 健康ウォーキングマップ
「うまべぇ」デザインのマンホール登場!ぜひ、見に来てね! - 自転車・バイク・自動車駐車場 パーキングプレス 2013 6月号
「自転車道」という歩道 - 公益財団法人 東京市町村自治調査会
小平市 齋藤素巖・彫刻の小径 - 東大和市商工会
多摩湖自転車道 さわやかにかっ飛ばそう